Mission_53/マンホールが伝える岡山の歴史と文化。地味だけど楽しい郷土の「マンホールアート」を掘り起こす!
岡山で話題のスポットやイベント、知る人ぞ知るレアな情報など、誰もが気になる地元のモノ、ヒト、コトを『タウン情報おかやま』が徹底調査するこの企画。スタッフが実際に現地を訪れ、体験したとっておきの情報をリポートして、「岡山の魅力を再発見できる、よりディープでフレッシュな街ネタ」をお届けします!
宿場町・矢掛町のマンホールは、あのイベントがモチーフ!
近年、じわじわと人気上昇中の「マンホール蓋」。マンホールは各都道府県の自治体によって管理され、地域ごとに多種多様なデザインの蓋が作られています。
中には土地の伝統文化や歴史にまつわるモチーフ、ご当地キャラクターのイラストを描いたものが多く、密かなご当地アイテムとして話題を集めています。
マンホール蓋を求めて路上観察を楽しむ愛好家、通常「マンホーラー」や「蓋女(フタジョ)」も増殖中で、この企画は私こと「まかせてちょ~査団」の団長Mが蓋女を目指す、というのが裏テーマ!
コツコツ撮りためた蓋の写真も増え続け、すっかりマンホールの奥深い世界に引き込まれています。
今回は「マンホール蓋」企画の第3弾として、郷土の伝統文化をテーマにしたデザインマンホールをご紹介します!
まずは、矢掛町にあるデザインマンホール。毎年11月に矢掛町の市街地で行われる町の一大イベント、「大名行列」で登場する「奴(やっこ)さん」と「毛槍」をモチーフにしています。
民芸調のイラストを際立たせた上品なデザイン。ちなみに「奴さん」とは、江戸時代に武家に仕えた奉公人のこと。
矢掛町は、旧山陽道の18番目の宿場町として栄えた歴史ある町。市街地には「旧矢掛本陣石井家」などの歴史ある建物が現存し、街道沿いのエリアは岡山県指定の「町並み保存地区」となっています。
このマンホールは、観光交流施設「やかげ町家交流館」の近くにありました。矢掛町役場をはじめ、近隣にはこの「奴さん」をデザインしたマンホールが数カ所設置されています。
こちらはおまけの「やかっぴー」のマンホール。ご存じですか? 矢掛町のキュートなゆるキャラ「やかっぴー」。写真では黄色に見えますが、緑の毛をしたうぐいすの男の子だそうです。
頭に烏帽子をちょこんと乗っけた雅やかなお姿。烏帽子をかぶっているということは、タイムスリップして現代にやってきたのでしょうか? それともだいぶ長生きなのか…。
マンホールもちょっと小ぶりなサイズ感で、それも含めて愛らしいですね。こちらも「矢掛屋本館」前などで見ることができますよ。
月夜の刀匠を描いた、「刀の聖地」のデザイン蓋。
お次に紹介するのは、瀬戸内市のデザインマンホール。全国有数の刀剣の産地として知られる長船にちなみ、刀を作る職人「刀匠」が親しみあるタッチで描かれています。
マンホール蓋は市町村の植物をモチーフにしたデザインが多く、こちらも瀬戸内市の市の花である菊が描かれています。
背景のブルーと市章の入った月のマークは、月明りに照らされながら炎と対峙する様子を表現。オレンジは刀剣づくりに欠かせない炎の色を彷彿とさせます。色使いの美しい一枚です。
備前焼の町で見かけた、迫力満点の狛犬マンホール。
お隣の備前市にも、伝統文化を表現したマンホールがあります。
JR伊部駅周辺でよく見かけるこのマンホール、ちょっといかつい狛犬がデザインされています。下には「備前焼のふる里」の文字が。
それにしても、なぜ備前市で狛犬のモチーフなのでしょう? その答えは、駅からほど近い小さな神社にありました。
JR伊部駅から徒歩10分の場所にある『天津神社』。こちらは1579年から続く歴史の古い神社で、「備前焼の里ゆかりの神社」として地元や観光客に親しまれています。参道前では、備前焼で作られた1対の狛犬が出迎えてくれました。この狛犬がマンホールのモチーフになっているそうです。
イヌというより獅子の姿に近い、迫力のあるお顔。備前焼ならではの艶のある赤茶色が、石造りの狛犬とは違った味わいを醸し出しています。狛犬は神社を守護し、邪気を払ってくれる存在なのだそう。そう聞くと、備前市の狛犬マンホールも神聖なものに思えてくるから不思議です。
合言葉はモフモフ♪ 井原市のゆるキャラが街に参上!
最後は、井原市が誇るマスコットキャラクター「でんちゅうくん」。とっさに「電柱」が頭に浮かんだアナタ、こちらをご覧ください。
カラーではないため分かりにくいですが、「でんちゅうくん」は毛量多めのロングヘア、歌舞伎メイクが特徴の男の子。井原市ゆかりの彫刻家、平櫛田中(ひらくしでんちゅう)の代表作となった木彫りの「鏡獅子」をモチーフにしたキャラクターです。
ちなみに「鏡獅子」とは歌舞伎および日本舞踊の演目。さほど歌舞伎に詳しくない人でも、グルグルと豪快に頭を回す毛降りの舞と聞くと、ピンと来るのではないでしょうか?
現在はイベントやSNSなどで大活躍中の「でんちゅうくん」。マンホール蓋となって、井原の街を盛り上げてくれています。公式SNSをチェックしていた団長M、「でんちゅうくん」がトークの締めに必ず使う「モフモフ♪」という合言葉がちょっと気になりました。
なんでも頭を触ってモフモフさせると幸せが訪れるのだとか。マンホールだと全然モフモフしないのがちょっと残念。
マンホーラーも注目している「でんちゅうくん」のデザイン蓋は、井原市内の各所に設置されています。
小さな丸の中に風習や文化、歴史をギュッと収めたマンホールの数々。デザインに秘められた土地の魅力を探るのも、マンホールウォッチングの醍醐味です。
この他にも、岡山にはまだまだ魅力的なデザインマンホールがありますよ。今後も気になる蓋を紹介していきますのでお楽しみに!
※マンホールを写真に収める際には、周囲の安全を十分に確認し、歩行者や車両の通行の妨げにならないように注意しましょう。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響による自粛要請を受け、マンホールカードの配付を一時停止している場合があります。マンホールカードを発行する各自治体の窓口に問い合せください。
Information
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記事で紹介したマンホールについての問い合せ先
- ・「矢掛町・奴さん&やかっぴーマンホール」… 矢掛町上下水道課 電話番号 0866-82-0173
・「備前市・狛犬マンホール」…備前市建設部下水道課 電話番号 0869-64-1865
マンホールカード検索サイト
- GKP下水道広報プラットホーム
http://www.gk-p.jp/mhcard/上記サイト内「岡山県のマンホールカード情報」
http://www.gk-p.jp/mhcard/?pref=33#mhcard_result