「岡山ラーメン★エクスプローラーズ」が大復活。
ラーメンが大好きな大盛りアニキとバリカタ姐さんがコンビを結成。毎月気になるテーマを掲げ、無理やり独断で3選します! そして再び岡山のラーメン界に参戦!←ダジャレ
アニキがチョイスし、姐さんがお店に突撃取材! 選びますとも、行きますとも、聴きますとも!
店主やスタッフが普段は話さないようなことをインタビューで引き出して、岡山のラーメンのさらなる魅力に迫ります!
《連載第8回》今回のテーマは「児島&玉野 港町の名物ラーメン店」
皆さま。人生って思いもよらないことが起こるものですね。
2020年4月現在、自由気ままにラーメンを食べに出ることもできないような状況ですが、「そんな時代もあったね」といつか話せるときも来るのでしょうね。
捲土重来。今はラーメン情報をしっかりストックしてください。そして来るべきその日が訪れたら、思うぞんぶんラーメン行脚を楽しみましょう!
ということで今回は、「児島&玉野 港町の名物ラーメン店」という切り口で3軒をチョイスさせていただきました。児島も玉野も海辺のまち。ワタクシは幼少期を、県南のもっと小さい港町で過ごしましたので、なんだか懐かしい感じすら覚えてしまいます。
勝手な思い込みかもしれませんが、海辺とラーメンって抜群に似合うと思いませんか? 漁師さんとか、船乗りさんとか、カキ剥きのおばちゃんとか、釣りバカのハマちゃんとか、三平三平とか、番場蛮とか、カモメの水兵さんとか。彼らが海辺でドンブリもって笑ってたら、それだけで絵になるってもんですよ(どんなシチュエーションなんだ)!
ということで今回は、岡山県下では海辺のまちの代表格である児島と玉野の名店3選です。
玉野のお店はこの連載シリーズでは何度かご紹介していておなじみですが、児島の2店は初登場かも。3店とも「地元で長く愛されている」という点で通じていますね。
それじゃ姐さん、ナイスリポートをよろしく!
はい! こちらバリカタ姐さんです。
今回はノスタルジックな海辺の町、児島&玉野のラーメン店ということで、創業20年以上続く町の看板店3軒をご紹介します。
いつもの取材とはちょっと視点&手法を変えてのリポートとなります。テイクアウトできるサイドメニューも登場しますよ。
それでは、海街に根差したおいしいラーメン。早速ご紹介しましょう!
らーめん せんや
世代を超えて人気。静かな港町でにぎわう30年超の老舗店。
JR児島駅からクルマで約5分の場所にある『らーめん せんや』。この場所に店を構えて30年超、前身の店から数えると約40年という長い歴史を持つ人気店です。
女性スタッフが多く、厨房はいつも活気あふれる雰囲気です。
「小さい頃からここのラーメンを食べてきた」という常連客も多く、児島っ子の外食スポットとしてもすっかりおなじみ。客層は幅広く、休日は家族連れで席が埋まることもあるそうです。
「しお・みそ・しょうゆ」と3種の味を展開。名物「たこめし」も注目。
『せんや』のラーメンは、豚骨だしに隠し味を加えた濃厚なスープをベースに、しお、みそ、しょうゆの3種の味を展開しています。野菜や玉子、ヒレカツなどトッピングも含めたメニューの数は15種類以上。唐揚げや餃子などのおかずとセットになった定食もあり、自分好みの一杯を選べるのが魅力です。
今回選んだのは、「しおラーメン+たこめし」の定食726円。
スープの味をシンプルに楽しめる「しおラーメン」は、小さく切ったタコを炊き込んだ「たこめし」と相性抜群です。「たこめし」は、「しょうゆ」や「みそ」など好みのラーメンとセットにできます。
「しおラーメン」の味の決め手は、塩分の中に甘みを含んだモンゴル産の「天外天塩」。ひと口目はさっぱり、徐々にコクとうま味が広がり、まろやかな塩味へと変化していきます。
具材はネギとメンマ、チャーシュー。麺は自家製の中細ストレート。
柔らかめに茹で上げた麺は濃厚スープがしっかりと絡み、ツルっとしたのど越しのよさが特徴です。この何ともいえない優しい食感が、『せんや』の「昔ながらのほっとする味」を印象付けています。
ラーメンをすする合間に「たこめし」をひと口。
もち米を加えてふっくら炊き上げたご飯は、タコのプリっとした食感と風味がよいアクセントになっています。冷めてもおいしくいただけるので、持ち帰りにもぴったりです。
「たこめし」は単品で297円、持ち帰りの場合は器代も込みで301円。昼営業で売り切れてしまうこともある人気のメニューです。持ち帰り用のラーメンも含めて、テイクアウトの際は事前に問い合わせておくのがおすすめです。
中華そば 幸楽
クラシックな店構えに魅了される、児島の名店
次に紹介するのは、「児島支所東交差点」の角にある、黄色い看板が目印の『中華そば 幸楽』です。
某国民的ドラマで使われていたのと同じ、「THEラーメン店」ともいえる覚えやすい店名。年季の入った佇まいが創業30年超の歴史を物語っていますね。
児島の名店としてラーメンファンにも一目置かれる存在の『幸楽』。現店主の蓮池哲也さんが、先代の父から受け継いだ味を守り続けています。
店の前には数台の駐車場を完備。人気店だけにお昼時には埋まることもありますが、提供時間の速さがゆえに回転率は高め。入れ替わりのタイミングを見計らって訪問するのがポイントです。
駐車の際はルールを守り、指定の場所にきちんと止めましょうね。
まるでタイムスリップしたかのように昭和感漂う店内。店の奥にあるお品書きもいい味出してます。
メニューは定番の「中華そば」をはじめ、「チャーシューメン」「わかめ入りそば」など5品。値段もリーズナブルです。今回は人気メニューの「ニンニク入そば」のトッピングバージョンを作っていただきました。
ひと口目から味の虜に! ニンニクが溶け込む絶品スープ。
こちらが「ニンニク入そば」640円。今回は、「中華そば」本来のスープを味わえるようにと、ニンニクは別付けにしていただきました。
こちらのラーメンは、昔ながらのシンプルなしょうゆ味。あっさり風味ながら、丁寧に仕込んだ鶏ガラスープのうま味がしっかりと伝わります。ほのかに感じる甘みがクセになり、それでいて後口はスッキリ。
すりおろしたニンニクを溶け込ませると、さらに複雑なうま味が押し寄せます。ニンニクの強くクセのある味が、スープと混ざり合ってまろやかに着地。いつまでも味わっていたくなるほど、後を引く美味しさです。
ラーメンと並んで人気なのが、具材どれでも1個120円の「おでん」。「お客さんがラーメンを待つ間に食べられるように」と、先代の時から提供を始めたそう。こちらはお持ち帰りも可能です。
美味しさの秘密は、継ぎ足して作る秘伝のつゆ。玉子にスジ、厚揚げ、こんにゃくなど、どの具材にもつゆがしっかり染み込んで、ほっこりと優しい味わい。伝統のラーメンとともに、ぜひ堪能したい逸品です。
萬福軒
新作メニューが毎週登場。宇野港近くで話題のラーメン店
玉野市の海の玄関口、「宇野港」から徒歩5分の場所にある『萬福軒』。今年で創業26年目を迎える港町のラーメン店です。
昔ながらの庶民的な佇まい。しかしその印象とは裏腹に、「常に攻めたラーメンを開発し続ける店」と、ラーメンマニアの間では一目置かれている存在です。
曜日限定でその日限りのラーメンを提供する「一期一会デー」や、SNSで突如発信される新メニュー、定番品のアレンジなど独創的なアイデアでメニューを量産。
特にラーメンの味を決める「素材」へのこだわりがハンパなく、どれもが美味しいという完成度の高さ。いわゆる「店主の気まぐれメニュー」、その気まぐれが本気すぎるお店のようです。
厨房では店主の小野さんが仕込み中。しっかり者の息子さん、娘さんも一緒に挨拶してくれました。初めて来たのに「すっかり大きくなったねえ」とつい常連気分に浸ってしまう、そんな親しみあふれる雰囲気が魅力です。
常に頭の中はラーメンのアイデアでいっぱい。そんな店主の小野さんが今回作ってくださったのは、「軍鶏(シャモ)のしょうゆラーメン」800円。
軍鶏の強いコクとうま味を堪能。素材の味を生かす個性豊かなラーメン
具材にはチャーシュー、ネギ、ナルトをトッピング。シンプルなしょうゆラーメンですが、味わってみると鶏ガラとはひと味違う香ばしい風味が感じられます。このスープこそが、軍鶏の奥深い味を体現しています。
軍鶏ダシの特徴はコクとうま味の強さ。少し煮込んでもじわっとうま味が溶け、1種類の軍鶏でいろいろな味わいが引き出せます。鶏の脂も臭みがなくキレのよい味。手を加えすぎずシンプルに仕上げた分、ダシの風味を存分に楽しめます。
「ラーメン作りで大事にしているのは、スープが主役となるバランス感」と語る小野さん。麺はスープとよく絡む細麺を使用し、スープを持ち上げる縁の下の力持ち的役割に。
チャーシューは繊維感の残る食感に茹で上げ、スープの味を変えないあっさり風味にしています。
定番メニューは、鶏ガラをベースに数種の魚介を加えたスープを使用。「萬福風中華そば」をはじめ、「濃厚とりしょうゆラーメン」、鯛ダシを使った「鯛の塩ラーメン」など、多彩な味がそろいます。
個性派メニューの代表格は、ノドグロやカキのラーメン、竹炭を使ったみそラーメンなど。ラーメンには珍しい意外性のある食材にも果敢なくチャレンジする小野さん。営業時間やメニューについてはSNSで告知しています。
「ひとつのスープから広がる可能性は無限大。食材や料理本、お客さんとの会話も新作のヒントになります。ラーメンだったらどうアレンジできるかな?って考えるのが面白いんです」
個性豊かなメニューをシンプルに表現し、独自のラーメン道をひた走る「萬福軒」。これからも目が離せません。
まとめ
海辺の暮らしの中でともに歴史を刻んできた、児島・玉野の名物店。世代を超えて人気の店、変わらぬ味を守る店、お客さんを楽しませる味を追求する店と、いろんな形でファンを増やし、長くお客さんに支持されています。
いつまでもそこにあってほしい、そんな魅力たっぷりの3軒。ラーメンのある当たり前の風景が、いつも以上に愛おしく感じられました。