67♥パンめ 『源源』の「チリチリ」
朝ごはんに、おやつに、食事に添えて…まいにちのいろんなシーンで登場する「パン」。岡山にもたくさんのパン屋さんがあり、「この店のこのパンが好き!」という自分だけのお気に入りがある人も多いのでは? パンに恋したTJ女性スタッフが、とっておきの「惚れパン」を心ゆくまで語ります!
[ナビゲーター]しょこ
TJスタッフ暦13年目のアラサー女子。パンを買いに行くために遠征し、自分でも家で焼くほどのパン好き。朝ごはんは必ずパンと決めており、なかでも一番好きなのはベーグル! パンシェルジュ1級にめでたく合格し、「マスター」の称号を手に入れる。子どものころの将来の夢は、パン職人の旦那さんと結婚すること。
この連載も早いもので3年目を迎え、紹介したパン屋さんは66軒となりました。
たくさんの職人さんの想いにふれ、その工夫やアイデアを知るなかであらためて感じるのが、パンづくりに大切なのは「ユーモア」なのではないかということなんです。
おいしいパン屋さん、ワクワクするパン屋さん、オリジナリティあふれるパン屋さん、どこも店主さん自身がつねに楽しみながらパンを作っていて、実に好奇心旺盛!
楽しむ姿勢が伝播するのか、自然とおいしいパンができあがって素敵なお店を作り上げているような気さえします。
それを強く感じられるのが、今回登場する一軒。あふれんばかりのワクワクとユーモア、とくとごらんください!
森にあらわる黒いドームに好奇心が止まらない!
森をかきわけたどり着くと、まず目に飛び込んでくるのが大きなダークブラウンのドーム型の建物。一見してパン屋さんとはわからない、特徴的な外観をしています。ここに来ると、なんだか秘密基地みたいでいつもドキドキ、胸が高鳴ります。
お店の名前は『源源』さん。
こちらもパン屋さんらしからぬ店名は、ものごとのはじまりである「みなもと(源)」という文字を使いたかったこと、水が絶えまなく流れるようにずっと愛される店として歩んでいきたいとの願いを込めてつけたんだそうです。
2008年にオープンしてからはや13年を迎え、地元・玉島からはもちろん遠方は県外からも客が訪れる名店へと相なりました。
『源源』さんで特筆すべきは、オリジナリティのあるネーミングセンスの高さ。
そのユーモアとセンスはプライスカードに書き添えてあるひとことからも存分に感じられますので、来店時にはぜひチェックしてみてくださいね。
包み開くと刺激ほとばしるラテンなパン
創意工夫が込められたオリジナルのパンが数多くそろう『源源』さん。
ピカイチのネーミングセンスについてはのちほどふれるとして、ここでは味の点で一度食べると忘れられない刺激的なひと品をご紹介しましょう。
それがこちらの「チリチリ」205円なり。名前からご想像のとおり、パンの中にはひき肉にカイエンペッパーとチリソースを合わせたスパイシーなフィリングがたっぷりと。心して食べないと、予想を軽々と超えてくるほどの刺激が口内に刺さりますよ!
もちろんただ辛いだけではなくあと引く辛みなので、辛いものマニアの方にはたまらないはず。パリパリとした食感の生地がこれまた中身に負けないおいしさで、やみつきになること間違いなしです~。
ユニークな発想のネーミングにもご注目
まずは『源源』さんの持ち味のひとつである、ネーミングの面白さが光るパンを2種類。
ひとつ目はその名も「ジョージ・クルーミー」なるクルミパン。ふんわりと柔らかなパン生地はオーソドックスな味わい。クルミがふんだんに入っているために香ばしさが立っています。
クルミには本来独特のクセがあるものですが、店主さんによると「ひと手間かけた下処理をすることでクルミ特有のクセが抜けて素朴な甘みが感じられる」のだとか。シンプルなクルミパンに見えて、おいしさアップの工夫が加えられているのはすごい!
次に、こちらもダジャレセンスが効いた「茶メロンディアス」。
メロン皮のクッキー生地にはアールグレイの茶葉が練り込まれ、とても優雅ないい香りがします。芳醇な紅茶葉の香り、100%バター使用だからこその上品な香りが絡み合い、口の中から鼻に抜け残る余韻まで楽しむことができます。
通常より少し薄めに仕上げた皮のおかげでサクサク感が強く感じられるのもポイント。パティシエ顔負けの「スウィーツ感覚」メロンパンですよ。
ダジャレネームとあなどるなかれのクオリティの高さに加え、いずれも140円というお手頃価格もうれしいですよね。
それから名前だけじゃなく、カタチがちょっと変わっているパンが多いのもこちらのお店の特徴。
まず目に留まったのはUの字のようなフランスパン「馬蹄(ばてい)」172円です。
その名前からもわかるとおり、馬のひづめを模しているんです。なんでこのカタチにしたんでしょうか、本当に面白い発想ですね。
肝心のパンは、ほどよい弾力感のフランス生地にレーズン、クルミ、クランベリーがぎっしり詰まっています。ドライフルーツの甘みと酸味がベストマッチし、クルミの食感もプラスされてかみしめるごとにうまみがあふれてきます。
このままモグモグかじりついておやつにするのもいいですし、通(ツウ)はスライスしたチーズをのっけてワインとペアリングを楽しむのもよさそう!
次はカゴのように編み込まれたビジュアルのキュートさも女子好みなデニッシュたち。
独特の編み編み模様の効果で、ただでさえサクサクなデニッシュがさらに香ばしくサクサクに進化しています。
人気があるのは「めんたいもデニッシュ」194円や「チーズベーコン」183円といった鉄板のテイストだそう。あの有名な明太子専門店『やまや』の明太子とホクホクのジャガイモ、と聞けば食べる前からよだれが止まらないですよねぇ。
「チーズベーコン」のほうは、サイコロ状のベーコンとたっぷりチーズ、アクセントに黒コショウ…。
「あれ?これってカルボナーラ?」と思った方はいませんか?
まさしくそのとおり!
パン×カルボナーラのハイブリッドといっても過言ではないでしょう。気になる方はぜひその舌で確かめてみてくださいね。
ラストに、おしゃれなベーカリーではときおり見かけるキューブ型のひと品をご紹介します。
それが写真右上の「カマンベールキューブ」。なんとお値段118円!
げ、激安じゃないですか??
まろやかなチーズクリームが詰まっているので、そのまま食べてももちろんおいしいんですが…。レンジやトースターでちょっぴりあっためると、クリームがとろーんとしてこれまた最高の味わいに変化します。カマンベールチーズのクリーミーさが絶妙♪
パンだけじゃなく焼菓子もハイレベル
陳列棚やレジ台、店内の照明にいたるまで全部手作りの店内は温かみにあふれ、ムーディーな照明もあいまっておしゃれな雰囲気。
棚には約60~70種類のパンと焼菓子がところせましと並べられています。
クッキーをはじめとした焼菓子が豊富なのは、パティシエ経験を持つ職人さんがゆえなのだとか。
店内には窓からの自然光がほどよく入るためか、外から見るよりも広々した印象を受けますね。
こちらでは材料にこだわり、地元・玉島にある『うぶこっこ家』の卵を使ったカスタードクリームや自家菜園の野菜を取り入れているのだそう。
『うぶこっこ家』さんといえば、卵好きなら知らないものはいないであろう名店ですよ! ここの卵、おいしいんですよねぇ~。私も卵好きのはしくれなので何度も購入したことがあります。
また、パン生地には添加物を極力少なくすることで雑味のないあっさり系に仕上げているのがポイント。
しかしながら、ただあっさりなだけじゃないうまみにあふれているのは、ひとえに職人さんの努力のおかげ。通常の工程にひと手間を必ず加えるために、食べやすさとコクが引き出され毎日食べても飽きがこない味わいになるんですね。
「さすがプロ」と、その心意気にうなってしまいました。深い気配りと努力に感謝しつつ、本日もうまいパンをほおばる私なのでした。
『源源』の店舗データ
Information
源源
- 住所
- 倉敷市玉島柏島5162-1 [MAP]
- 電話番号
- 086-522-6686
- 営業時間
- 7:00~18:00 ※売切れ次第終了
- 休み
- 月・木曜(月曜が祝日の場合は翌日に振替)
- 駐車場
- 5台
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