朝ごはんに、おやつに、食事に添えて…まいにちのいろんなシーンで登場する「パン」。岡山にもたくさんのパン屋さんがあり、「この店のこのパンが好き!」という自分だけのお気に入りがある人も多いのでは? パンに恋したTJ女性スタッフが、とっておきの「惚れパン」を心ゆくまで語ります!
[ナビゲーター]しょこ
TJスタッフ暦10年目のアラサー女子。パンを買いに行くために遠征し、自分でも家で焼くほどのパン好き。朝ごはんは必ずパンと決めており、なかでも一番好きなのはベーグル! 現在、パンシェルジュの資格を取るための勉強中。子どものころの将来の夢は、パン職人の旦那さんと結婚すること。
13♥パンめ 『mon-chou』の「シャリシャリ」
日本の3大菓子パンといわれる「あんパン」「ジャムパン」「クリームパン」。あんパンの元祖が『木村屋』であるということは以前触れましたが、じゃあクリームパンは一体どこが発祥なのでしょうか? まずはクリームパンの誕生秘話をご紹介したいと思います。知っていると、これからクリームパンを食べるのがもっと楽しみになるかも!
それは明治38年(1905年)のこと。『中村屋』の創業者夫妻はある日、初めてシュークリームを食べてそのおいしさにおどろきます。と同時に、日ごろつねに新製品を考えていたなかでひらめいたのが「このクリームを、あんパンのあんの代わりに使ってみては…? 新鮮だし、より高級感のあるものになるかも!」というアイデアでした。さっそく作って店に出してみるとこれが大好評! それから、体力向上が叫ばれていた時代に栄養価の高い食べ物として人気が出たため、どんどん全国へ広まっていったそうです。
オーソドックスなクリームパンといえば、「グローブ型」でカスタードクリームが入ったもの。しかし、もともと売り出した当時は半円の形をした「柏餅型」だったそうなんです。ではなぜ切れ目が入り、なぜグローブ型になったのでしょう。諸説あるなかの一説をご紹介します。実は、詰め物をしたパンを焼くと中に空洞ができやすいため、それを防ぐ目的で切り込みを入れたといわれているんです。「たっぷり中身を詰めて、お客さんに満足してほしい」、そんな気持ちから生まれた形なんだそう。また、切れ込みから中身がわかるようにするためとする説もあるようですが、いずれにせよ買う人のことを考えた作り手の愛情の表れといえそうですね。
今回のお店は、井原市役所のすぐ近くにある『mon-chou』さん。アンティーク調のトビラを開くと、パリの街角のブティックのようなインテリアに囲まれておいしそうなパンがずらりとそろいます。店主の塚村直美さんがたまたま訪れたパン屋で出合い「初めて食べたとき、そのやさしい味わいに感動した」という「白神こだま酵母」を使って作り上げる品々がなんと50種類も。「このおいしさをもっとたくさんの人に」との想いで、3年かけてパンづくりの技術を習得したそう。その純粋な気持ちも、パンたちのおいしさにつながっているのかもしれません。ちなみに「白神こだま酵母」とは、秋田県白神山地の腐葉土から採取された酵母を培養したもので、その効果で生地が自然でほんのりした甘みになるそうです。最大限に魅力を生かすために、トッピングや具材の甘さはひかえめに仕上げているのだとか。油脂をあまり加えなくても生地の老化が遅く、しっとりとした食感が長く楽しめます。
そしてご紹介するクリームパンは、こちらの「シャリシャリ」194円。長く愛されているロングセラー商品で、練乳入りのクリームをサンドした一品です。シンプルな見た目と飾らない味ながら、もっちりのパンにグラニュー糖が入ったシャリシャリの歯触りがクセになって、一度食べたらリピート必至です。練乳味って「お母さんの味」をイメージして、なんかほっとするんですよねぇ。コーヒーにも紅茶にも合いそうです!
生地ごとに1日4回に分けてベイクされる多彩なパンたちは、お昼ごろにすべてがそろうそう。お店のHPには、時間ごとの焼き上がり目安とラインナップが紹介されています。もしお目当てが決まっている人は、訪れる前に確認してみてください。『mon-chou』といえば「あんバター」、「あんバター」といえば『mon-chou』といわれるほどの人気を誇る「あんバター」は205円。ふかふか、もっちりした白い「ハイジパン」に十勝産のつぶあんとよつ葉バターをサンドしており、スタンダードなもののほか、生地に京都宇治産の抹茶を合わせた和テイストの「抹茶あんバター」216円、和栗のペーストをサンドした「栗バター」248円なんかもあります。
私が気になったのは、「シュクレ」173円や「塩バター」162円など、シンプルで素朴、やさしい味わいのパンたち。「シュクレ」は生地の表面にくぼみをつけ、そこへアパレイユとバターを流し込み最後にアクセントとしてグラニュー糖をふりかけたもの。「塩バター」は卵やバターたっぷりのリッチなミルク生地の中心にバターを包み込むようにして成型し焼き上げるので、オーブンの中でとろーっと溶け出し、底がまるで揚げ焼きしたような状態になるそう。サクっとひと口ほお張った瞬間に、芳醇なバターの香りが口いっぱいに。表面の岩塩がパンの甘みを引き立ててくれる、ぜいたくなひと品です。オーソドックスな「クリームパン」194円もあり、自家製カスタードがたっぷり。つやつやとして、まるでお風呂上りの美女みたいなクリームパンです。商品はどれも、目でも楽しめるように見た目にもこだわっているそう。パンを見れば、いっさいの手抜きなく丹精込めて作られる光景が目に浮かんできます。素材も、粉は北海道産ハルユタカ、砂糖はキビ100%、伯方の塩と店主が選び抜いたものばかりで、お互いの素材が生かし合えるよう気をつけているそう。
塚村さんがほれ込んだ「白神こだま酵母」は、パンづくりに興味がある人なら「一度使ってみたいな」と思うのでは? でも、酵母を家で扱うのは難しそうで不安…。そんなあなたはぜひこちらで開催されているパン教室にチャレンジしてみて! 店頭で売っているパンと同じように、この酵母と北海道産「ハルユタカブレンド」などを使用ってレッスンしてくれるんです。毎月2~3回、1回の定員は8名。テーマは毎月替わり、季節に合わせたメニューが習えちゃいますよ♪ 私もぜひ参加してみたい! ちなみに10月はもう満員ですが、「栗づくしのパン」だそう。以降は随時発表されるので、詳しい開催日や料金についてはHPへ今すぐGO!
Information
mon-chou
- 住所
- 井原市井原町313-2 [MAP]
- 電話番号
- 0866-62-9190
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 休み
- 月・日曜
- 席数
- 4席
- 駐車場
- 4台
- HP
- http://mon-chou.net/