岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界30年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘けつだとか。
「HOW TO BLOW UP」
アメリカでスマッシュヒットを記録しながらも「環境テロ行為を助長する」とFBIが警告を出すなど賛否両論を巻き起こしたサスペンススリラー。
スウェーデンの気候変動学者アンドレアス・マルムが2021年に発表したノンフィクション書籍「パイプライン爆破法 燃える地球でいかに闘うか」を原作に、ダニエル・ゴールドハーバー監督と主演を務める俳優アリエラ・ベアラーが共同で脚本を執筆し、物語の形に大胆に翻案した作品。
環境活動家の若者たちによる命がけの石油パイプライン爆破を描き、爆弾作成の詳細があまりにもリアルで「テロを助長する」とFBI当局が警告をしたという異例の問題作だ。
若い力が迷走し、あらぬ方向へと進んでゆく物語は、全編張り詰めた緊張感で観客を引き付けて放さない。
北米で本作を配給したのは2017年設立以降、「パラサイト 半地下の家族」「燃ゆる女の肖像」「TITANE/チタン」「落下の解剖学」など、奇抜で野心的な映画を次々と配給する新進気鋭の映画スタジオ「NEON」。
2023年に公開されると、ダニエル・シャイナート、エドガー・ライト、デヴィッド・ロウリー、レイン・アレン・ミラーなどの新しい才能が年間ベストに挙げ、賛否両論を巻き起こしながらもスマッシュヒットを記録した。
この問題作をあなたはどう見るか? 劇場でじっくり鑑賞してほしい。
<公開情報>
「フォールガイ」
「ブレット・トレイン」「ワイルド・スピード スーパーコンボ」のデビッド・リーチ監督が、スタントマンの活躍を描いた痛快アクション。
1980年代に放送されたテレビドラマ「俺たち賞金稼ぎ!! フォール・ガイ」を映画としてリメイクし、危険な陰謀に巻き込まれたスタントマンの戦いを、自身もスタントマン出身のリーチ監督がリアルかつ斬新なアクションで描く。
危険な職業ではあるが、万全の安全を確保しつつ行う映画の撮影と違い、マジの命がけに挑むことになるスタントマンの活躍はスリル満点で痛快!! この着想が素晴らしい。
昨今のようなCG技術がない時代にスタントマンの活躍はアクション映画に不可欠なものだったが、脚光を浴びることはなく、まさに縁の下の力持ち。
そのスタントマンが暴れまくる本作は、規格外のアクションだけでなく、ロマンスや笑いもたっぷりなスーパーエンターテインメントに仕上がっている。
キャストは、主人公のコルトを「ラ・ラ・ランド」「バービー」のライアン・ゴズリング、コルトの元恋人ジョディを「クワイエット・プレイス」シリーズのエミリー・ブラント、失踪した主演俳優トム・ライダーを「キック・アス」シリーズのアーロン・テイラー=ジョンソンと豪華な面々が務めている。
ひとひねりしたアクション映画に、夢中になること間違いなし!!
<公開情報>
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