新劇場のお膝元・表町商店街から発信する「ありがとうファーム」のSDGsな商店街への挑戦。~ありがとうファーム編②~
2023年9月1日、『岡山芸術創造劇場 ハレノワ』のこけら落とし公演が日本初演作品のオペラ『メデア』に決定しました。グランドオープンの期間も、市民公募のステージなど随時展開予定です。
市民参加型のイベントでは募集もあるので、ぜひHPをこまめにチェックしてみてください。
さて、今回も就労継続支援A型事業所『ありがとうファーム』についてご紹介します。
前回少し触れましたが、公募で選ばれた『ハレノワ』という名前は、『ありがとうファーム』のアートチームのディレクター・深谷千草さんが名付け親なのです。
深谷さんは、「名前の意味は、『晴れの国おかやま』と『ハレの舞台=非日常の舞台空間』、そして『楽しみの輪が広がりますように』との願いを込めて考えました。日常の中に文化・芸術があり、市民に身近な劇場になることを期待しています」と思いを語ってくれました。
『ありがとうファーム』のアートチームの活動の中心は、廃材がアートに生まれ変わるアイデア実験室「ハブラボ」で、活動に賛同している地元の18の企業が、自社で廃材となった布や木材の端切れ、菓子の容器、文具などを提供。その一連の取り組みにより、「おかやまSDGsアワード」も受賞しました。
月1、2回開催される工作イベント「ハブラボkids」(参加費2000円)は、4歳から参加でき、年間延べ700人が参加。
小さな子どもでも好きな廃材を選び、ノコギリやミシンを使って目をキラキラさせて創作します。そこに「危ないからダメ」はなく、メンバーがサポートして完成形へと導きます。
また、不登校を経験したメンバーの発案により、「ハブラボ」の工房は、平日と土曜に「第3の安心・安全な場所」として、「オープンラボ」(予約制500円~)を開催。
「『ハブラボ』は子どもたちの『自分で決める力』とチームワーク、さらに多様性を育む教育の場にもなっています」と深谷さん。
そして、もうひとつご紹介したいのが、vol,16でも紹介した「ありがとうファーム」の20~60代のメンバー有志によるロックバンド「ザ・グリーンハーツ」。
その成り立ちについて、広報兼ギター担当の荒谷桃子さんが教えてくれました。
「『ありがとうファーム』のメンバーが自分らしさを引き出せたのは、やっぱりグリーンハーツの存在が大きいですね。歌の活動の始まりは2015年。『ありがとうファーム』の創業者・木庭寛樹会長が、みんなの心をひとつにしたいとゴスペルを歌うチームを提案したことがきっかけでした。そのうち会長が、岡山出身の甲本ヒロトさんが率いていた「THE BLUE HEARTS」のソウルフルな歌詞やメロディがみんなの想いを伝えるのにぴったりだと惚れ込み、徐々にそのコピーバンドになりました」。
「2022年、『ハレノワ』プレ事業「劇場へ行こう!」で、「ハレノワダンサーズ」と「ザ・グリーンハーツ」が共演させていただいています」。
▲昨年9月の『ハレノワ』のプレ事業開館1年前カウントダウン企画「劇場へ行こう!」にて。天満屋での待ち合わせを再現した寸劇に、「ありがとうファーム」のメンバーらが登場。この後移動し、「ザ・グリーンハーツ」の登場シーンへとつながっていく…
バンドのリーダーで「トガショー」こと戸川将吾さんが言葉を続けます。
「ぼくたちは木庭会長に背中を押され、夢中で活動してきました。リーダー役は重責ですが、『俺がやらんと!』という気持ちでみんなとステージに立っています。モットーは『愛と勇気と感動を届ける。』。日々全力で邁進しています」。
「ロリちゃん」こと西野光さんは、キーボードを弾きながら「もっと上を向いて歌って!」と盛り上げる役目。
「最初はYouTube動画をアップするのに、顔を出すのがイヤでモザイクかけていたこともありました。でも、ある時、木庭会長が『もうモザイクやめよう!』って。そこからみんな肝が据わったのを覚えています。私は、いつか多くの人に一生懸命歌う私たちの声が届いて、その時に『お、おもしろいやつらがいるな』って思ってもらって、あとから『えっ、あの人たち障がい者だったの?』って。そんな風に自然な感じで歌が届いて受けとめてもらえたらいいなって思っています」。
そして、かねてより闘病中だった木庭会長の訃報が届いた2022年6月、翌日にはライブを控えていたのだそう。戸川さんは回想します。
「訃報を聞いてものすごくショックを受けました。でも、翌日のライブ当日はステージが始まったとたん、今までの倍以上のパワーを出して歌うみんなの姿があったんです。みんな、『会長がおらんからしっかりせなあかん』というのがあったかも。僕はというと無事にステージを終えてから、もうボロ泣きでした」。
「ありがとうファーム」の共生社会実現のためのスローガン、「知ることは、障がいをなくす。」。バンドのメンバーたちは堂々と熱く歌うことで、その想いをまっすぐ届けてきました。
これからもパワフルな歌声を届けてくれる機会があるので、ぜひみんなで応援を!
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