「岡山ラーメン★エクスプローラーズ」が大復活。
ラーメンが大好きな大盛りアニキとバリカタ姐さんがコンビを結成。毎月気になるテーマを掲げ、無理やり独断で3選します! そして再び岡山のラーメン界に参戦!←ダジャレ
アニキがチョイスし、姐さんがお店に突撃取材! 選びますとも、行きますとも、聴きますとも!
店主やスタッフが普段は話さないようなことをインタビューで引き出して、岡山のラーメンのさらなる魅力に迫ります!
《連載第16回》今回のテーマは「瀬戸内市のラーメン店」
みなさん、お元気ですか? 大盛アニキです。
今回は「瀬戸内市」にフォーカスしてみました。かつての邑久郡ですね。
あいも変わらず、いろんな方に情報を聴いての調査を実施し、現地に行ってお店にお邪魔をしてのチョイスを試みたのですが、3軒をバン、バン、バンと並べてみて、驚きの共通点に気づきました!
なんといずれも、以前のラーメン店からスタイルや屋号を変えてオープンされたお店だったんです。事情や経緯はそれぞれですが、なんという偶然!
と、なるとですよ? そこでは一体どんなドラマが繰り広げられたのか、気になりませんか? ワタクシは気になりますね。そういうのちょ~気になる!
「前の店名の時との差別化をするには?」とか、「以前からのファンの人にも来てもらえるようにしつつ、且つ新しい人にもアピールしないと!」などなど。
通常の新規オープンとはまた違った想いや工夫もあったと思うんですよね。そういうの大好物です。ぜひとも根掘り&葉掘りと詳しく聞いてみたいところじゃないですか!
そして、もうひとつ。今回の記事では、この土地ならではの傾向というか、ズバリ言うと「瀬戸内市で人気のメニュー」らしきものが明らかになります。姐さんがきっと見つけてくれますぜ。
単なる偶然なのか? そこに因果関係はあるのか? 何故に瀬戸内市民は○○ラーメンを愛しすぎているのか? そんなことを考えながら足を運んでいただければ光栄の至り。
それでは姐さん、張り切って行ってらっしゃい!
どうも! 現場のバリカタ姐さんです。
邑久町、長船町、牛窓町の3つの町からなる瀬戸内市。
瀬戸内海に面した風光明媚な港町を北に上がれば、田んぼの中に幹線道路や鉄道がのびる市街地があり、エリアごとに異なる表情を持っています。
今回大盛りアニキが選んだのは、いずれも国道&県道の沿線グルメとして愛されるラーメン店。
3軒とも屋号を変えてお店を続けているという共通項も気になるところですね。
「エリアのお店」というテーマ以上に、ラーメンファンの心をくすぐるネタが聞けるかも。それでは行ってきます!
中華そば まるや 長船店
岡山の老舗『マルバン』の姉妹店。豊富なメニューに店の個性が光る!
国道2号線沿い、『おさふねサービスエリア』の東に位置する『まるや 長船店』は、30年以上続く岡山の老舗チェーン『マルバングループ』の姉妹店。
「岡山市中区のラーメン店」の回では『マルバン 東岡山店(兼基店)※2021年2月末で閉店』をご紹介しましたが、今回は瀬戸内市ということで再びの登場となりました。
こちら、元々は『マルバン 長船店』という直営店でしたが、のれん分けした『マルバン 邑久店』との差別化を図るために屋号を変え、姉妹店として営業しているそうなんです。
各店は創業した会長の息子さんたちやお弟子さんが引き継がれていますが、『まるや』は次男の明広さんが代表としてお店を切り盛りしています。
『マルバン』はあっさりした豚骨しょうゆスープ&中細麺のラーメンが特徴で、昔ながらの中華そばの味がファンに愛され続けています。
且つ、チェーン店ながら店舗それぞれに違うメニューがあり、同じ味をベースにしつつも店主によって持ち味が違うのだとか。
「『まるや』は、ほかの系列店よりもスープに甘みがあるのが特徴です。当店は年配のお客様も多いので、よりまろやかな後口に仕上げています」(明広さん)
各店ともラーメンのバリエーションが豊富で、『まるや』もみそ、塩バター、ゴマ醤油など多彩なラインアップ。「麻婆麺」といった独自メニューもありましたよ。
なぜか局地的人気の「五目そば」。2種のスープからあっさり塩豚骨をチョイス。
『マルバン』の看板といえば「ニラモヤシ炒めそば」ですが、『まるや』にはそれと並ぶ、いや超えるかもしれない人気の品があるそうです。
それがこちら、「五目そば」850円。
野菜やキノコを中心に、ナルトやチクワ、キクラゲにうずら玉子などが加わり、チャーシューも含めて具材の数はなんと14種類以上!
スープは豚骨醤油と塩豚骨の2種類から選べます。
バリカタ姐さんが選んだ塩豚骨は、豚骨だしと野菜の風味でコクの深い味わいに。さっぱり感を残しつつも、後を引く旨味があります。
トロリとした「あん」がこれまた絶妙で、自社工場で作るこだわりの麺と絡むもっちり食感がたまりません! 盛りだくさんの具材が、あっという間に口の中へと消えていきました。
明広さんいわく、「この地域は五目そばを出すお店が多く、うちの店でも特に注文が多くて…」とのこと。
五目ラーメン自体は珍しいものではないですが、瀬戸内市内で局地的に人気が高いのは何か理由があるのでしょうか?
ラーメンと一緒に頼む人が多いという「春巻き」520円も注文。もちもちの皮とトロみをつけた具材が食べ応え抜群。セットメニューや日替わり定食、中華系のおかずやトッピングも充実しています。
『マルバン』の味を継承しつつ、オリジナリティも追求する『まるや 長船店』。 老舗の味と多彩な料理で、岡山のラーメンファンに元気を届けています。
傘や
『ラーメン大統領』&とんかつの名店が合体! ハイブリッドなラーメン食堂。
JR邑久駅から歩いて2分、県道223号沿いにある『傘や』。目印の赤い看板には大きく「とんかつ・かつ丼」と書かれていますが、その下には『ラーメン大統領』の文字が。
そう、ここはかつて岡山のラーメンチェーン『ラーメン大統領』として営業していたお店で、途中から『傘や』に屋号を変更されたのだそう。
随分とんかつ色の強い外観になりましたが、とんかつ屋なのか大統領なのか、一体どっち?
取材に応じてくれたのは女性オーナーの本郷さん。どんな経緯で現在に至っているのですか?
「『傘や』という名前は、私が長年通っていた岡山市役所近くのとんかつ屋『傘屋』の屋号からきているんです」
「ここで元々『ラーメン大統領』のフランチャイズ店として経営をしていたのですが、『傘屋』がお店を閉めると聞いて、弟子としてご主人の味を受け継ごうと決めました」
早速、お店でとんかつメニューを出そうと決めた本郷さん。
「チェーン店ながら独自の経営スタイルをとっていたので、割と自由にお店づくりができたんです」
「『ラーメン大統領』の看板のままだったら、とんかつがあるって思われないかも」と考え、看板も屋号も思い切ってチェンジ。で、今に至ると。
そう、ここは『ラーメン大統領』のDNAを継承しながら、『傘屋』ののれん分けでもあるというハイブリッドなお店なんです!
週3日食べられる旨さがコンセプト。でも毎日来てほしいから多彩なメニューで勝負!
「うちのウリは、『ラーメン大統領』を超える多彩なラーメンと、絶品のカツメニュー。それ以外にもメニューは豊富ですよ」(本郷さん)
こちらは「大統領ラーメン」649円。
独自の製法で煮込んだ背油入りの豚骨しょうゆスープは、コシのある麺と好バランス。クセのない風味で最後のひと口まで飲み干せる美味しさです。
『ラーメン大統領』ではおなじみのネギたっぷり乗せ。人気の薬味「にんにく唐辛子」のサービスもありますよ。
ラーメンはこのほかにチャーシュー、みそ、みそチャーシュー、野菜五目、しょうゆと全6種。
それぞれにチャーハンやミニカツ丼、デミカツ丼、カツカレーなど9品のサイドメニューを組み合わせるセットが大人気で、がっつり食べたい人にはかなりお得です。
「男性客が多いので、味もボリュームも満足感のあるメニューが多いですね。ラーメンの中では野菜五目が大人気です」
おや、ここでも五目ラーメンが人気とは。やっぱり瀬戸内市には五目そば文化が根付いているんでしょうか?
気さくな料理長が続けて運んできてくれたのは、人気の「カツカレー」単品並649円と、「レンコンコロッケ」1個110円、そして、定食メニューの「ホルモン炒め」825円(ご飯&お味噌汁付き)。
とんかつは豚肉を均一の厚さにカットし、絶妙な火加減で揚げていきます。肉は柔らかくジューシー、衣はサクサクとしたトンカツやフライ料理は、まさにとんかつ屋の本領発揮!といった美味しさ。
『ラーメン大統領』のコンセプトは「週3日食べられる味」なのだそう。
確かに、程よくリピートできる飽きのこないおいしさ。でも本音は毎日食べに来てほしいから料理の種類を増やし、なるべく食材ロスを出さないように、同じ具材で味を変える工夫もしているそうです。
チェーン店の美味しさとノウハウがベースにあったからこそ、その分メニュー開発に力を注ぐことができたという『傘や』。独自のメニューとこだわりの味で、地元ファンの心をがっちりつかんで離さないお店です。
168(いろは)
岡山ラーメン界の注目株! 現役フローリストの女性店主がつくる話題の一杯。
吉井川沿いにあるボーリング場『コーシンボウル』。その入り口横に併設されているのが、2018年5月にオープンした『168(いろは)』です。
こちらのお店の看板メニューがインパクト大だそうで、見た目も味もハマると噂に。ボウリング場の利用者や地元客を中心にじわじわとファンを増やしています。
店を切り盛りする女性店主の中谷さんは、フラワーアレンジの仕事をしていたという異色すぎる経歴の持ち主。
今も現役のフローリストとして活躍中で、二足のわらじでがんばっておられるとか。
センターテーブルを設けた開放的な店内。店内には中谷さんが手掛けたフラワーアレンジメントもあり、まるでカフェのような空間です。
中谷さんは前身のラーメン店『備前いろは堂』を手伝っていた縁で、この世界に飛び込むことになりました。
「前の店長から閉店の話を聞いて、自分が引き継いでみようと。元々料理が好きで、飲食店をしてみたいという思いはあったんです」
「でも味や作り方を受け継いだわけではなく、今のラーメンは完全に私のオリジナル。屋号も少しアレンジして数字の『168』にしました」
自分の味で勝負することになった中谷さんは、知り合いのシェフや市場のお肉屋さん、麺を仕入れている『冨士麺ず工房』などからアドバイスや協力をもらい、独学でラーメン作りを習得したそう。そのチャレンジ精神とバイタリティが素晴らしい!
具材はどっしり、なのにシンプルでほっとする味。意外性に驚くカツラーメン。
そんな『168』で評判となっているのが、「こんなラーメン見たことない!」と思わず唸ってしまいそうな一杯。
扇子のように細切りカツが並んでいるこちらは、『168』名物の「カツラーメン」900円。器の縁をぐるりと囲む圧巻のカツ&レアチャーシューに、中央には半熟卵とネギ、モヤシをオン。
麺はおろかスープも器も全然見えません。どことなく花束感があるのは、フローリストの感性が発揮されているから?
盛り付けを崩すのが勿体ないですが、具材をかき分けスープをひと口。無化調のシンプルな鶏ガラしょうゆは、見た目のインパクトに反して角がなく、優しい旨味が広がりほっとさせられる味わいです。
カツは薄く仕上げてスープに浸けないように立てて盛りつけ。最後までサクサクしたスナック感覚を味わえます。
柔らかいレアチャーシューは肉の旨味が凝縮。ボリューミーながらペロリと平らげてしまえる、そんな意外性のある一杯です。人気が出るのも頷けますねえ。
ラーメンにはミニサイズの豆腐付き。
『冨士麺ず工房』で仕入れた麺は、カツを食べる合間も極力伸びないように少し硬めの茹で加減に。
メニューにはレアチャーシューで囲んだ「168ラーメン」のほか、みそラーメンや旨辛ラーメンも提供しています。「レアチャーシュー丼」300円も絶品です。
「まだまだキャリアは浅いですが、主婦目線を店づくりに生かせたらと思っています」
従来とは違う独自路線で、愛されるラーメンを確立した中谷さん。
「2回来られたら常連さん、の感覚でOKです。一杯ずつ丁寧に作っていますので、混雑するときにはお待たせしてしまうこともありますが、知り合いのお店に行く気分で、気軽に立ち寄ってほしいです!」とのこと。これからが楽しみです!
まとめ
今回のラーメン取材は、いずれも以前あった店の屋号を変えて継承したお店の紹介となりました。
人気店を継続するにはいろんな道筋があり、こだわりや魅力も千差万別なのですね。
それにしても、瀬戸内市で五目ラーメンが人気なのは初耳でした。
これを機に、瀬戸内市をはじめとする「五目ラーメンの美味しい店」をチェックしてみたいです!
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