ハレノワのそばでエールを送る、気鋭の管楽器専門店
~表町商店街を音楽で活性化させたい!②~
ついに! 待ちに待った2023年9月1日。
表町商店街の南端、千日前に、新たな文化・芸術の発信拠点『岡山芸術創造劇場 ハレノワ』がグランドオープンしました!
オープニングセレモニーは、『ハレノワ』の玄関口『千日前スクエア』で。
セレモニーの前には地元商店主らで構成した、ピエロの音楽隊率いるお祝いパフォーマンス隊が、リズミカルに音楽を奏でながら表町商店街のアーケードを『ハレノワ』までパレード。
テープカットでは、「オカヤマシビックホールブラス」のファンファーレが厳かに鳴り響きました。
この日のこけら落とし公演はなんと、日本初演作品の、ギリシャ悲劇がベースのオペラ「メデア」。
迫力に満ちた舞台に目が釘付けに…。
そして、翌9月2日と3日は表町商店街全体の8商店街を舞台にした、グランドオープン記念「表町パフォーマンスフェスティバル」。
ライブの演奏やダンス、アートなど、街中で楽しい企画が目白押し。
なんといっても、盛り上がりの最高潮は、3日の『岡山芸術創造劇場 ハレノワ』開館事業「100人ダンス」。
表町商店街の北端・上之町の北時計台を出発し、南時計台の先『ハレノワ』まで市民ダンサーたちがダンスパレード。
周辺には人だかりの波が…。
▲「100人ダンス」のスタートは表町商店街・北時計台。「岡山フィルハーモニック管弦楽団」の弦楽四重奏にのってダンスパレードがスタート
そんな、新劇場開館の興奮さめやらぬ表町商店街。
この機会に、音楽で街や人を元気にしようと、ユニークな発想で活動の輪を広げているのが、南時計台前で『服部管楽器』を営む服部悟社長(1982年生まれ)です。
2021年、2022年の秋には、表町商店街南部を中心にした食と音楽とアートの祭典「エカローガ」を、実行委員長として地元の若手店主たちと主催。
この春からは新企画「表町アーティスト」を立ち上げ、毎月5組の登録アーティストが同店の前で歌や大道芸などを披露しています。
「大きいイベントは、年1回だけだと賑わいの効果は一過性のものになってしまいがち。
なので、小さいイベントを頻繁にやろうと考え方をシフトしたのが「表町アーティスト」です。
これから本格的に登録アーティストを募集します。
『ハレノワ』の周囲の道は整備されて綺麗だけどまだ店が少ない。
『ハレノワ』に来てもらった人に、街の魅力を伝えんとおえんなと、岡山市に補助金を申請して『賑わい創出』の仕組みをつくりました」。
「『ハレノワ』は、行動するためのいいきっかけになってます。実は最初の頃は劇場だけができてもなぁと、あまり期待してなかったんです。でも、いい意味で裏切られました(笑)。
『ハレノワ』のホームページで上演演目を見てみたら、これは盛り上がるわぁ!と思って。
甲本ヒロト率いる「ザ・クロマニヨンズ」に奥田民生、『劇団四季』や『ボローニャ歌劇場』といった、ビッグネームがいっぱいで…」と服部さん。
服部さんは、岡山東商業高校の吹奏楽部の出身。
フルートを吹いていた時代から楽器の修理職人に憧れていたのだとか。
管楽器の修理技術を名古屋の学校で学んだ後、ノルウェーで研修を積みました。
帰国後、岡山市内の学校などで楽器の修理ボランティアをしていた時に演奏依頼を受けて「吹奏楽団 晴吹」を立ち上げ、初代団長に。
「晴吹」は服部さんが退いた後も、『ハレノワ』のプレオープン記念公演などに出演し活躍しています。
「僕自身は楽器や音楽が好きというよりも、プレイヤーの支えになりたいという気持ちの方が大きいです。今は修理より、新店の開店準備やスタッフの研修ばっかりやってます(笑)」。
売り上げの中心は、値段の手頃な中古楽器の販売で、新品より圧倒的に販売量が多いそう。
「寿命が来たような楽器でも、見事な音が蘇ることがあるんです。2004年にひとりで管楽器修理業を始めた頃から、古い楽器を買い取って修理し、少しずつ販売していました。当初は中古販売は珍しかったですね」。
2007年に修理工房を岡山市郊外の住宅地にオープン。さらに表町商店街に移転し、2015年に会社を設立。
今や、東京や大阪にもグループ店が誕生しています。
この店では、10種もの管楽器の個別レッスンが受けられるのも強み。
「ファゴットやチューバなど、ちょっと珍しい楽器の教室まで常設しているところは岡山ではあまりないですね。演奏を教えてくれる楽団の先輩などがいなくて困っている人の助けになれば」。
各店で多彩な無料ワークショップが体験できる、岡山市表町商店街連盟主催の恒例行事「まちゼミ表町」にも参加し、サックス演奏の体験講座も開いています。
昨年には『ハレノワ』のすぐそばに、いつでも気軽に使える24時間営業の無人スタジオ『24SOUND BOX』もオープン。
これが大当たりとなり、県外にも同様のスタジオを増やすことに。
ともに働くスタッフたちを「チーム」と呼び、音楽家でもある彼らの声を聞いて、一人ひとりの夢がかなうような事業の展開にも力を注ぐ服部さん。
売る側と買う側、雇う側と働く側など、互いにWin-Winな関係を築くことが大切だといいます。
「自分の思いや活動をSNSで発信し続けることで、全国に同じ思いの仲間や応援してくれるフォロワーさんが増えていったのが大きい。そういう方たちを巻き込んで動く方が楽しいし、自然と事業拡大につながっていきました」。
その明るく前向きな活動には、吹奏楽団でチームワークを育んできた経験が生きているのかもしれません。
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