朝ごはんに、おやつに、食事に添えて…まいにちのいろんなシーンで登場する「パン」。岡山にもたくさんのパン屋さんがあり、「この店のこのパンが好き!」という自分だけのお気に入りがある人も多いのでは? パンに恋したTJ女性スタッフが、とっておきの「惚れパン」を心ゆくまで語ります!
[ナビゲーター]しょこ
TJスタッフ暦10年目のアラサー女子。パンを買いに行くために遠征し、自分でも家で焼くほどのパン好き。朝ごはんは必ずパンと決めており、なかでも一番好きなのはベーグル! 先日みごと「パンシェルジュ3級&2級」を取得! 現在は1級受験に向けて勉強中。子どものころの将来の夢は、パン職人の旦那さんと結婚すること。
30♥パンめ 『Boulangerie Colombages』の「シナモンロール」
岡山市中区エリア、2軒めにご登場いただくのは、岡山県民にはもうすでにおなじみの大人気店『Boulangerie Colombages』さんです。場所は、新鶴見橋を東に少し行ったところ。中区役所や岡山中央署といったランドマークからも近く、洋風のクリーム色の外観が目印の可愛らしいブーランジェリーです。なんだか本当にヨーロッパに来たような気分に…。テンションもおのずと急上昇、期待とパン欲(私の第四の欲求です)が高まります。ちなみに「colombages」はフランス語で、木枠を露出させる建築様式のことだそう。店主さんがフランス・アルザス地方で修行していたときの街並みの美しさが印象に残り、その名を付けたんですって。
こちらは、並ぶパンだけでなく注文方式もちょっとめずらしい「ヨーロピアンスタイル」。ショーケースの中に大事に大事に並べられたなかから、欲しいパンを店員さんに口頭でオーダーします。慣れないとちょっぴり緊張しちゃうかもだけど、作り手に愛情を注がれたパンたちだからこそ、ぜひとも臆せずにオーダーしてスタッフさんとのコミュニケーションも楽しんでほしいです。気になることやおすすめなど、どんどん聞いてみましょう。
たくさんスタンバイしている「愛を込められた」パンのなかでも、私のフェイバリットはこれ。香り高さによだれが出ちゃいそうなヴィエノワズリーの代表「シナモンロール」194円です。普段あんまり自分では選ばないパンなんですが、実は友人に「超おすすめ!!!!」されて食べてみたんです。そしたらドハマりしちゃって。今では何度もリピートするほどのラブパンなんですよ~。出合わせてくれたYちゃんに感謝です。
シナモンマジパンのペーストにピーカンナッツを巻いて、マフィンカップに愛らしく納まっているその姿は、大切に大切に飾られたフランス人形のように見えて、なんだか愛おしくなっちゃう。ガリッとした食感のあとにやってくるシナモンフレーバーとピーカンナッツの香ばしさ、さらにシナモンロール専用だという生地の甘みが舌にダイレクトに伝わってきます。そして私の口から漏れるのは「おいしい…!」のひと言。魂の叫びです。貧乏舌の私の口には不釣合いなほどのおごった味わいですが、たまのぜいたくに、自分へのごほうびにしたいとっておきのシナモンロール様でございます。こちらのヴィエノワズリーはどれも、焼き上がりの表面がつやつやと宝石みたいな光沢で…。思わず見とれてしまうんですよねぇ。
そして、『Colombages』でもっとも代表的なのが「クロワッサン」195円。まず生地を一度冷凍し、さらに4時間冷蔵でお休みさせて作っていきます。板状のバターを空気が入らないように包み、18層に折り込んでいくそう。ちなみに、一般的なクロワッサンは27層がメジャー。それより少なくしているのは、層が少ないことで空間ができ、よりバターの風味が豊かに広がるからだそうなのです。また、生地の発酵時間の長さと温度の低さゆえに深みのある味わいと儚い口どけを実現。最後に高温でバターが染み出さないうちにさっと焼き上げるので、皮はパリッと香ばしく、口に入れるとサクッとした口当たりに。リッチな風味に体じゅうの感覚が満たされ、余韻に浸る間もなくはらりとほどける…。まるで夢と現実のはざまにいるような気分になる、不思議な感覚。均整がとれた美しいひし形で、ルックスもよしの「イケメンクロワッサン」です。
ヴィエノワズリー系では、「ショーソン・ポム」260円もおすすめの品。リンゴジャムと自家製のリンゴのコンポートを包んだスリッパ型(のことを「ショーソン」というそう)アップルパイは、ティータイムに紅茶を淹れて優雅なひとときを過ごすのにぴったりです。焼き直すとほわんとただよう、あま~い香りにうっとり。大切なお客さまをおもてなしするときにはマストですよ♪ 中身は季節によって変わり、この年7月からは瀬戸内レモンとマスカルポーネのクリームにハチミツレモンを入れた「ショーソン・シトロン」になるとのことです。
そして、「お腹空いたなー」ってとき、ランチにチョイスするなら「キッシュ」238円でしょ! 四季ごとの素材を巧みに盛り込む、その手腕とセンスが素敵。このときは「ベーコンと枝豆」が並んでいましたが、時期によって「エビとホウレンソウ」や「夏野菜」、「スモークサーモン」なんかもお目見えするとの情報が! これは新作が出るごとに通わねばなりませんな…。私ならランチとして、お野菜ごろごろ入れたコンソメスープやシンプルなフレッシュサラダなんかを添えておしゃれに楽しみますね♪
ジュエリー売り場みたいな大きなショーケースが目を引く店内。シンプルなバゲットやカンパーニュのほか、惣菜パン、甘いヴィエノワズリーなど毎日昼すぎには90~100種類ほどがそろいます。6:30という早い時間のオープンながら、クロワッサンをはじめ約10種類は開店から焼き上がるそう。その理由は、お店が掲げるこんな信念があるから。「本場・欧州のパン屋のように、地域の人たちの一日のリズムのなかに組み込まれ、暮らしの一部として存在する店を目指す」。なんてすばらしい志なんでしょうか!
もちろんここは日本ですから、米を食べるという人も多くいるでしょう。でもパン好きの私としては、パンが自然に日々の生活のなかにあるような風景が理想です。そのためにも、こんな想いを持ったベーカリーが増えてくれたらうれしいですね。ちなみに象徴的なエピソードとして、毎朝開店時間とともに朝食をとりに訪れる男性がいることを教えてくださいました。『Colombages』のパンは、もうすでにしっかりと地域の人の意識に根づいているようですね! 対面で販売しているのも、一つひとつに心を込めたパンを、ひとつずつ渡したいという気持ちの表れ。
でも…。さっきも触れましたが、特にクロワッサンって、織り込みとか発酵とか成形とかですごく手間と時間がかかりませんでしたっけ? で、店主の内田貴章さんに聞いてみたところ、びっくりな事実が判明! なんとパンづくりの作業は午前3:00から。ちなみにクロワッサンの生地の仕込みは冷凍から4時間もの熟成、発酵バターの織り込み作業、成形、発酵2時間の工程を経て2日がかりで行うそう。脱帽です! 心からパンを愛していないとできないお仕事ですね。
パンの種類ごとにもっとも適した温度管理を心がけているという店主の内田さん。季節や時間によって違う気温・湿度に毎日合わせて変えるのだそう。そのため焼き上がり時間も日によってまちまちになります。小麦も、10種類以上をブレンドして使うこだわりぶりで、とにかくおいしいパンを求めて試行錯誤をくり返されています。クリームやあんこをはじめとしたフィリングもすべて手作りというからさらにびっくり。「食材の宝庫である地元の味」をと、ときには千屋牛・黄ニラ・岡山産SPFポークなど、四季折々の素材を取り入れた新作が登場することもあるそうです。
早朝でも、窓ぎわのイートイン席には焼きたてのパンをほおばるお客さんの姿が見られるお店。私もきっと今近所に住んでたら、絶対毎日のようにモーニングタイムを満喫しに来ちゃうだろうな~。こんないい香りが漂ってきたらガマンなんてできるはずない!
Information
Boulangerie Colombages
- 住所
- 岡山市中区浜1-12-15 [MAP]
- 電話番号
- 086-270-2779
- 営業時間
- 6:30~18:30
- 休み
- 日曜 ※不定もあり
- 席数
- 7席
- 駐車場
- 7台
- HP
- https://www.colombages.jp/