35♥パンめ 『Prime』の「創作ハード各種」
朝ごはんに、おやつに、食事に添えて…まいにちのいろんなシーンで登場する「パン」。岡山にもたくさんのパン屋さんがあり、「この店のこのパンが好き!」という自分だけのお気に入りがある人も多いのでは? パンに恋したTJ女性スタッフが、とっておきの「惚れパン」を心ゆくまで語ります!
[ナビゲーター]しょこ
TJスタッフ暦11年目のアラサー女子。パンを買いに行くために遠征し、自分でも家で焼くほどのパン好き。朝ごはんは必ずパンと決めており、なかでも一番好きなのはベーグル! 先日みごと「パンシェルジュ3級&2級」を取得! 現在は1級受験に向けて勉強中。子どものころの将来の夢は、パン職人の旦那さんと結婚すること。
倉敷市のパン屋さん『Prime』のご紹介
昨今、新しいカフェやベーカリーがたくさん誕生している倉敷エリア。個人的な印象ですが、倉敷って昔からの伝統的な産業がいろいろあって、技術に誇りとポリシーを持っている店が多いように感じます。「ものづくりの町」というイメージも強いですね。
そのためか、パン屋さんも経験に裏打ちされた確かな実力を備えたところがいっぱい。そのなかでも、今月は私が大好きな2軒の名店をピックアップしてご紹介します。
まず登場いたしますのは、『イオンモール倉敷』からほど近い倉敷市水江にある、赤い木製のドアが目印の『Prime』さん。いまや「ハード系の名手」として名高いベーカリーです。
シェフの羽田勝彦さんは、あの有名な神戸の『コム・シノワ』や大阪の『ル・シュクレ・クール』といった名うての店で10年以上修行したという経歴の持ち主。間違いなく実力派の職人さんです。
その腕と技を武器に繰り出すパンたちはどれも名品ぞろい。特に「ハード系」といわれるジャンルに、羽田さんのセンスによるエッセンスを加えた「創作ハード系」がお得意なんです。
ハード系の醍醐味である芳ばしい風味がしっかり感じられるおいしいパンに魅せられたファンが増殖中!
しょこイチオシは「創作ハード」
そして今回ピックアップしたのは、その名もずばりの「創作ハード」! グリーンオリーブの塩味が味に奥行きを与えてくれている「グリーンオリーブとオレンジ」やバジルが旬の時期に並ぶ「トマトとバジル」と、ちょっと意外な組み合わせのもの。それに、定番の「いちぢくとマカダミアンナッツ」、「クルミレーズン」など、間違いなくうまいハードパンがずらーり。
「本日のパン」と題した日替わりもあり、まさに「一期一会」の出会いが待っていますよ~。
今日はそのなかでも、特に色鮮やかな3品をセレクト。まず、「3種のベリー」1g2.8円。フランボワーズ、クランベリー、ブルーベリー入りの甘酸っぱさがポイント。鮮烈なまでの赤さが印象的で、思わず「テンあげ」(テンションあげあげ、の意)! ベリー好きには垂涎のひと品です。
次に、渋いグリーンカラーの「抹茶」1g2.6円は、大納言、サツマイモ、オレンジピールが入った和のずっしり大きなパン。
そして、口の中をさわやかな風が吹き抜ける「グリーンオリーブとオレンジ」1g2.4円。オレンジピールの酸味と甘み、オリーブ独特のクセが持ち味で、焼くとその風味はいっそう強くなります。
どれもこれも、深みのある大人の味で衝撃的なおいしさ。それ以上に、スライスしたときの美的な横顔にフォーリンラブ。大きめの気泡すらも絵になるんですよね。
そのわけは、羽田さんが日々ていねいにていねいに「外相と内相が最高の状態で焼ける」大きさに仕上げているから。ゆえに、気軽に食べられるように1枚からスライスで量り売りしてくれているんです。
お客さんが好きな量、その日食べるだけの量を買えるのは、「生活に根づき、寄り添いたい」という想いの表れでもあります。
いろいろな種類を楽しめるのはありがたいですね! ちなみに、食べやすい2cmくらいに切ってもらうと、だいたい160~180円だそうですよ。
どのパンも最上級のおいしさぞろい!
ありとあらゆる食材に目を向け、硬さや食感、味わい、製法とすべてにこだわり抜く店主。彼が作り出す「バゲット」1本250円(ハーフ130円)は、水分量に細心の注意を払い絶妙な硬さと弾力に仕上げた「名品」です。
口に入れたときの食感にはじまり、かみごたえ、かむほどに染み出るような小麦そのものの香り高さやうまみ、甘みまで存分に堪能しつくせちゃいます。
クラストはカリッ、バリッとワイルド、クラムはもっっっちりとして、コントラストの質の高さは賞賛に値するほど。このバゲットは家に常備しておきたい逸品…。あぁ、倉敷住まいの人が心の底からうらやましい!
秋の新作では、自慢のバゲット生地にプルーンやイチジク、クランベリー、グラノーラと健康志向な素材を取り入れた「グラノラブリュイ」がお目見えしているそう。女子力を高めたい方は要チェックですよ~♪
お腹と背中がくっつきそうな腹ぺこさんには、チーズの焦げがよだれものの「クロックムッシュ」280円をおすすめ。食パンにタマネギ、ハム、ホワイトソース、チーズがとろぉり。ボリュームしっかりで男性でも大満足ですね。
それからファンが多いのが、丸い形の「ポテトパン」1個200円。マッシュジャガイモを入れた生地を焼き上げ、表面はさっくりしてるのに中はふ~んわり。弾力感もほどよくて、パンの塩加減が抜群なんですよぅ。
食事系だと、秋らしさ満点の「キノコとゴルゴンゾーラのピザ」320円もマストチョイス。 サワークリームのソースとともにのせられたシメジやエリンギといった秋の味覚たちは、その日によって3種類くらいで替わるそう。「今日は何かな?」って楽しみもありますね!
そして今回は、お店の方にイチオシ新作パンもいくつか教えてもらっちゃいましたよ♪ 『Prime』ファンならずとも必見です!
まず、ハート型がプリチーな「ココナッツ」240円。クランベリーとチョコに加え、ココナッツをはじめとするナッツがふんだんに使われています。香ばしく甘い香りが漂い、おいしい単語のオンパレードがにくいひと品です。
次に、秋に出盛り期を迎えるクリとクルミ、それに「マスコバド糖」を使ったクッペ型パン。「栗とマスコバド」230円。ちなみにマスコバド糖とは、原料のサトウキビを収穫してすぐ、できるだけ短時間内にしぼったジュースを煮詰めて濃縮し、攪拌しながら自然乾燥させて粉末の黒砂糖にするんですって。
糖蜜分離や精製をいっさいしていない含蜜糖なので、サトウキビの風味やミネラル分もばっちり残されています。やさしい甘さと糖蜜のコク、あっさりとした後味が特徴で、クセのない味が魅力。
どんな料理にも使いやすくて、素材の味をばっちり引き立ててくれるんです。初めて聞いたお砂糖、ぜひ食べてみたいですね~!
名店のこだわり、想いを存分に感じて
ショーケースにはトータル40種類ほどの商品が、宝石店のジュエリーよろしく整列しています。対面販売を採用しているのは、「自分が売っているパンについて、きちんと説明できるように」という想いから。
自慢のハード系を中心にそろえますが、ソフトな万人受けするパンも当然のようにおいしい『Prime』。でも、その「当然」ってなかなか「当然」じゃないんですよね。日々のたゆまぬ勉強、試行錯誤、まじめな姿勢、食べる人への気持ち…。さまざまなことに対しての「より向上したい」という熱意が「当然」を実現しています。オーブンから窯出しする羽田さんのまなざしは真剣そのもの。毎回焼き上がりを厳しくチェックしているんですって。仕事に対して一本信念が通った職人さんって、なんて素敵なんでしょう! 「手間をかけて焼くハードパンのおいしさを伝えたい」との言葉から、彼自身も「パンのとりこ」であることがうかがえますね。マニア的には、そんな職人さんの存在はとてもうれしいです。
パンに使っているのは、国産小麦に岡山県産のうるち玄米粉、純良バター、喜界島の粗糖などなど、安心だと思える良質な材料だけなのだそう。しかもショートニングやマーガリンは不使用なんです。それだけに、安心して食べられるパンは連日朝から大人気。出遅れると売り切れちゃってることも多いので、狙いのパンがある場合はできるだけ早めに行ってくださいね。
あ、そうそう。店名の『Prime』とは英語で「最上」の意。その名を冠するだけある、「最上級のパン」が食べられる納得の1軒でした。
『Prime』の店舗データ
Information
Prime
- 住所
- 倉敷市水江887-2 [MAP]
- 電話番号
- 086-454-8880
- 営業時間
- 9:30~19:00
- 休み
- 月曜、第2・3火曜
- 駐車場
- 8台