降水量1mm未満の日が日本で一番多く、災害も非常に少ないことから、映画やドラマの撮影スポットとして注目されている岡山県。市街地からクルマで30分圏内に、海、山、古い街並みなどがあり、田舎の風景や島、高原など豊富なロケーションがそろっています。
「晴れの国岡山は、日本のハリウッドだね!」
そんな声が高まって、誰が呼んだか「HALLE WOOD(ハレウッド)!」。
「HALLEWOOD」の立役者であり、全国の映像制作会社が頼りにするというすご腕コーディネイターの妹尾真由子さんが、知られざるロケの裏側やさまざまなエピソードを通じて、岡山の魅力を紹介していく連載です。
《連載第10回》映画『とんび』編 ①
みなさん、こんにちは。岡山県フィルムコミッション協議会の妹尾真由子です。
先月、ポスターやチラシ、特報などが解禁になり、県内各所でも掲出や配布を始めているため、すでに注目してくださっている方も多いと思いますが…。
2020年11月から12月にかけて、約1カ月におよび岡山ロケを敢行した映画『とんび』がいよいよ2022年に公開予定です!
そこで公開までの間、複数回のシリーズで、岡山ロケの様子と併せて「とんび」の魅力についてお伝えしていきたいと思います。
最初の今回は「導入編・『とんび』とは」というテーマでお送りします。
「とんび」は、岡山出身・重松清著の累計60万部を超える大ベストセラ―小説です。
本作は、不器用だけど深い愛情をもって息子を育てた父と、まっすぐな大人に成長していく息子という一組の親子の深い絆を描く感動のストーリーとなっています。
すでにNHKやTBSなどで映像化されているのでご覧になった方も多いのではないでしょうか?
2012年に放送されたNHK土曜ドラマスペシャル「とんび」(前・後編)でも、岡山がロケ地になっています。この時は、映画「ALWAYS三丁目の夕日」や「魔女の宅急便」などのロケ地としても有名な岡山市東区の西大寺五福通りなどで撮影をしています。
翌年、連続ドラマ・TBS日曜劇場「とんび」で再び映像化されましたが、残念ながら岡山県でロケが行われることはありませんでした。しかし、多くの視聴者に感動を与えたドラマとして大きな話題を呼びました。
これまで2度もドラマ化されているので、ストーリーを知っている方も多いとは思います。
映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』で岡山ロケの実績もあり、近年多くの話題作を世に送り出している瀬々敬久監督がメガホンを取り、阿部寛さんと北村匠海さんが親子役で共演!
満を持しての初の映画化ということで、皆さんの期待も高まっているのではないでしょうか。
そして何より、今回の映画の劇中に出てくるロケーションの多くは、わが岡山で撮影されているんです!
舞台は瀬戸内海に面した架空の街「備後市」ではありますが、各地域で地元の方々がエキストラとして多数参加してくださっていることもあり、岡山愛の詰まった作品になっていると期待しています!
本作について最初に制作会社からコンタクトがあったのは、2019年春のことでした。今から2年以上も前のことなんですね。
問い合わせから2週間後には、実際にその場所に行き、見たり聞いたり体験したことを脚本に反映する「シナリオ・ハンティング(略してシナハン)」を行いました。それが私が映画『とんび』の制作に携わるスタートでした。
次回、『とんび』編 ②では、シナハンからロケハンを経て、岡山ロケが決定するまでのお話をしたいと思います。お楽しみに!
作品データ
【タイトル】
とんび
【劇場公開】
2022年
【ストーリー】
昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。運送業者で働くヤス(阿部 寛)は、今日も元気にオート三輪を暴走させていた。
愛妻・美佐子(麻生久美子)の妊娠に嬉しさを隠せず、姉貴分のたえ子(薬師丸ひろ子)や幼馴染の照雲(安田 顕)に茶化される日々。幼い頃に両親と離別したヤスにとって家庭を築けるということはこの上ない幸せだった。
遂に息子・アキラ(北村匠海)が誕生し「とんびが鷹を生んだ」と皆口々に騒ぎ立てた。しかしようやく手に入れた幸せは、妻の事故死で無残にも打ち砕かれてしまう。
こうして、父子二人きりの生活が始まる。母の死を理解できないアキラに、自分を責めるヤス。和尚の海雲(麿 赤兒)は、アキラに皆が母親代わりなってやると説き、雪が降っても黙って呑み込む広い海のようにアキラに悲しみを降り積もらすな―「お前は海になれ」と、ヤスに叱咤激励するのであった。
親の愛を知らずして父になったヤスは、仲間達に助けられながら、我が子の幸せだけを願い、不器用にも愛し育て続けた。
そんなある日、誰も語ろうとしない母の死の真相を知りたがるアキラに、ヤスは大きな嘘をついた──。
【キャスト】
阿部 寛
北村匠海 杏 安田 顕 大島優子
濱田 岳 宇梶剛士 尾美としのり 吉岡睦雄 宇野祥平 木竜麻生
田中哲司 豊原功補 嶋田久作 村上 淳
麿 赤兒 麻生久美子 / 薬師丸ひろ子
【スタッフ】
原作:重松 清「とんび」(角川文庫刊)/監督:瀬々敬久/脚本:港 岳彦
【岡山県内撮影時期】
2020年11月~12月
【県内ロケ地】
・浅口市(金光町大谷、青佐鼻海岸)
・笠岡市(金浦地区、笠岡西中学校、金浦幼稚園、旧大島東小学校、原田荘、神島の道)
・倉敷市(海蔵寺、旧玉島第一病院、玉島の道、ドラム缶橋、呼松漁港、呼松神社、沙美海岸)
・瀬戸内市(旧錦海倉庫)
・備前市(柳青院)
・美咲町(柵原ふれあい鉱山公園)
・岡山市(東湯)
・玉野市(由良病院)
岡山県フィルムコミッション協議会の詳細は下記から。
【Profile】
岡山県フィルムコミッション協議会
妹尾真由子
矢掛町出身。2013年に矢掛町入庁。産業観光課での勤務時代には、ご当地キャラ・やかっぴーとともに町の観光PRを担当。2016年より岡山県観光連盟に出向。2018年より岡山県フィルムコミッション協議会の専任スタッフに
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