Mission_76/2億年前の「生きている化石」、カブトガニにあえる! 見どころ満載、遊んで学べる複合施設。
奇跡の古代生物「カブトガニ」がテーマの、こだわりあふれる博物館。
こんにちは。『まかせてちょ~査団』の団長Mです。
週末や連休が近づくと、フツフツと湧き上がってくるのが「お出かけ欲」。県外移動や遠出の旅行がなかなかできない時期、みなさんはどんな風に連休を過ごしていますか?
特に子どもを連れてお出かけするパパ、ママの中には、外出先を決めるだけでもひと苦労…なんて人も少なくないはず。そんな時こそ、岡山県内の定番レジャースポット・施設に目を向けてはいかがでしょうか。
気になっていたけど足を運べていない場所や、子ども連れでも安心して過ごせるスポットを開拓すれば、地域の魅力を再発見したり、思いがけない楽しさを体験できたりするかもしれません。
近場なら準備や移動の負担が少なく済みますし、疲れずのんびりと休日を楽しめますよね。
遊び、学び、自然を満喫できて、ついでにコスパもよければ大満足! ちょっと欲張りすぎかもしれませんが、今回はそんな「お出かけ欲」を満たしてくれる地元スポットをご紹介します!
訪れたのは、『笠岡市立カブトガニ博物館』。世界で唯一の「カブトガニ」をテーマにした博物館として、地元ではすっかりおなじみとなっているスポットです。
カブトガニの形をイメージして設計されたという建物は、中央部が大きなドーム型をしています。銀色の外面と球体のフォルムも実に近未来的で、建物からして非常にこだわりを持った博物館であることが分かります。
絶滅危惧種であり、「生きている化石」とも称される「カブトガニ」。館内では生きているカブトガニを間近で見学できます。
中に入ると左手に受付があり、奥から館長の森信(もりのぶ)さんが出迎えてくれました。
まずご案内してもらったのは、エントランスの水槽で飼育されている2匹のカブトガニ。入ってすぐにカブトガニとご対面!
名前の通り、兜のような硬い甲羅に覆われたカブトガニは、2億年以上も前から生き残っているそうです。何と恐竜の繁栄した頃には、すでに現在とほとんど形を変えないまま存在していたとか。
古代生物の雰囲気を残す独特なフォルムは、まるで甲冑をまとったようなカッコよさを感じます。
「名前は『カニ』ですが、実はクモやサソリに近い生き物です。団長Mさん、この2匹の違いが分かりますか?」(森信さん)
よーく見ると、手前のカブトガニは体の後ろの方に長いトゲが6本もありますね!
「そうなんです。6本のトゲがある方がオスのカブトガニで、サイズの大きい奥側がメスのカブトガニ。オスはメスの後ろにくっついて『つがい』で行動する習性があるんです」
甲羅を持つ生き物の中でも個性的な見た目をしていますが、オスとメスが連なって動く様子はチャーミングさを感じます。思わずほっこりした気持ちになりますね。
1階はカブトガニを飼育する大水槽をはじめ、貴重な化石標本や資料を数多く展示。謎多きカブトガニの生態や進化について、楽しみながら学ぶことができます。
天井が高くダイナミックな館内は、太古のロマンと近未来が融合したような神秘性のある空間になっています。
ちなみに写真左の巨大な顎(あご)は、全長16メートル以上あったとされる、絶滅したサメの標本。そのほか瀬戸内の魚類やカブトガニ以外の化石動物も見学できますよ。
生きているカブトガニから貴重な化石まで、ダイナミックな展示空間にワクワク。
展示室の注目ポイント「カブトガニ大水槽」の中には、可愛い子どものカブトガニがいました。砂に潜る手前の一瞬をキャッチ! 小さな尻尾とトゲトゲはあるものの、まだ柔らかそうですね。
「カブトガニは水温が一定の温かさにならないと動かない生き物で、1年の半分以上は寝てますね。起きている約5カ月の間に一生懸命エサを食べて、卵を産むんです」
しかも成体になるまで10年以上かかるとされ、十数回の脱皮を繰り返しながら長い時間をかけて成長するのだそう。
2億年も前から形を変えずに脈々と命をつなぎ、スローペースで生きる長寿の生き物・カブトガニ。その生態を知れば知るほど、なんだか愛おしく思えてくるから不思議です。
こちらは標本のカブトガニ。見た目からゴツゴツした堅そうな質感が伝わりますね。常にほふく前進スタイルのカブトガニですが、甲羅の裏側はどうなっているかというと…。
こんな感じ。こちらは腹側の構造を解説するために創られた巨大なマリオネットで、上部に並んだ歩脚(ほきゃく)はレバー操作で動かすことができます。
金色に輝く巨大なカブトガ二。ワラワラと動く脚は、なかなかリアルで迫力ありますね!
現在地球上に生息しているカブトガニの種類は、「カブトガニ」「アメリカカブトガニ」「マルオカブトガニ」「ミナミカブトガニ」の全部で4種だけ。
館内には4種類のカブトガニの世界各地の分布図と種類別の標本が展示されています。種類ごとの微妙な違いが分かるかな?
「日本に生息しているのは『カブトガニ』の1種のみ。カブトガニは海岸部の干潟に生息する生き物で、国内では瀬戸内海や北九州の一部の沿岸でしか生息していません」と森信さん。
笠岡市は日本の中でもごく僅かに残るカブトガニ生息地の干潟があり、その繁殖地域は国の天然記念物に指定され、大切に保護されています。
カブトガニの飼育展示室やシアター、恐竜模型も完備。大人も子どもも夢中になれる!
『カブトガニ博物館』は1990年(平成2年)3月に開館。元々あったカブトガニの研究・保護活動施設『カブトガニ保護センター』が母体となり、カブトガニについて広く知ってもらうために設立されました。
「干拓や海洋汚染の影響により、カブトガニの棲める干潟が減少の一途をたどっています。カブトガニが生存するためには、自然の力によって砂泥が蓄積した干潟があり、さまざまな環境条件が必要です」
「カブトガニを保護することは、海の環境を守ること、自然保護を考えることにつながるんですよ」
『カブトガニ博物館』では、現在もカブトガニの保護活動として人工飼育や幼生の放流に取り組んでいます。敷地内には飼育展示室があり、飼育しているカブトガニの子どもや、産卵池の様子を見学できます。
展示室もまだまだ見どころがたくさん。館内には大型シアターがありました。吹き抜けにつくられた円形劇場のような空間では、カブトガニをテーマとした映像を迫力たっぷりに楽しめます。
2階フロアは恐竜ゾーン「ダイノスロープ」。ティラノサウルスやバリオニクスなど、実物大の恐竜模型を吹き抜けの大空間で見学できます。非常に凝った展示で、見せ方と空間、動線などもスケールが大きい!
展示物のほかにも、お子さんも楽しめるクイズコーナーや関連書籍を集めた資料室、さらには海を臨める屋外展望室など、見ごたえたっぷりです!
帰りにはお土産もチェックしてください。写真は、館内で何度も出合ったマスコットキャラクター「カブニ君」と「カブ海(み)ちゃん」のマスコット1体700円と、マスキングテープ1個200円。
カブトガニの脱皮した殻もグッズ化されていて、一番の売れ筋商品として人気。記念に買って帰る来館者が多いそうです。
「カブトガニを過去の生き物にしないよう保護活動を続け、カブトガニや古代生物の魅力を伝えていきたいです」と話す森信さん。
博物館では常設展示のほかにも年2回の企画展を開催し、今後は寄贈された2000点以上ある化石コレクションの展示にも力を入れていくそうです。
実物大のリアルな恐竜模型が大人気。恐竜公園で思いっきり遊ぼう!
博物館の正面には、緑に囲まれた公園が広がっています。快晴の空に、緑あふれる気持ちのよいロケーション。ここは子どもたちを夢中にさせる巨大な「アレ」がいました。
体長15メートルの「ティラノサウルス」が目の前に出現! 決して動きませんのでご安心を。
ここ『恐竜公園』は、本格的な恐竜の復元模型がある公園として全国的にも珍しいスポットなんです。学術監修を受けているため精度が高く、ちゃんと実物大につくってあります。大人もその迫力に圧倒されるはず! 一気に恐竜時代にタイムスリップできますよ。
林の中に隠れていたのは、長い首と足の縞模様が特徴の「イグアノドン」。「これがもし実際に動いたとしたら…」と思わず妄想してしまうほどのリアルさ!
敷地内は森や海、砂漠といった当時の環境を、芝生の丘や池、雑木林で表現。起伏のある園内は、場所ごとにさまざまな風景が楽しめます。
広い園内には8体の恐竜が展示され、まさに映画の「ジュラシックパーク」状態。どこにいるか探しながら園内をくまなく散策したり、ベンチに座ってゆっくり景観を楽しんだりと、思い思いに過ごせる空間です。お子さんの写真を撮るなら、絶好のフォトスポットになりそう!
こちらは本当に動き出しそうな「ディプロドクス」。
子どもたちにとっては、恐竜に出会えて思い切り走り回れる最高の遊び場であり、大人にとっては、のんびりお散歩するのにぴったりの場所。公園の一角にはアスレチック広場があり、複合遊具で遊ぶこともできます。
『カブトガニ博物館』との広い共有駐車場や、トイレ、自動販売機もあるので安心ですね。
『恐竜公園』は入園無料なのも高ポイント。『カブトガニ博物館』の入館料もリーズナブルなので、気軽に行けちゃうのがうれしいですね。
カブトガニ&恐竜という古代生物の世界に浸れる一日、いつもと違う新鮮な休日が過ごせますよ!
Information
Information
笠岡市立カブトガニ博物館
- 住所
- 岡山県笠岡市横島1946-2 [MAP]
- 電話番号
- 0865-67-2477
- 開館時間
- 9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休み
- 月曜、祝日の翌日 ※春休み、ゴールデンウイーク、夏休み期間中はなし
- 入館料
- 一般520円、高校生310円、笠岡市外の小中学生210円
- 駐車場
- 100台
- HP
- https://www.city.kasaoka.okayama.jp/site/kabutogani/
- 備考
- ※新型コロナウイルス感染防止のため、土・日曜、祝日は人数制限あり
<消費税率の変更にともなう表記価格についてのご注意>
※掲載の情報は、掲載開始(取材・原稿作成)時点のものです。状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、利用前には必ずご確認ください
※お出かけの際は、ソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用、手洗いや消毒など、新型コロナウイルス感染予防の対策への協力をお願いします