あの大ヒット映画から感じたこと
「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は公開から3週間で、『ハリーポッターと賢者の石』の映画興行収入・約203億円を超え、歴代5位の興行収入を記録しています。
「感染対策が万全になされている」と聞く映画館ではありますが、「室内」というコロナ禍で少しネガティブにも見える条件の中、アニメに疎い私でさえ興味を持つほどの国民的大ヒットとなっています。
これは「楽しい」と感じたものに人は動くということの証で、特にエンターテインメント業界において「『楽しい』と感じていただけるコンテンツを提供できれば、来場に繋がる」ということを実感しています。
今季の『ファジアーノ岡山』においては、新型コロナウイルスの影響で2月23日から約4カ月間試合が中断され、6月27日より試合を再開しました。
11月15日の『ジュビロ磐田』戦を終えた時点での、再開後に来場者をお迎えして行った17試合の平均入場者数は2881名でした。
昨シーズンの平均が9444名でしたので、人数だけ見ると寂しく感じてしまいますが、入場者数制限のあった今年の18試合で、いくつかの気づきがありました。
11月に入場者数が変化
なかでも、再開から8月末まで8試合の入場者の平均は2051名。
入場制限の上限4000名には程遠い人数でしたが、9月の最初の試合では、岡山県のご協力により「バックA自由席」のチケット無料と、入場者全員にオリジナルユニフォームシャツプレゼントの告知を実施し、販売開始10分でチケットが売り切れました。
また、11月よりスタジアムでのビール販売や、イベントを再開した結果、11月は4585名、3463名、6968名(チケット完売)と、3試合平均が5005名となり、入場者数は大幅に増加しました。
余談ですが、ビールの販売解禁後、フーズの売上も伸びており、 10月18日(3594名入場)の試合と比較しても、各試合でフーズの売上は1.5倍以上の伸びとなっています。ビールとフーズの組み合わせ、最高ですよね!
スタジアムの新型コロナウイルス感染症対策により、「安心・安全なスタジアム」づくりに皆さんが理解を深めてくださったこともありますが、やはり「楽しい」「楽しそう」と思っていただくことが「行ってみたい」という行動に変わるのだ、と実感しています。
『大原美術館』で得られた気づき
先日、倉敷美観地区の『大原美術館』に行ってきました。
感染症対策として絵画の数を減らし、間隔を空けて展示されていたのですが、それが逆に一つひとつの絵画をゆっくり鑑賞できる環境となっていました。
ソーシャルディスタンスの注意喚起の掲示物も、まるでゆっくり鑑賞するための演出にすら感じられ、現状を逆手に取ったかのような素晴らしい取り組みが、大変勉強になりました。
展示物の中にルオーの『道化師』がありました。
この作品は1970年に盗難に遭ったものの、窃盗団が捕まったことで奇跡的に美術館に戻ってきた作品です。盗難から戻ってきた後は、「その作品を見に行こう!」と美術館は大盛況で、来館数が異常に伸びたそうです。
コロナ禍でも「楽しい」を実現する
アンケートやSNSでの反応を見る限り、コロナ禍における職場やご家庭の環境により、まだまだ来場したくてもできないファン・サポーターの皆さんが少なからずいらっしゃるものと認識しています。
そのような方々が早く安心して来場いただける状況になる日が来ることを願い、そのために懸命に取り組んでいきたいとおもいます。
そんななかで『鬼滅の刃』の映画のヒットは、「このような状況では、何をしても人は集まらないのでは?」とやや疑心暗鬼になっていた私たちの感覚に一石を投じてくれました。
コロナ禍においても「安心・安全なスタジアム」を前提に、「楽しい」を意識したコンテンツをご提供することが、興行主として必要なことだと考えています。
「『楽しい』は人を動かす原動力」。そう信じています。
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※掲載の情報は、掲載開始(取材・原稿作成)時点のものです。状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、利用前には必ずご確認ください
※お出かけの際は、ソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用、手洗いや消毒など、新型コロナウイルス感染予防の対策への協力をお願いします