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編集者にまかせてちょ~査団スペシャル

《備前市/備前焼》今、改めて注目される「備前焼」の世界。焼物のふる里、備前市伊部を訪ねて、千年の歴史と作り手の想いにふれる。【PR】

気になる岡山の街ネタ調べます!まかせてちょ~査団スペシャル

  • 情報掲載日:2019.12.14
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

Mission_42/ビールや料理がおいしくなる? どうやって作られるの? 知れば知るほど楽しめる、「備前焼」の魅力を再発見せよ!

岡山で話題のスポットやイベント、知る人ぞ知るレアな情報など、誰もが気になる地元のモノ、ヒト、コトを『タウン情報おかやま』が徹底調査するこの企画。スタッフが実際に現地を訪れ、体験したとっておきの情報をリポートして、「岡山の魅力を再発見できる、よりディープでフレッシュな街ネタ」をお届けします!

改めておさらい。『備前焼』とは?

岡山県には素晴らしい工芸・民芸品が数多くあります。備前市に伝わる「備前焼」もそのひとつ。

土の表情を生かして作られる独特の作風は世界的にも有名で、時代を超えて多くの陶芸ファンを魅了し続けています。もちろん、岡山県民の暮らしにもなじみ深い焼き物。家で備前焼の器を使ったり、壺や置物を飾ったりして楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。

私こと「まかせてちょー査団」団長Mの実家にも、茶箪笥(懐かし!)にびっしりと祖父母の集めた備前焼が並んでいました。祖父が「これで日本酒を飲むと美味いんじゃ~グビッ」と止まらない晩酌を楽しんでいたのを思い出します。

しかし、身近な焼物として親しみがある一方で、その特徴や歴史、作り方など知らないこともたくさん。「備前焼って何?」と聞かれた時にうまく説明できないのも事実です。

県外の人に備前焼の魅力をPRしようにも、「土をそのまま焼いた焼き物で…あとは検索!」だけではあまりにも不親切。

最近は陶芸をテーマにしたTVドラマ「スカーレット」が放送されたり、備前焼に取り組む女性を描いた漫画「ハルカの陶」が映画化されたりと、全国的に陶芸、備前焼が再注目されています。

岡山県が誇る備前焼をしっかりPRできるようになれば、日常生活の中でも備前焼の楽しみ方がさらに広がるかもしれません。

そこで今回は、備前焼の産地である備前市伊部に足を運んで、備前焼について学んでみたいと思います!

『備前焼伝統産業会館』で備前焼の魅力にふれる

まず訪れたのは、JR赤穂線伊部駅併設の『備前焼伝統産業会館 2階』。ここには約4000点以上の作家、窯元の備前焼が展示販売されています。立ち寄りやすさがうれしいですね。

中には壺や花器、湯呑、ぐい呑み、お皿やコーヒーカップ、置物などありとあらゆる種類の備前焼が並んでいます。作家・窯元・陶商合わせて約155名による作品はどれも美しいものばかり。

素朴な作風の備前焼ですが、よく見ると作家ごとに特徴があり、色あいや模様の違いにも気づきます。思わず目移りしてしまうほどの圧倒的な作品点数。

この日も、観光客が熱心にお気に入りの作品を選んでいました。

ここを管轄しているのは、備前焼の『協同組合 岡山県備前焼陶友会』。専務理事の宮本さんと、副理事長の山本さんに、備前焼の特徴と魅力についてお話しを聞きました。

「備前焼とは、良質の陶土で絵付けや釉薬をせずにそのまま焼き締めた焼物です。古墳時代の須恵器の製法を元にしてはじまったもので歴史も非常に長く、平安時代にまでさかのぼるんですよ」と宮本さん。

陶磁器の代表的な産地である越前、瀬戸、常滑、信楽、丹波、そして備前と、「日本六古窯(にほんろっこよう)」のひとつとして日本遺産にも認定され、伊部地区を中心にその伝統が守り続けられています。

備前焼の大きな特徴は、素朴な土の表情と手触り。土を練って作るという、焼き物の原点をそのまま感じられる作風です。

表面に現れた模様「窯変(ようへん)」は、原始的で味わい深い美しさ。土と炎の融合によって生まれるこの表情を「景色」と呼び、作品一つひとつの景色を楽しむのが鑑賞のポイントだそうです。

これは「ひだすき」。間に挟んだワラが緋色の線を生み出しています。

こちらは、炭に埋もれて直接炎が当たらず、空気の流れの悪さによっていぶし焼きの状態になった窯変。全体が灰色に発色しています。ひと口に備前焼といっても、多様な色合いが楽しめるんですね。自然が織りなす偶然性、ひとつとして同じものがないのも備前焼の価値になっています。

「美術として鑑賞するのはもちろん、使ってこそよさがわかるのが備前焼。お水やお酒がおいしくなったり、挿した花が長持ちするといわれる秘密があるんです!」と山本さん。

ん? 水やお酒がおいしくなる? そういえば祖父も「酒がうまい」と言って備前焼を愛用していました。単に備前焼が好きなのだと思っていましたが…ちゃんと理由があるんですね!

「釉薬を使わないことで土の微細な凹凸があり、若干の通気性が生じます。ビールの泡が長持ちしたり、水がまろやかになってよい状態で長持ちしたりするといわれています。お酒やコーヒーがおいしく感じるのも、こうした土の呼吸効果によるものと言われています」と、その理由を説明してくれました。

さらに、保温力や耐久性、使うほどになめらかな手触りになるなど、使ってこそよさがわかる優れた特性を持っているそうです。ビールやコーヒーを飲む時、普段使っているコップと変えて飲み比べしたくなりますね!

「備前焼は育つ焼物。使うごとによさが増し、景色も不思議と味わい深くなります。ぜひ日常に取り入れて、備前焼の深い魅力を感じてほしいです」とおふたり。

「見て使って、あとは作れたら完璧ですね! 備前焼作家への道のりは長いですが、一般の方が作陶体験できる場所もあります。まずは窯元に足を運んで、作家の方とお話してみてください」

作家さんと聞くとなんだか緊張しますが、ここはぜひ作り手のお話も聞いてみたいところ。ぜひ窯元にも訪ねてみたいと思います。

備前焼の作り手を訪ねて、六姓窯元のひとつ「桃蹊堂」へ

次に訪れたのは、JR伊部駅前の通りにある『桃蹊堂(とうけいどう)』。風情のある街並みになじむ、レンガ造りの煙突が目印です。

こちらは備前六姓窯元のひとつとして500年以上続く由緒ある窯元。通りに面した店舗では、生活の器を中心とした多彩な作品が展示販売されています。

カップや動物の置物、キーホルダーなど小ぶりの作品が多く、お土産にも最適。ツバキの花を生けたディスプレイにもセンスを感じます。入口には、子どもが隠れんぼできそうな大がめもありました。

「僕も小さいころ、大がめの中に入って隠れたことがあります(笑)」

そう答えてくださったのは、備前焼作家の木村英昭さん。お父様の木村桃山氏の後を受け継ぎ、精力的に作陶活動を行っています。

「父が17代目、私が18代目のはずだったんですが、この前調べたらどうやら私、26代目のようでした」急に8代も増えることがあります!? それだけ長く続いているのがすごい!

木村さんは大学で外国語を学んだ後、本格的に陶芸の道へ。バルセロナへの留学経験を生かして海外での展覧会も行い、英語、スペイン語と三か国語を話せるトリリンガル。外国人もウエルカムな窯元です。早速、備前焼づくりの現場を見せていただきました!

こちらが登り窯。大人がちょっとかがんで入れるくらいの高さです。窯は20mほどの奥行きがあり、この中に約1500点の作品が入るそうです。

備前焼は、大きく分けて以下の6工程を基本に作られているそうです。

完成までには4カ月から半年ほどかかるという備前焼。すべての工程に手間暇をかけ、時には土と火の持つ自然の力にゆだねながら、じっくりと仕上げていくのだそうです。体力も根気もいる大変な作業ですね。

中でも、窯づめで一週間かかるというのには驚きました。並べるだけでそんなに時間かかります?

「窯の中に1500点もの作品をバランスよく入れるために、配置や並べる順番を緻密に計算する必要があるんです。それによって作品の焼き具合が変わってきますから」と木村さん。

狭い窯の中は、作品を置いていくだけでもひと苦労。しゃがんだ体勢は腰に響きそう…

「順番を間違えると手が届かなくなったり。作品を倒さないようにそーっと置いてたら、いつの間にかこんな姿勢で窯入れしないといけなくなります(笑)」

アクロバティックな窯入れ風景を再現してくれたお茶目な木村さん。腕がつりそう…。

時を超えて愛される炎と土の芸術。伝統を今に伝える

備前焼作家は、展覧会の開催や出品、備前焼関連の行事やイベントへの参加、講師など、作陶以外にもいろんな活動を行っています。木村さんは、年3~4回行う展覧会に合わせて作品の数やスケジュールを決めていくそうです。

茶道もたしなむ木村さん。備前焼の器を使ったお茶会や、「瀬戸内国際芸術祭」を舞台にリヤカーで抹茶を振る舞う「犬島楽茶」などを行い、幅広い層に備前焼の魅力を伝えています。

「大切にしているのは、良質な備前の土を使い、昔ながらの桃蹊堂の作風を守り続けること。その上で、時代ごとの生活様式や感性にも寄り添いながら、長く愛される備前焼を作っていきたいと思います」

「一生かけて究極の備前焼を追い求めたい」そんな木村さんの携帯電話のカバーも備前焼。あまりのカッコよさに写真を撮らせていただきました。

これは木村さんの作品「守破離(しゅはり)」。この言葉には、「伝統を守り、新しいものを受け入れ、客観的に見直す」という意味があり、それが木村さんの作家として、人生としてのゆるぎないテーマになっているそうです。

「作ってみると奥深さがわかりますよ。伊部地区には、土ひねり体験などを行う窯元や施設もいろいろあるので、ぜひ自分だけの備前焼づくりに挑戦してください」と木村さん。

観る楽しさ、使う楽しさを味わったら、ぜひ作る楽しさにも一歩踏みこんでみるのがおすすめです。自作の備前焼で美味しいモーニングコーヒーを一杯…なんて、とっても贅沢ですね!

陶芸は土と向き合い、自分とも向き合う時間。もしかしたら、映画「ハルカの陶」の主人公のように、備前焼から新たな世界が広がるかもしれませんよ!

Information

Information
備前焼伝統産業会館/協同組合 岡山県備前焼陶友会
住所
備前市伊部1657-7[MAP]
電話番号
0869-64-1001
開館時間
9:30~17:30(2階)、9:00~17:45(1階)
休み
火曜(祝日の場合は翌日が休み)、年末年始
HP
http://touyuukai.jp
桃蹊堂
住所
備前市伊部1527[MAP]
電話番号
0869-64-2147
営業時間
9:00~17:00
休み
不定休、年末年始休み
HP
http://www.tokeido.com

<消費税率の変更にともなう表記価格についてのご注意>

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