Mission_67/リアルな鉄道ジオラマと、計測不可能なおもちゃコレクションにびっくり。夢あふれる玩具の世界を目撃せよ。
実は「おもちゃの街」だった湯郷温泉街。その片隅に咲くディープなおもちゃの館に潜入。
岡山県美作市に位置する『湯郷温泉』は、『湯原温泉』『奥津温泉』にならぶ岡山三名湯のひとつとして古くから親しまれています。自然に囲まれた情緒ある温泉地として人気ですが、実は「おもちゃの街」として知られているのをご存じでしょうか?
『湯郷温泉』には数々の湯宿や観光施設、飲食店が立ち並んでいますが、その中にはテーマの異なる3つのおもちゃ博物館があり、温泉街の人気スポットとなっています。
観光案内所の隣にある『現代玩具博物館・オルゴール夢館』は、ヨーロッパの木のおもちゃやアンティークのオルゴール、人形などを展示した博物館。そこから徒歩約3分の場所には、懐かしい昭和の暮らしと玩具を展示した『あの日のおもちゃ箱 昭和館』があります。
そして今回注目するのは、鉄道模型と幅広いジャンルのおもちゃを集めた『てつどう模型館&レトロおもちゃ館』。
どの博物館もそれぞれに見どころがありますが、『てつどう模型館&レトロおもちゃ館』は膨大かつジャンルレスなコレクションが特徴。全国の鉄オタな皆さん&おもちゃ好き界隈でも知られた存在だそうです。
数々の鉄道模型スポットを調査してきた『まかせてちょ~査団』としても、ここはぜひ紹介しておきたい施設です。
湯郷温泉街は、岡山市街地からクルマで1時間半ほど。ちょっと足をのばした先で、自然と温泉、模型が一緒に楽しめるだなんて素敵じゃありませんか! 気軽な日帰り旅、いやたまには贅沢に一泊してみるのもいいですね。
名付けて「湯けむりジオラマおもちゃ旅」。その界隈のファンにとってはたまらない組み合わせですよ!
やってきました、『てつどう模型館&レトロおもちゃ館』。観光案内所から歩いて2分、ボーリング場の横にある建物です。
入口には駅改札のような受付がありました。どうやらここで料金を支払うシステムのようですね。
「いらっしゃいませ~。まずは切符を拝見いたします」
そう言ってニコニコと出迎えてくれたのは、ここの館長を務める永谷(ながや)さん。
入館チケットは、なんとも可愛らしい鉄道切符のデザイン。しかも本物の改札ばさみで切符を切ってもらえるんですよ。どうです、鉄道ファンの心を鷲掴みにしそうなこの演出! 入る前からワクワクしちゃいますね。
さらに心を持っていかれるのが、入った瞬間から目に飛び込んでくる巨大な鉄道ジオラマ。どうです、この圧倒的スケール! 模型の周りは車両のコレクションやジオラマ、鉄道写真などでびっしり埋め尽くされています。
「すき間は決して許さないゾ!」とでもいわんばかりの見事なあふれっぷり。
ぐるりと館内を見渡すと、奥にはおもちゃ博物館の展示室もチラリと見えました…。が、とにかく情報量が多すぎて追いかけきれない!
本気で見たら1日じゃ足らないかもしれませんね…。恐ろしい。永谷さん、まずは鉄道模型からお願いします!
「ここは2008年にオープンした施設です。9年前からは今の形で、鉄道模型といろんなおもちゃを展示しています。見るだけではなく実際に触って遊べるものがたくさんありますよ」
何と片道10mのフル編成。田舎風景を再現した鉄道ジオラマがスゴイ。
館内いっぱいに置かれた巨大な鉄道模型は、基本のNゲージの走行が可能。規格の大きいHOゲージやOゲージの車両も展示されています。全部で10レールほどあり、コースの片道はなんと最長10mもあるそう。長い編成の車両をのびのびと走らせることができます。
コースに展開されるのは、精巧につくられたジオラマの数々。『京都精華大学』の学生さんたちが共同制作したものを中心に、田舎の風景や温泉街をイメージしたジオラマが複雑にレイアウトされています。
山、谷、街のリアルなジオラマの中を、模型車両がカタコト音を立てながら走りぬけていきます。小さな世界を眺めていると、いろんな想像力がかきたてられて楽しいですね。
こちらの民家の裏には白装束の人が寝ています。アラ捜しをするわけじゃないのですが、ちょっと人物のサイズが大きいんじゃないでしょうか?
「これは県北に伝わる巨人伝説『さんぶ太郎』をもとにしているんです。『京都精華大学』の学生さんが、地元の田舎風景をイメージしてつくってくれました。マンガ学部の生徒さんが描いた物語を建築学科の学生さんが形にしているんです。ちょっと懐かしさを感じる、ここならではのジオラマを楽しんでほしいですね」
なるほど~だから大きいんですね! ジオラマの中にも細かい工夫が織り込まれていて、見るたびに新しい発見がありそうです。
大きな車両は見ごたえ抜群。蒸気機関車も走っていますね。
某ビジネスホテルが建つ、とある駅前の風景。駅舎やロータリーの再現率も高めで、新幹線が停車駅に到着する間際の車窓を思い出されます。これはジオラマファンが持ち込んだものだそうですよ。
「ここには新幹線16両のフル編成が入るコースを設けています。レンタルレールといって、当館が所有している車両を走らせることもできますよ。初心者でも気軽に利用していただけます」
小さな子も楽しめるプラレール&いまだ増殖中のおもちゃは5万点以上!
次に永谷さんが案内してくれたのは、ガラス窓に面した「プラレール」のコーナー。「プラレール」とはプラスチックのレールを使って列車を走らせる子ども向けの鉄道玩具です。
ポイントは、大迫力のタワー型レイアウト。車両がグルグルとカーブを回っていきます。これは家じゃあなかなかできませんね。なんとこちらは入館料のみで遊べるそうで、これを目あてに来る家族連れも多いとか。
「当館はおもちゃ展示もウリなんですが、そちらは適任の案内役がおりますので」
永谷さんの視線の先には、何やらいそいそとおもちゃを並べる作業着姿の男性が。こちらの方は?
「当館の展示品をコレクションした、水島昭さんです」
左が永谷館長、右が水島さん。シャイな永谷館長を説得して2ショットを撮らせていただきました。それではさっそく水島さんに案内していただきます。
「こちらは、私と家族が長年かけて集めたおもちゃを展示しています」
館内の奥には、膨大な数のフィギュアや人形、プラモデル、ミニカー、ブロックなどで埋め尽くされていました。大人の事情により写せないものがたくさんありますが、とにかくショーケースにぎっしり。あの国民的人気漫画のフィギュアや、話題のアニメのグッズなどもありましたよ。
水島さん、よくこんなに集めましたね!
「ここにあるのはコレクションの1/3くらいなんですよ、入りきらなくてねえ」
展示数はなんと5万点以上。途中から数えるのをやめたそうで、もはや計測不可能。コレクターの欲望は無限大ですねえ。
コレクター・水島一家の想いを受け継ぐ、夢いっぱいの「おもちゃ箱」。
博物館をもう1つ建てたいほどの膨大なコレクション。おもちゃコレクター・水島さん一家の強い「おもちゃ愛」を感じました。
『レトロおもちゃ館』という名前ですが、ここには新旧問わずさまざまなおもちゃが展示されています。昭和から平成世代のおもちゃ文化を網羅したこの空間には、各年代のハートに刺さりそうなものがいっぱい。
団長が見つけたおもちゃの数々、著作権にふれない範囲でお届けします!
ミニカーやチョロQの棚は、男の子が大好きなコーナー。年代やメーカーもさまざまです。箱入りのプラモデルも展示されていました。
こちらは、1冊ごとにパーツなどを集める、「某・分冊百科(100冊集めて完成する…的なアレです)」の戦闘機シリーズ。組み立てる系のおもちゃもたくさん。
食玩やミニチュア玩具はかなりそろっています。こちらはミニチュアのふるさと特産品シリーズ。
木彫りや粘土細工などのいろんなダルマたち。某SF映画のキャラを模した五月人形や、奥様が集められたという人形作家の作品もありました。
そのほかにもブロックのおもちゃやロボット、女の子が夢中になった人形やおもちゃのアクセサリー、キャラクター商品など、とにかくたくさん! もはや何でもアリな「水島ワールド」、写真を写せないのが非常に残念です。
総額いくらなんだろう…とゲスい質問は置いておいて、水島さんに集め方のコツを聞いてみました。
「とにかく手当たり次第。見たらほしくなる」と水島さん。物欲バンザイ!
「仰るように、おもちゃって何でもアリなところが楽しいんですよね。こだわりがないからこそ、ここまで集められた気がします」
水島さんは、「見るだけではなく、赤ちゃんからお年寄りまで自由におもちゃを楽しめる場にしたい」と話します。この日は、翌日から始まるお子さん向けのイベント準備に大忙し。おもちゃを通して、湯の街に夢のある空間を創り上げています。
「温泉や街めぐりのついでに、親しみあるおもちゃや鉄道の世界を楽しんでほしい」と永谷さん。
家族3世代で楽しめるおもちゃの宝箱、『湯郷温泉 てつどう模型館&レトロおもちゃ館』。ひと風呂浴びた後は、夢の鉄道模型&おもちゃ天国にのんびり浸かってみませんか?
Information
Information
湯郷温泉 てつどう模型館&レトロおもちゃ館
- 住所
- 美作市湯郷312 [MAP]
- 電話番号
- 0868-72-0061
- 営業時間
- 9:30~17:00
- 休み
- 水曜
- 駐車場
- 20台
- 入館料
- 大人(中学生以上)400円、小学生150円 ※幼児は無料 ※レンタルレイアウト 10分コース200円、20分コース350円、30分コース500円
- HP
- http://www.spa-yunogo.or.jp/mokeikan/
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