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岡山芸術創造劇場 ハレノワ ~カウントダウン♪ 千日前から

深~い! 新劇場「岡山芸術創造劇場」と千日前の誕生物語vol.21【PR】

変わる街をウォッチング。岡山芸術創造劇場 ハレノワ ~カウントダウン♪ 千日前から

  • 情報掲載日:2023.08.26
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

プロのジャズ・ミュージシャンを多く輩出してきた、伝説的な老舗ライブハウスの新たな挑戦。
~表町商店街を音楽で活性化させたい!①~

表町商店街・千日前地区に誕生した『岡山芸術創造劇場 ハレノワ』。

すでに6月にプレオープンし、トライアル月間の7月は小劇場での舞踏公演を皮切りに、中劇場での伝統芸能の舞台、大劇場でのダンス教室のミュージカルと、市民公募プログラムを続々展開。

目前の9月1日のグランドオープンに向けて、ますます盛り上がってきましたね。

▲今春から毎月第3土曜16時から約30分間、赤星さんと仲間が『岡山天満屋』前でジャズの路上ライブを開催。この日は2~3歳の幼児からお年寄りまで多くの人が聴き入った

さて、『ハレノワ』のある表町商店街の南エリア(表町3丁目)ですが、ここは古くから楽器店やライブハウスなどが集う「音楽の街」としても親しまれてきました。

そして商店街を音楽で活性化させようと、さまざまなムーブメントが沸き起こっています。

その仕掛け人のひとりが老舗ジャズクラブ『LIVEHOUSE BIRD』の3代目マスターでジャズ・ベーシスト(コントラバス奏者)の赤星敬太さんです。

▲5月は赤星さん(右)のほかサックスの佑源英俊さんとトロンボーンの大月宏史さんが演奏。『岡山天満屋』前の路上ライブでは、女性客から突然リクエストが入り、即興演奏も!

「『ハレノワ』は、とてもいい刺激になってます。コロナ禍でも、この周辺の店やアーティストたちは『ハレノワ』ができるから、なんとか頑張ろうやって励まし合ってきました。地域のためにできることがあれば、『ハレノワ』と一緒に!と思います。人と人のコミュニケーションに勝るものはないので」と赤星さん。

「ジャズは、知らない人どうしでも、その場ですぐセッションして演奏をぶつけ合えるのが醍醐味。ジャズ独自の共通フレーズさえ身につければ楽しめます。居合わせたお客さんがその瞬間を一緒に楽しむ一体感は最高。ジャズは強力なコミュニケーションツールなんです」。

赤星さんは表町商店街を音楽で彩りたいと、路上ライブを定期的に開催。

『BIRD』も音楽を介した交流サロンになればと考えています。

▲表町商店街のそば、『BIRD』の看板を目印に2階へ。ニューヨークからミュージシャンを呼ぶこともあり、出演者は変化に富んでいる(演目は入り口や同店HPに掲載)。ミュージックチャージは飲み物代にプラスして、内容によって1000~7000円前後と変動

『BIRD』は1981年創業。

岡山のジャズプレイヤーたちの登龍門的な存在で、多くのプロミュージシャンを輩出してきました。

初代マスターの故・岡崎直樹さん(1950年生まれ)は、伝説のアルトサックス・プレイヤーとして今も語り継がれています。

岡崎さんは、中学入学と同時にブラスバンドでアルトサックスを始めて、ジャズに興味を持つように。

高校・大学ではビッグバンドに参加。大学時代はライブハウスで夜な夜なジャズの腕前を磨き、卒業後はキャバレーのオーケストラでプロ入りしたのだとか。

ライブでのっている時は、延々とアドリブを吹きまくっていたという岡崎さん。

商業的なことを嫌い、自身のCDも制作しなかったのですが、ステージに立った時の貴重な音源が残っていて、店内で聴かせてもらうこともできます。

▲『BIRD』のステージに立つ、初代マスター・岡崎さんと、三代目マスター・赤星さん。普段、赤星家で大切に飾られている一枚だ

そして、赤星さん(1971年生まれ)は、約25年前から岡崎さんと店のステージに立たせてもらっていたとか。

「岡崎さんは寡黙でしたが、音楽のこととなると厳しくて怖かった。まさに職人でした。国内外のプロのミュージシャンがここに来て、なんでこんなすごい演奏をする人が岡山にいるの?って、みんなのけぞって帰っていきましたね(笑)」。

▲コーヒーを淹れる赤星マスター。店の敷居を低くするため、ドリンクはほとんどが500円で、赤星さんお気に入りの数種類に厳選。酒類は「ウイスキーのロールスロイス」と呼ばれる「マッカラン」、ハイネケンの生ビールなど。ナッツは注文が入るたびに香ばしくローストして提供

▲ひき立ての豆で淹れるコーヒーは、上質の「コロンビア スプレモ」に「リンツ」のチョコレートを添えて

当時の『BIRD』はマスターのお眼鏡にかなった人だけがステージに上がることができ、その分観客にも信頼があったといいます。

ただ、年末だけは忘年会のセッションで初心者も参加できたとか。

「マスターの前でいい加減なことはできない」。

そんな緊張感がミュージシャンを成長させたのかもしれません。

ちなみに、大学生アルバイトだった多田誠二さんと川嶋哲郎さんは、カウンター越しに岡崎さんの演奏を聴いてサックスの基礎を磨き、後に日野皓正さんのバンドで活躍するなど、日本を代表するサックスプレイヤーとなっています。

「岡崎さんはただジャズが好きで、ここで本物のジャズをやりたかったんじゃないですかね。僕もジャズという文化そのものを大事にしたいと思ってる。今の店では、どんな人でも幅広く演奏できる日も作っています」。

▲船のキャビンをイメージした、木の温もり漂う店内。壁や天井に出演者のサインがびっしり。ハル・ギャリパーやトミー・キャンべル、ビル・スチュワートなど、有名アーティストの名も。「岡崎さんが亡くなった年に購入したピアノは音が軽やかで世界から訪れるミュージシャンも絶賛。ジャズ魂が入ってるんじゃないかって言われます」と赤星さん

赤星さんはバンドを組んでいた高校時代からジャズに憧れ、ロックのほかジャズ風の演奏にもトライ。

岡山大学ではジャズ研究会に入り、存分にセッションを楽しんでいたとか。

今では同研究会の後輩たちがジャズ修業も兼ねて『BIRD』のアルバイトに入ってくれています。

実は、多田誠二さんも同研究会の大先輩なんです。

▲この日は赤星さんがトリオで演奏を披露後、観客が飛び入りセッションできる日。マイスティックや楽器を持参する人も。「若い子は力試しに来る子も多い。コロナ禍でライブを無観客でオンライン配信したこともあるけど、やはり観客のいる生のライブは格別」とか

岡崎さんは2010年1月にガンで亡くなる直前まで、酸素吸入器を付けて店に出ていたそうです。

創業当初からの岡崎さんのハウスバンド「Jazz Machine」は今も健在。

常連客が二代目マスターを継いだ時代を経て、赤星さんを含むハウスバンドのメンバー有志が家賃を出し合い、店を運営した時期もあったといいます。

「2019年頃から僕が本格的に店のライブ・スケジュールを組むようになって。その時、僕は公務員だったんですけど、ここ、このままだと潰れちゃうなぁと思った。それで、やりたいことを全力でやろうと覚悟を決めて、早期退職して勝手に店を継ぎました(笑)」。
ニューヨークのジャズクラブに1週間くらい通い詰めて、出演を直談判したこともあったそう。

2019年からは『BIRD』が実行委員会事務局として、10月第1土・日曜に「おかやまジャズストリート」を開催。

1000円の一日券で、『BIRD』や周辺のジャズ喫茶・ジャズバーなど数軒でのライブと、無料の路上ライブを巡りながら街を楽しむイベントで、生前、岡崎さんもやりたいとつぶやいていたとのこと。

ジャズは、まさに「交流する音楽」。『ハレノワ』のある街にぴったりです。

※参考資料『101匹目のジャズ猿』(2017年発行)

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