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つまんない映画なんてない!

つまんない映画なんてない! vol.22

「リリーのすべて」

  • 情報掲載日:2016.05.18
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界20年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘訣。映画が好き過ぎて、あこがれのターミネーターに変身。特殊メイクがんばりました!

「リリーのすべて」

有名映画解説者には中性的な人が多いと言われている。
これはおそらく男性向け作品にも女性向け作品にも感情移入できて、適正な評価が出来るからだろう。しかし私はそれだけではないと思っている。中性的な人はセンスがいい! 少なくとも私はそう思っている。

詳しいメカニズムは分からないが、とにかくファッション界や優れたクリエイターたちにも中性的な人が多く、大活躍をしているのである。

確かに男の気持ちと女の気持ち、両方が分かれば有利な業界もあるのかもしれないが、それはきっと一方で生き辛いことなのかもしれない。ましてや、その昔、まだ誰も中性を認知していない時代だとしたらどうだろう。

『リリーのすべて』は愛と勇気の物語である。

世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人、リリー・エルベの実話に基づく物語。
トランスジェンダーという言葉や概念がまだ確立してなかったであろう、今から80年以上も前に、自分らしく生きるため、それまでの自分と決別し、誰も受けたことのない未知の手術に命がけで挑んだリリー。そして夫が夫でなくなりながらも強靭な愛で寄り添い続ける妻ゲルダ。

あえてもう一度言おう!
『リリーのすべて』は“愛と勇気”の物語である。
フレーズを言い終わる前に目頭が熱くなる。この感動は是非、劇場で味わってほしいのである。『リリーのすべて』をご覧いただいて、まさに、その“すべて”をご覧いただいた上で、ただただ彼女のことを知ってほしいのである。

監督は『英国王のスピーチ』でアカデミー賞4部門を受賞し、『レ・ミゼラブル』で世界中の観客を涙させた巨匠トム・フーバー。主演は車椅子の物理学者スティーブン・ホーキンス博士を演じた『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したエディ・レッドメイン。
この2人がまた傑作を作ったのである。

数ある映画の中で、どれを選べば良いか? もちろんその時自分が観たい映画を観ればいい。 しかし、映画には見るべきものや、観なければいけないものもあるのかもしれない。そう思わせる作品が久々に現れた。

肖像画のモデルとして初めて女装をしたリリー。ストッキングを履き、そこに優雅にまとわりつく白いチュチュの感触に身を委ねるうち、今まで感じたことのない高揚感で、自分の中の自分に目覚める。リリーの物語の始まりは未だかつてない、緊迫感に包まれたものである。
そして圧巻のエディ・レッドメインの美しさ! 鑑賞中に何度も、その美しさに女性が危機を感じるだろう!

リリー・エルベはこの時代にもう一度生まれることが出来たのである。
この奇跡はトム・フーバー監督とエディ・レッドメインがこの時代に居合わせたことに他ならない。きっと、大切なものを見つけられる作品なので、是非ご覧いただきたい。

公開情報
『リリーのすべて』
監督:トム・フーバー 出演:エディ・レッドメイン アリシア・ヴィキャンデル
5月21日(土)より岡山メルパにて公開

岡山メルパ館長 福武孝之

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