「岡山ラーメン★エクスプローラーズ」が大復活。
ラーメンが大好きな大盛りアニキとバリカタ姐さんがコンビを結成。毎月気になるテーマを掲げ、無理やり独断で3選します! そして再び岡山のラーメン界に参戦!←ダジャレ
アニキがチョイスし、姐さんがお店に突撃取材! 選びますとも、行きますとも、聴きますとも!
店主やスタッフが普段は話さないようなことをインタビューで引き出して、岡山のラーメンのさらなる魅力に迫ります!
《連載第9回》今回のテーマは「サービス精神がハンパないラーメン店」
皆さま。1カ月お休みしておりました。お待ちかねのこのコーナー、満を持しての再開です。
岡山でも多くの飲食店さんが徐々に通常営業を再開されています。一気に以前のようなリズムのラーメン行脚生活に戻るのは難しいかもしれませんが、少しずつ前を向いて、おいしい一杯を食べていきたいですね。くれぐれも三密注意でお願いします!
さて、今回のテーマは「サービス精神がハンパないラーメン店」。
ここ数年あらゆる原価が高騰し、ラーメンの単価も上昇。かつてはワンコイン前後で気軽に食べられましたが、まもなく1杯1000円の時代が到来するのでしょうか?
時流にあわせてか、各店いろんな工夫をされています。食材にはこだわったり、製法にこだわったり。県産の豚肉を使ったレアチャーシューとかここ数年のムーブですよね。いかに価格以外の「付加価値」を付けるかがポイントかと。
そんななか、特に「バリュー」という部分に着目しているのが、今回ご紹介する3店です。原価は上がっているというのに、「気前がよすぎて心配になるわ!」とお客さんに言わせてしまうような、驚きのサービスを提供しているんです。
しかし、間違えてはいけないのは、どちらもことさらに「サービス過剰である」ことにあぐらをかいていないということ。ラーメンもサイドメニューも接客も、高いクオリティを保ちつつの「バリュー」だからこそ「サービス過剰」なんですよね。
決して手を抜くことはなく、トータル的に水準以上のレベルを保ちつつ…。だからこそ素晴らしいと思うのです。貪欲にさらなる挑戦を重ねて進化し続けてるし。
加えて重要なのは、「おいしいラーメンや料理を、満足いくまでたべてほしい」というお店のスタンスでしょう。インパクト勝負の単なる客寄せの手段ではないんですね。
サービス過剰といえば昭和の時代、学生さんが多いラーメン店での太っ腹エピソードを思い出します。大将が気分と勢いで大盛サービスしてくれるとか、順番待ちしてたら「おなかすいとるじゃろう」と先にチャーハンを小皿で食べさせてくれたとか、いきなりミカンを一個渡されたとか…。
それらはきっと、お店のおっちゃんやおばちゃんが「若い人におなか一杯食べてほしい」という親心のような精神でもって接してくれていたからこそ。令和の世にあって、そういうスピリッツが継承されているのやもしれません。
思い返せば9年前。岡山でおそらくはじめて「こころゆくまで」という極めて上品な表現でもって、「替え玉を無料&制限なしで(スープがなくなるまで)提供する!」というプランを聞いたとき、思わず「正気ですか?」と真意を問うたものです。
極度なおもてなしの姿勢から生まれた「サービス過剰」な精神もまた、これから先、岡山の地で生き続けていくことでしょう。そうあってほしいですね。
それじゃ姐さん、今回もまかせた。元気に行ってらっしゃい!
はい! 現場のバリカタ姐さんです。1カ月のブランクを経て、「ラーメンエクスプローラーズ」が復活いたしました。気持ちも新たに参りたいと思います。
今回登場するのは、3軒とも地元で多店舗展開をする人気店。しかも、各店がここ1年で新店オープンやリニューアルを果たしているとあって、ラーメンファンからの注目度も抜群です。サービス精神も勢いも半端ないお店の、こだわりと想いがつまった一杯、早速いただきます。
森本拉麺堂 岡山店
個性派メニュー乱れ打ち! お地蔵様が迎える人気店が岡山市に参上。
入口で出迎えるのは2体のお地蔵様。おなかいっぱい? もったいない地蔵?? とりあえず手を合わせておこう。その横にはオリジナルソングらしき歌詞が書かれた巨大パネルが。意外すぎる出迎えに少々困惑しつつも、面白い仕掛けに思わず顔がニヤリ。
入口からツッコミどころ満載のこちら、人気ラーメン店『森本拉麺堂』の岡山店。倉敷店、総社店に次ぐ3店舗目として2020年3月にオープンしました。
『森本拉麺堂』は、土佐のカツオを使った魚介系ベースの「醤油」を定番に、「豚骨」や「味噌」と多彩な味を提供。独創的かつ地味深いスープ、次々と繰り出される個性派メニューがラーメンファンを虜にしています。
店内にぶら下がる鍋やボウル、湯切り用の手付きザル。まさか照明のシェードに調理器具を使うとは! 壁に貼られたメニュー名も、「愛炎氣縁 バカサバイバー(ピリ辛ラーメン)」、「特別対策助成麺(冷やし中華)」など個性炸裂。味の想像が全くつきません。
「内装もオリジナルソングも、夢で見たことや思いついたアイデアを形にしています。メニューはネーミングが命! まずは名前からストーリーを広げて、味の方を名前に寄せます」
そう語るのは『森本拉麺堂』の森本オーナー。型にはまらないユニークな発想を生かし、おいしい味と楽しいお店づくりを追求しています。
隠し味が効いた絶品麺に、無料の替え玉&ご飯でお腹いっぱい!
ラーメンの味もお店も、とにかくお客さんに楽しんでもらおう、というのが森本流。その想いはサービスにもしっかり表れていました。何と、全店共通でラーメンを注文すると替え玉とご飯が無料。しかも何玉&何杯でもおかわりし放題というからびっくり。ラーメン一杯でお腹いっぱいになれる贅沢なシステム、入口にある「おなかいっぱい地蔵」の「無限のお慈悲」とはこのことだったんですね!
早速替え玉付きでおすすめメニューを注文しました。こちらは『掟破りの漆黒らぁめん 織部』740円。
かえしのコクに乗っかるマイルドな甘み。隠し味のトマトソースが、しょうゆとソースの中間的な奇跡の味を創り出します。
スープが半分になったところで替え玉をイン。スープの旨みと麺の小麦感が合わさり、またまた箸が進むおいしさです。無料のネギやモヤシのアクセントを添えて、ちょっとした味変に挑戦するのもこれまた至福。
お次は、カツオの風味がガツンと来る「かつおらぁめん Rich(リッチ)」750円。湯気と共に薫るカツオの香り、黒マー油を足した香ばしい深み、レアチャーシューとえびせんもいい味出してます。ここではご飯を追加してスープと白飯のコラボを楽しみましょう。ご飯には無料のカツオ節を乗っけ盛り。「勝手に追いガツオ丼」にすれば最高の一品が完成。申し分無しにリッチです!
「とにかくお腹いっぱい食べてほしい」と、まるで息子想いのオカンみたいな懐の深さでラーメン愛を語ってくれた森本オーナー。こだわりの味からサービスまで、思いやり精神にあふれたお店です。
あがいやんせ 野田店
甘辛&黄にらラーメンが名物。コク旨スープとこだわり自家製麺が美味。
姉妹店を含めて岡山県内に4店舗を展開する『あがいやんせ』。「黄にらラーメン」で有名な姉妹店『ふくみ家』から味を受け継ぎ、薩摩しょうゆで仕立てた独自の味で勝負しています。ちなみに『あがいやんせ』は、鹿児島の方言で「おめしあがりください」という意味だそう。
今回訪れた野田店は、見通しがよく広々としたワンフロア。ゆったりと食事ができる空間です。2020年4月には『岡山天満屋』の地下に『ふくみ家』として姉妹店の新店舗がオープンしました。
豊富な品数の中でも不動の人気を誇る「甘辛ラーメン」810円~。鶏ガラベースのスープに香味野菜を加え、豆板醤や一味などをピリリと効かせた濃厚な味に仕上げています。
オーナーの江田さんいわく、人によって味の印象が異なる絶妙な甘辛さがポイントで、甘めが好きな人には少し辛く、辛め好きな人には少し甘く感じるのだそう。これぞ唯一無二、と言わしめる味を確立しています。
手間暇かけて作るこだわりの自家製細麺は、コシがあってのびにくいのが特徴。スープを抱き込む味のよさ、ほどよい歯ごたえが旨さを引き立てます。
隠れた人気メニューとして話題なのが、数種類の唐辛子を使った超激辛「デスラーメン」890円。メニューには「体調を崩す恐れがあるため、ご本人の自己責任でお願いします」との恐ろしい一文が。
辛さのレベルは「旨辛」「痛旨辛(+100円)」「マヒMAX(+200円)」の3段階。旨辛は辛いモノ好きならペロリといける程よい辛みで、「甘辛ラーメン」がベースなので旨みもしっかりと出ています。
「旨辛を『CoCo〇番屋』さんのカレーで例えると、3から4辛くらい?」と江田さん。バリカタ姐さんも旨辛をおいしくいただきました。それ以上のレベルは保証しませんが、辛さに自信のある方は旨辛から試してみてはいかがでしょうか?
腹ペコは必食!驚愕の「唐揚げ食べ放題」&「TKG食べ放題」
「デスラーメン」以上に驚きを隠せないのが、コスパ最強の「唐揚げ食べ放題」。
何とラーメンに唐揚げ300円をセットにすれば、17時~21時まで限定で唐揚げが食べ放題になります。9種の調味料を使った店内仕込みの唐揚げは、衣はサクサク、鶏肉はしっとりジューシー。追加は1回につき1個から10個まで頼めて、その都度揚げたてを提供してくれます。
さらに好きなラーメン+180円でご飯がおかわり自由。ご飯1杯ごとに生卵が無料で付くので、実質玉子かけご飯が食べ放題になるという仕組みです。オリジナルの「黄にらだし」をかければ、絶品のTKGセットが思う存分味わえます。
替え玉は1玉30円、半玉20円とこれまたお得。「もうちょっと食べたい」という細かいわがままを叶えられるサービスで、常連さんの中には、麺の風味を味わうためにあえて半玉ずつ注文する人もいるそうです。
こっちが心配になるほど大盤振る舞いですが、「その分お客様に足を運んでもらい、当店の味を広げられたらOK」とどこまでも気前のよい江田オーナー。満腹でもお財布に優しいのが魅力ですね!
小豆島ラーメン HISHIO 倉敷美観地区店
店内をリニューアル。小豆島&瀬戸内の恵みをラーメンに凝縮。
香川県小豆島の素材を使ったラーメンで、岡山ラーメン界に新風を巻き起こした『小豆島HISHIO』。名産のカタクチイワシをはじめとする瀬戸内産の魚介や、杉樽を使って昔ながらの製法で醸造される小豆島島特産の『ヤマロク醤油』など、素材の風味を生かした旨み豊かな味わいが人気を呼んでいます。
『倉敷美観地区店』は、倉敷川沿いの通りから1本路地を入った場所にあり、観光客でにぎわうエリアに立地。足しげく通う地元客も多く、文化と歴史が薫る倉敷美観地区を代表するグルメスポットとして定着しています。2019年の12月24日にはお店を全面リニューアルし、よりキレイな空間に生まれ変わりました。
カウンターのみの接客スタイルに変え、厨房もフロアも以前よりスペースを広げてゆとりをキープ。デニムカバーの椅子で倉敷らしさも演出しています。明るく清潔感があり、幅広い客層に喜ばれそうですね。
『イオンモール岡山店』を兼任するオーナーの草井さんは、ラーメン道一筋で修業を積み、『小豆島HISHIO』の優れた味を守り続けています。
「お客さんの動きが早い『イオンモール岡山店』に比べて、ここはお客さんとの距離感が近いお店。一期一会の出会いや、常連さん達とのコミュニケーションを楽しみながら接客しています」
草井さんの気さくな人柄もあるのか、どこかご近所感のあるほっこりしたムードが漂っています。観光地ながら、気負わずラーメンを味わえる空気感がいいですね。
こちらは看板メニューの「醤(ひしお)そば」。860円。『小豆島ラーメンHISHIO』の実力がシンプルに伝わる、王道の一杯です。
スープには魚介のだしと野菜の旨みがしっかり溶け込み、熟成された醤油ともろみのコクが口いっぱいに広がります。醤油ラーメンなのに味噌のようなまろやかさがあるのも特徴。濃厚ですが、含みのある優しい味わいがクセになります。
無料の替え玉は「心ゆくまで」注文可能。持ち帰りもお得でサービス充実!
『小豆島HISHIO』では、ラーメン注文で替え玉無料のサービスを行っています。もちろん、スープのある限り実質無制限でいくら頼んでもOK。看板やメニューに添えられた「心ゆくまで」の言葉に、お店の丁寧な接客姿勢が感じられます。
昆布だしの澄み切ったスープに浮かぶのは、白菜、エノキ、バーナーで香ばしく焼き上げた炙りチャーシュー。醤そばの濃厚さとは違うあっさりとした風味で、塩ラーメンに近い一品ですね。ヘルシー志向の外国人にも喜ばれるそうです。
替え玉をセットしたのは、倉敷店の人気メニュー『白壁そば』890円。名前からして倉敷らしさ満点です。
「肉を控える外国人の方は、チャーシュー抜きでオーダーされることもあります。その時は煮卵を付けてあげますね」
気遣いあふれる草井さんは、持ち帰りでもサービス精神を発揮しています。
「テイクアウト需要が増えて、『持ち帰り用セット』650円も継続中です。お店オリジナルの麺とスープに、煮卵1個と替え玉一杯が付きます」
テイクアウトとはいえ、かなりリーズナブル。替え玉も付けてくれるなんて親切すぎますよ! でも、自宅で替え玉が食べられるのはうれしいかも。そう思っていると、草井さんから驚きの提案が。
「今回の『ラーメンエクスプローラーズ』の記事を見た、と言ってくれたら、倉敷店に限り煮卵を1個サービスしますよ」
本当にいいんですか? 大丈夫ですか? 本当に太っ腹!
状況によっては対応できないこともあるかもしれないので、スタッフさんにお声かけしてみてください。倉敷店限定なのでご注意を!
うれしい特典を付けてくれた、サービス精神旺盛すぎる『小豆島HISHIO倉敷美観地区店』。飽きの来ない名作ぞろいのラーメン、ぜひご賞味ください。
まとめ
いかがでしたか? 食欲旺盛&欲張りさんのお腹を満たす、充実のサービスぶり。無料や食べ放題はそれだけで魅力的ですが、それに甘んじることなく味を追求する姿勢、お客様目線を大事にする店づくりこそが店の人気を支えているのだと思います。明るく、優しく、エネルギッシュなオーナーのお三方。今後もどんなメニューやサービスを届けてくれるのか、期待大です!
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