あたりまえにある身近なあんなものやこんなものに、実はこんな歴史や理由があるのです…。
そんな身近にある何? なぜ?を調べます。
岡山には魅力的な古墳がいっぱい!
国内で4番目に大きい造山古墳をはじめ、岡山には注目すべき古墳が多数。特に吉備路エリアは見応えのある古墳が点在しています。また、岡山市のハイキングスポットとして人気の操山も、山を歩いていると古墳があちこちに。そこで景色も楽しめる岡山の古墳を2回に分けてご紹介。2回目は操山編!
さまざまなタイプの古墳が。「古墳の博物館」ともいえる操山へ!
古墳好きに聞く、操山の魅力。
岡山市にある操山も、古墳に興味のある人ならぜひ行ってほしい場所。岡山市中心部から近く、ハイキングコースとして整備されていて、森林浴がてら気持ちよく古墳探索ができる山です。豊かな自然を感じながら山の中を歩き、途中に古墳を発見する行程は一石二鳥といえるのではないでしょうか。
この操山については、元『オセラ』編集長で古墳マニアでもある青山融さんにおすすめコースを聞いてみました。青山さんいわく、「操山の魅力は、街から近いというアクセスのよさはもちろん、古墳時代の前期・中期・後期のそれぞれの時期に造られた古墳を見ることができるうえ、前方後円墳・円墳・方墳とさまざまなタイプの古墳がひとつの山にそろっている」ということ。「古墳の博物館」と呼ばれることもあるそうです。青山さんが古墳を好きになるきっかけにもなったという操山。約130基あるという古墳をめぐるおすすめハイキングコースを教えてもらい、それをたどってみることにしました。
『操山公園里山センター』から古墳探索スタート。
まずはクルマで『操山公園里山センター』へ。公共交通機関で行こうとすると、路面電車で東山駅まで行き、そこから『岡山県護国神社』の近くにある操山自然休養林入り口まで約20分歩き、さらに30分歩いて山越えするという少しハードなコースになります…。その建物の裏にさっそく古墳があるというから回ってみると…あった! しっかりした石室が見える立派な古墳です。『操山公園里山センター』まではクルマでも行けるので、比較的見学しやすい古墳といえるでしょう。さぁ、ここからは操山で山歩きです。
次は児島湾も見える展望のよい旗振台古墳へ。
小高い山のふもとに、ここが旗振台古墳だと知らせる看板が。目の前には児島湾まで見える広大な景色が広がる>
続いて、かつて大阪の米相場を岡山へ伝えるためにリレー形式で旗を振って合図した場所ともいわれている旗振台古墳へ向かいます。ほかの地域に旗を振って見えるくらいだから、見晴らしがよさそう! 散策道の看板を目印に森を進んで登っていくと、眼下に市街地を望む開けた場所に出てきました! 百間川や児島湾まで見える見晴らしのよさで、東屋もあるので休憩スポットとしてもいいですね。肝心の古墳はというと、一辺の長さ27m、高さ4mの方墳。5世紀前半に造られたもので、すっかり森に紛れて看板がなければ小高い場所としか認識できそうにありませんが、絶景スポットとして訪れておくべき古墳でしょう。
さらに、巨石古墳と珍しい古墳を目指して。
次は、石室の石組みが露出しているという八畳岩古墳を目指して進みます。その途中の道でも、石組みがしっかりした石室が見える古墳や、石室だったのではないかという石が並んでいる場所など、有名無名な古墳が点在。さすが「古墳の博物館」といわれるだけあります。そう思いながら歩いていると、「三畳岩展望所」と書かれた木札を発見。「ここも古墳か!?」と思い進むと、その先には大きな岩盤の上から景色を見渡せる眺望のよい場所が。そんな寄り道をしつつ歩いていくと、大きな丸っこい石が積み重なった場所に到着。案内板には、ここが八畳岩古墳と記されていました。青々と茂った森に囲まれた場所に、迫力のある巨石でできた古墳の姿。なんだか佇まいがかっこいいです!! さらにその先には、全国的にも珍しいという横穴式石室が二股に分かれている二股古墳も見ることができます。石室を上からみるとその様子が分かりやすいので、入り口からだけでなくさまざまな角度から石室を眺めてみてくださいね。そのほか、途中には県内でも有数の大きさを誇る金蔵山古墳もあるので、ぜひ見ていきましょう。
人が入れるくらいの高さの石室を持つ古墳も。
さらに最終目的地として目指すのは、沢田大塚古墳。森を抜け、果樹園の中の道路を少し歩くと到着する古墳です。操山古墳群で最大の横穴式石室があり、石室の高さが1.7mほどあるので立ったまま石室に入ることができます。その大きさは、操山に行ったならぜひ体感してほしいところです。出発地の『操山公園里山センター』から一番遠い場所にあるので、この大きな石室の沢田大塚古墳を見つけると、不思議と達成感がありますね。
おすすめコースを巡ると、思いのほか距離があるだけでなく、分岐が多くある散策道に迷って体力と精神力を消耗することもあるので、時間と体力の余裕のあるときに巡ってみてくださいね。紹介した古墳以外にも、散策道の途中で地面に大きな石が集まっている場所を見ると「ここは古墳では?」と探りたくなってきます。そんな古墳の場所を見つける楽しさを味わえるのが操山の魅力ではないでしょうか。
古墳好きに聞く、さらにマニアックな見方。
古墳好きの青山さんに、さらなる古墳の観賞方法を聞いてみました。まずは石材について。古墳時代も時を経るごとに権力者の古墳の横穴式石室に使われた石は巨大になっていきます。石室の一番突き当りにある奥壁や、石室の天井に使用した石も時代とともに巨大に。古墳のそれらの石を見ることによって、いつの頃の古墳か予測できるようになったら上級者でしょう。さらに、石積みのデザイン性や工夫などを見ることによって、当時の人がどうやりくりして造ったか、その中でどこにこだわりを持って造っていたかに思いをはせることまでできたら、もう古墳のとりこ。県内のほかの古墳も巡ってみたくなるはずです。
ただし古墳探訪で注意していただきたいのが、これから夏に向けて増えるハチやカなどの虫たち。草も生い茂り、場所によってはマムシが出るところもあるので、青山さんによると秋や草が枯れた冬のほうが古墳巡りにはいい季節とのこと。現在は不要不急の外出は控える時期。いつか自由に外出ができるようになり、涼しい時期に古墳巡りができるようになったときのために予習としてこれを読んでいただけるとうれしいです!
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