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岡山から夢を追うアスリートを応援! 夢人

《平山姫里有×アイスダンス》引退危機の暗闇から救い出された氷上のマドンナ。

THE VOICE OF ATHLETE

  • 情報掲載日:2020.12.17
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

《平山姫里有×アイスダンス》引退危機の暗闇から救い出された氷上のマドンナ。

岡山ゆかりのアスリートから、またも期待の新星が現れた。フィギュアスケート・アイスダンスの平山姫里有選手だ。
昨季で引退かと危ぶまれた彼女が、今や2年後の五輪を目指すことになった運命の出合いとは――。

夢人
平山姫里有 KIRIA HIRAYAMA
6歳からフィギュアを習い、小学4年生でアイスダンスに転向。2018年から2年連続で日本選手権の表彰台に上り、今季は初の優勝を目指す。1999年3月31日生まれ。

目指すは22年北京。「今の自分たちには無謀な目標ではない」。

2020年秋、日本アイスダンス界に注目の新星カップルが登場した。「きりある」こと、平山姫里有・立野在選手のカップルだ。11月に京都で開催された西日本選手権は惜しくも2位に終わったが、デビュー戦とは思えぬ見事な演技を披露。総合点139・82と、平山選手は自己ベストも更新した。1位組に点差をつけられたのは大半が出来栄え点と構成点で、基礎点に大差はなし。パターンダンスに至っては1段階上の評価を獲得し、結成7カ月の新カップルとしては上々の滑り出しとなった。

氷上ではどこか余裕ありげにも見えた平山選手の演技も、実は昨年の全日本選手権を最後に見納めになるはずだった。今年2月、前パートナーの競技引退に伴いカップル解消。その1年前にも別のパートナーとの別れを経験したばかりで、立て続けのカップル解消に彼女の心は行き場を失っていた。「新しいパートナーを見つけても、また一から関係を築かなければいけない。こんなことのくり返しでは、いつになっても心から納得できる滑りなんてできない」――。いつしか引退直前まで沈んでしまった彼女の気持ちを振り戻したのが、立野在さんだった。

夢人
初戦の反省点を振り返りながら細かな調整に挑むふたり。全日本選手権ではさらに表現力豊かな演技を披露してくれそうだ

現役時代に全日本ジュニア選手権3連覇、四大陸選手権出場も果たした立野選手は、平山選手にとってノービス時代から一目を置く存在だった。2018年の引退後は接点もほぼなくなっていたが、有川梨絵コーチのアシスタントとして立野さんが来岡すると、徐々に距離が縮まっていった。前パートナーとのカップル解消が決まると競技継続に対する不安や引退に揺らぐ思いも打ち明けるようになったが、他方、応じる立野さんの胸中は複雑だった。カップル解消の辛さは十分理解できたが、それをおいても極めて高いスケーティング技術を持つ彼女を失うのは日本アイスダンス界にとって大きな痛手。周囲の大きな期待を背負いながら不完全燃焼で引退することの無念も、身をもって知っていた。それに加え、引退のきっかけとなった肩の故障が思いのほか急速に回復していた立野さんは、平山選手とは裏腹に現役復帰への希望を膨らませ始めていたのだ。「復帰するなら、パートナーは姫里有しかいない」――。コーチに説得されても家族が反対しても翻ることのなかった彼女が一転して現役続行を決意したのは、そんな立野選手の熱意に半ば根負けしたからだ。「納得いくまでやり切ってからでも遅くはない」。現役時代、自分以上に大きなプレッシャーと闘ってきた立野選手の言葉で、一度は暗闇に飲み込まれそうになった自分のキャリアが再び輝きを取り戻したように見えた。「選手としてはもちろんひとりの人間としても尊敬していて、どんな私も力強く受け止めてくれる頼れるお兄ちゃんのような存在。在くんとなら、また自分らしく滑れるような気がしたんです」。

夢人
組んでいる立野選手とは練習中に気づいた課題は率直に伝え合う。揺るぎない信頼関係があるからこそ、意見の相違も真摯に受け止められる

そんな平山選手の言葉に「現役時代は僕も彼女と似たような経験を幾度もした。お互いの気持ちが理解し合えるということは、息を合わせて演技するカップル競技において、ある意味何より重要なことなんです」と話す立野選手。なにせ、個性も経験も異なる男女ふたりが接近してスケーティングするのだ。いくらそれぞれの技術が高くても、心が別の方向を向いていては演技の完成度は一気に落ちてしまう。思いの相違はパートナー解消の火種にもなるが、逆にしっかりと共有できれば、それは想像を超えるケミストリーを生む。結成わずか半年のデビュー戦で、優勝した夫婦組と比べても決して劣らぬ演技を披露することができたのは、既にふたりが「心から信頼し合える関係性」があったことの何よりの証だ。

夢人

西日本選手権は、コロナ禍であいにくの無観客試合となった。試合感がつかみづらくはあったが、「自分たちの滑り」の手ごたえは十分。目前に控える全日本選手権に向けた準備も万全だ。もちろん、全日本の表彰台の先には2022年の北京五輪も見据えている。世界レベルでみれば日本アイスダンス界はまだまだ成長途上で、決して簡単な道のりではない。けれどかつてなく強固な絆で結ばれた「きりある」組にはもはや、強気しかない。「可能性がゼロでない限り、挑戦する」。「引退撤回」という巨大な壁をともに打ち破った先に続く道は、ただただまっすぐに未来へと続いている。

(タウン情報おかやま2020年12月号掲載より)

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