Season 2 第七話/広東菜館 山珍(岡山市)の豚まんじゅうと角玉丼
東京から岡山に移住してきたライターが、まだ食べたことがない、岡山で愛されているグルメを求めて食べ歩き、行きつけにしたいお店を開拓します!
寒い冬になると食べたくなる温かい食べ物は数多くありますが、そのなかのひとつに「肉まん」が挙げられます。関東で言う「肉まん」は、西日本では一般的に「豚まん」と呼ばれているようですね。
東京に住んでいたころには、おいしい肉まんを食べにわざわざ横浜の中華街に出かけるほどの肉まん好きだったワタクシ。岡山が誇る豚まんの有名店があると聞きつけ、岡山市北区丸の内にある『広東菜館 山珍』を訪れました。
『岡山県庁』や『岡山県立図書館』の近く、県庁通り沿いにお店はありました。外観はパッと見、オシャレなカフェのようで、店内もナチュラル系の家具で統一され、とってもモダンな雰囲気です。以前はテイクアウト中心のお店だったそうですが、4年前にリニューアルオープンした際にイートインスペースを設けたとのこと。その一席に座ってお店の名物という「豚まんじゅう」340円を注文しました。
ほどなくして「豚まんじゅう」が運ばれてきました。せいろを開けると、なかには巨大な豚まんが! 噂には聞いていましたが、これはかなりの大きさですね。
ホカホカの豚まんをパカッと2つに割ってみると、たくさんの具がぎっしり詰まっています。「豚まんのなかには、うずらの卵、角煮、キャベツ、タマネギ、ミンチ、背脂と6種類の具材が入っています」とご主人。
うずらの卵と角煮が入った豚まんは初めて食べましたが、具材の味が幾重にも重なり、口いっぱいに奥深い旨みが広がります。無添加と手作りにこだわり、焼き豚を炊いて旨みが出たしょうゆで全体を味付けしているという『山珍』の「豚まんじゅう」は、これまで食べた豚まんのなかでダントツ1位のおいしさでした。
ご主人によると「豚まんに入っていた角煮も当店の名物です」と言うことですので、その角煮を使った「角玉丼セット」1100円を注文しました。角玉丼にチキンスープ、サラダ、梅ザーサイが付いています。「角煮は岡山県のブランド豚『ピーチポーク』を使っていて、お米は赤磐産です。野菜などの食材は、できるだけ岡山産を使うようにしていています」。
角煮は、スプーンであっさり切れるほど柔らかく、優しい甘みが感じられます。特製の白湯甘辛ダレがかかった五目野菜の卵焼きもトロトロで、角煮と見事なハーモーニーを奏でています。この「角玉丼」は、女性のお客さんにも大人気というのがうなずける一品でした。
ワタクシは大満足しましたが、家でお腹を空かせて待っている奥さんと子どものために「中華弁当」690円と「豚まんじゅう」をテイクアウトすることにしました。お弁当メニューのなかで人気ナンバーワンという「中華弁当」には、唐揚げ、エビの天ぷら、ミンチカツ、卵ロール、ザーサイ炒め、山菜クラゲという盛りだくさんのおかずが入っています。
「おかずのなかでも10種類以上のタレに漬け込んでいる唐揚げや、タケノコ、豚肉と一緒に炒めたザーサイ炒めは根強い人気がありますね。この『中華弁当』は、日によっては100食以上出るときもあります」とご主人。帰宅した後、ワタクシもちょっとずつおかずをもらって食べましたが、「冷めてもおいしい」がコンセプトという『山珍』のお弁当は納得のおいしさで、奥さんや子どももペロリとたいらげていました。
お忙しいなか、ご主人の仁後さんにお話を伺いました。「私の祖父である先代は戦後、おでんやラーメンを売る屋台を引いていて、1960年に現在のお店の近くで『山珍』を創業しました。『豚まんじゅう』は創業して少し経ってから売り始めたと聞いていますが、最初は試行錯誤を繰り返していたようです」。先代が「お子さんに喜んでもらえるように」と、うずらの卵を入れたことでオリジナルの『豚まんじゅう』が誕生し、改良を重ねて現在の形が完成。その後、岡山では知らない人がいないほど人気の豚まんとなったそうです。
子どものころから『山珍』の味に慣れ親しんできた仁後さんは、10年前にお店を継ぐことを決意。それまで飲食店で働いた経験はなかったそうですが、先代からレシピなどを含めてさまざまなことを学んだそうです。「先代の想いや味を引き継ぎながら、新しいメニューもどんどん考案していこうと思っています」。
多くの人を魅了する、オリジナルでオンリーワンの料理の数々
お店の看板メニューである「豚まんじゅう」は、各種メディアで取り上げられ、一時はネットでのお取り寄せが9カ月待ちになるほどの人気ぶりだったそうです。取材に訪れた際も、豚まんを買い求めるお客さんが後を絶ちませんでした。イートインスペースが出来てからは、若い女性など幅広い層のお客さんが増えたそうで、ディナータイムにはおいしい料理をつまみにお酒を飲まれる方も多いそうです。仁後さんに店名の由来を尋ねると、「先代の『珍しくて喜んでもらえるものを提供したい』と思いが込められています」と教えてくださいました。お店の今後については、「当店の『豚まんじゅう』で全国のお客様に感動を与えたいと思っていますので、今後はもっと通販サイトに力を入れていきたいですね」とのことでした。「豚まんじゅう」をはじめ、体に優しくオリジナルでオンリーワンの『山珍』の料理は、これからも多くのお客さんを魅了していくことでしょう。ごちそうさまでした! またサイコーにおいしい豚まんを買いにお伺いします!(ライター:カタオカキヨシ)
Information
広東菜館 山珍
- 住所
- 岡山市北区丸の内2-12-22 1階 [MAP]
- 電話番号
- 086-222 2316
- 営業時間
- 10:00~21:00
- 休み
- 月曜日
- 席数
- 14席
- 駐車場
- なし
- HP
- http://sanchin-okayama.com/