あたりまえにある身近なあんなものやこんなものに、実はこんな歴史や理由があるのです…。
そんな身近にある何? なぜ?を調べます。
城跡登山の先には絶景があった! ~県北編~
今年2月号で紹介した、県南部の絶景が望める山城。その続編として、本格的な冬が来る前に県北の絶景山城スポットをご紹介します。津山市街が一望できる場所や、豊かな自然に囲まれた場所がありましたよ。番外編として、城下町・勝山ゆかりの山城跡も!
オープンエアなレジャーを求める今。県北山城ハイキングへ!!
県北にも魅力的な山城、あります!
2月号では岡山市、総社市、和気町の絶景が望める山城ハイキングをご紹介。その後コロナ禍で屋外レジャーの人気が高まり…。そうだ! 本格的な冬を迎える前に県北の絶景山城へ行くのもいいかも! というわけで、山城ハイキング、県北編です。県北東部の美作国では戦国時代の終わりまで争いが続いたため、城跡が多いとか。そこで、『岡山県古代吉備文化財センター』のスタッフに絶景が望める山城跡を教えてもらいました。
頂上から360度の大パノラマ! 津山市街から那岐山までの景色が望める『神楽尾城跡』。
そのひとつが、津山市街から思いのほか手軽に行けて、本丸跡から絶景が広がる『神楽尾城跡』。南北朝時代には山城が築かれ、織田信長の武将だった羽柴(豊臣)秀吉が中国攻め(備中高松城の水攻めも行われた戦いですね)を行っていた頃に毛利氏の重要な拠点のひとつとなり、のちに宇喜多氏の勢力が落城したという歴史を持つ城です。
津山市のランドマークである平山城・津山城から北西に3kmほどの場所にあり、城跡のある山の中腹に『神楽尾公園』があり登り口が分かりやすいのもポイントですね。公園の駐車場から北に向かってアスファルトやコンクリートの道を歩いていくと、途中、資材置き場や畑の間を通るので、一瞬「本当にこの道で合ってるのかな…」と不安に思いますが、進んでいくと「神楽尾城跡」と書かれた木の標識が。そこから山登り開始です。
途中には馬場(こんな山の中にまで馬が登ってきたの!と、いつも見つけるたびに思います)や急斜面を作って敵を寄せ付けないようにした切岸など城跡らしい遺構を見ることができます。珍しいと思ったのが泥田堀。これは敵が泥に足を取られて身動きしにくいようにする作戦ですかね。そうして30分ほど歩いていくと頂上となる本丸が見えてきます。
この本丸から見える景色といったら…! 津山市街を一望できるほか、何にもさえぎられることなく東西南北360度の景色が見えることに感動を覚えました。東方面を見れば雄大な那岐山の姿を見ることができます。特に取材日は天気もよく、青空と見晴らしのいい景色のそう快感は素晴らしかったです。津山市民はもちろんですが、県北好きな岡山県民は一度行ってみる価値ありです。
豊かな自然に癒やされる『岩屋城跡』。
もうひとつおすすめなのが、真庭市に隣接する津山市の西部にある『岩屋城跡』。戦国時代にはこの地域は周辺の勢力が接する「境目の地」で、城主も頻繁に入れ替わったのだとか。街道を見下ろせる場所にあるため人の動きも見えやすく、戦のときには要所となっていたことが想像できます。
この山は、『神楽尾城跡』と比べて人里離れた場所にあり、うっそうとした木々や緑の合間を抜けていくハイキングコース。道はきれいに整備されています。途中に寺院跡、大手門跡、井戸跡など山城跡らしい遺構が残っています。それよりも、目指す絶景スポットである馬場跡までの行程はほとんどが木々に囲まれた場所を歩き、立ち並ぶ大きな杉林や足元のシダ、龍神池など自然や風景に癒やされるのがこの山の魅力だと実際に登ってみて思いました。メインの登山道から外れますが、山登りに慣れてる方はぜひ歩いて5分ほどの場所にある山王宮跡にも行ってみてください。少し道が険しくなりますが、道中には小さな滝がありその先には岩のはざまに置かれたほこらが。それが山王宮で家内安全、良縁祈願にご利益があるそうですよ。
さて、上まで登りきり、絶景スポットである一番見晴らしのいい馬場跡へ。ここからは津山市久米地域、天気がよければ津山市街地まで望めるとか。周辺にも山が連なり、この山々にも山城が築かれていたのだそうです。馬場跡にある鳥居とその向こうに見える景色がフォトジェニックでしょう? ふもとからここまでは約1時間かかるので、この景色と対面すると「ようやくここまで来た!」という達成感がわきあがります。昼前から登って、ここでランチ休憩というのがベストスケジュールじゃないでしょうか。
また、本丸跡からは真庭市方面も望めるので、ぜひ眺めて帰ってください。
番外編|勝山が城下町たるゆえんである高田城跡にも行ってみた。
城下町というけれど、その元となる城跡に行ったことがあるか!?
絶景山城ハイキングと言いつつも、県北の山城で気になっていたのが、真庭市勝山にある『高田城跡』。勝山町並み保存地区は誌面でも何度も紹介しているし、行ったこともある場所。しかしこの勝山町並み保存地区のルーツは城下町。ということは城はどこ? それが『高田城跡』なのです。
藩主として有名なのが三浦氏で、戦国時代に最初の城主となりました。勝山には、三浦氏の別邸が『椎の木御殿』として残っています。『高田城跡』は、勝山町並み保存地区の背後に位置。『城山森林公園』を目指していくとよいと聞き、クルマで行ってみました。登っていくと、グラウンドのような場所に到着。ここには「二の丸跡」という看板があります。ここにクルマを停め、徒歩で本丸を目指しました。杉林の間に登山道があり、途中には堅堀や堀切といった山城らしい地形も残っていました。そして本丸からは、かろうじて遠くに神橋と少しの町並みが見え、そこで城と城下町の関係を実感することができました。近々、木々を剪定してさらに景色が見えるようにするそうですよ。本丸まで30分ほどの軽めのハイキング。ここは野鳥の観察スポットみたいなので、春に来るのもいいかもしれません。
ふもとの『真庭市立中央図書館』の駐車場には、重臣の屋敷の生活遺跡が残る「三の丸遺跡」があり、ここが一番『高田城』の遺構らしいところなので、ぜひチェックしてください。
山城に登る際は無理せず、サルやイノシシにも注意!
寒くても歩いているうちにいつのまにか体が温かくなっていく冬のハイキング。汗で体を冷やさないように注意してくださいね。また、無理はせず体調に合わせてハイキングを行いましょう。そして、今年はイノシシやクマ、サルなどの出没情報があるので、気配を感じたら勇気ある撤退を! また、冬は積雪している場合もあります。行く前に天候の確認をして、安全を考えて計画しましょう。澄んだ空気の中、冬の山城ハイキングを楽しんでください。
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