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《森田剛主演》「夢をもっていない人のことも肯定したい」森本晶一監督、初監督作品に込めた思いとは

  • 情報掲載日:2026.10.16
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

10月30日(金)に全国公開となる森田剛主演の映画「見上げてごらん」。マンガ家になれないまま42歳を迎えた万年アシスタントと、マンガづくりの現場で迷う大人たちを描いたこちら。本作でメガホンを取ったのは、「万引き家族」「怪物」といった是枝裕和監督の作品をはじめ、数々の映画で助監督を務めていた森本晶一監督。本作で初めて佐藤快磨監督と共に長編劇場映画監督としてデビューしました。そこで今回、本人の経験が色濃く反映された本作について話を聞きました。

主人公はマンガ家のアシスタント、助監督としてキャリアを重ねてきた森本監督と境遇が重なりますが、初監督作は自分の思いを込めたものにしたいという意識があったのでしょうか。

他にも企画があって「絶対にこれでデビューしたい」ということではなかったんです。何が書けるかを考えていたときに、よく見ていたYouTubeの人生相談の番組で40代でマンガ家を目指している人の手紙が紹介されていたんです。その答えが「40代から新しい世界観のマンガを描くのは難しいかもしれない。でも生きてきた中で、自分の身の回りのことを描くことはできるかもしれないね」というものでした。そのときはあまり何も思わなかったんですが、後になってふと、「この人、映画の主人公になりそうだな」と思ったんです。

マンガを描きたい人が、自分の夢と向き合うまでの話を書いてみたいと思ったときに、自分の境遇にもちょっと似ているなと。それでアシスタントという設定を思いついて、自分の経験や出会ってきた人たちを映画の中に詰め込めるなと思いました。

©2026「見上げてごらん」製作委員会



主演の森田剛さんは10代からアイドルとして活躍してきた方。主人公とは真逆の境遇ですね。

森田さん自身が「普通の人の役をやってみたかった」とおっしゃっていて。僕らもV6としてのイメージや、これまでの出演作とはまた違う森田さんを引き出したいと思っていたので、そこはうまく合致しました。舞台やテレビでの森田さんはすごくかっこいいんですけど、普段話しているとすごく力が抜けているんですよ。植物が好きだったりして。普通の人を演じることで、これまでとは違う魅力が出るなと感じました。

作中にはマンガ家のアシスタントのほか、会社員や受験を控えた学生など、さまざまな立場で「夢」や「やりたいこと」に葛藤する人たちが登場します。

僕自身、ものをつくってきた人間なので、夢に動かされてやってきた部分が大きいんです。夢って、すごく個人的なもので、自分で頑張ってかなえるものだと思っていました。でも、好きなことを仕事にしていくと、その形がだんだん変わっていく。夢はいったん置いておいて、仕事としてちゃんとものをつくらないといけないということのほうが大きくなっていくんです。そこには大きな夢を持たない人もたくさん関わっています。そのこともちゃんと肯定したい。その一方で、夢があるからこそできることもある。両方あるんですよね。どちらかを美化したくはなかったんです。ちょうどいいところにボールが投げられているといいんですけどね(笑)。

会社員の身として、森川葵さん演じる出版社の編集者・潮田ユキのそこまで好きではないものに対して向き合う姿にとても共感しました。

実は僕も、潮田が一番好きなんです。僕自身は会社に入ったことはないんですけど、ああいう人って実はほとんどな気がするんですよね。普通に大学に行って、それなりに人生を楽しく過ごしてきて。裏設定としては、彼女は『ワンピース』のようなマンガが好きで、大学時代の留学で日本のマンガ文化が海外で受け入れられていることを感じて、それを就活でうまく話して内定をもらったという感じです。

映画業界でもマンガ業界でも、描いている人は好きで描いている。でも、それを仕事として、会社を背負ってやっている人にはいろいろな人がいる。なんとなく入社してマンガの部署に配属されて、周りは自分よりマンガが好きで、勝てない。そこでやっぱり自分と向き合わざるを得ない。そういう人って結構多いんじゃないかな。そういう人にこそ、ドラマがあると思うんです。

©2026「見上げてごらん」製作委員会



映画のタイトル「見上げてごらん」に込めた思いを教えてください。

僕の師匠の1人である是枝さんが、マンガが題材の「ルックバック」という映画を撮っていて。それに対抗して「ルックアップ」という冗談から始まったんです(笑)。でも、『見上げてごらん』と書いた台本をみんなで共有して、芝居したり撮影したりしていくうちに、だんだん見え方が変わっていって。いいタイトルだなと思い始めたんです。この映画は、人によっては痛いところを突かれて、暗い気持ちになるかもしれない。でもこのタイトルの前向きでポジティブな感じによって、前向きな映画として見てもらえる気がしています。

クレジットには是枝裕和監督がSpecial Thanksとして入っています。

是枝さんのもとで助監督を10年以上やっていたので、気にかけてくれていて。かなり早い段階で脚本を読んでアドバイスをいただいたり、編集の段階でも見ていただいたりしました。そのときは割と褒めてくれました。細かい相談にも乗ってもらっています。

是枝監督から言われた印象に残っている言葉はありますか。

「松本まりかが良かった」と。松本さんが演じたのは人気声優という有名人の役ですが、いつもより親近感のあるお芝居をしてくれたなと思います。

©2026「見上げてごらん」製作委員会
初監督として参加した完成披露上映会での観客の反応はいかがでしたか。

割とゆるい映画で、ちょっとシュールな画面も挟まっているので、全く受けなかったらどうしようと思っていたんです。でも割と笑いが起こっていて、安心しました。感想を見ていても、伝わっているなと。特に何か大きな事件が起こる映画ではないんですけど。配信で刺激の強い作品が多くなっている中で、こういう映画がスクリーンにかかることにも意味があると思います。

これから映画を観る方へメッセージをお願いします。

この映画には、いわゆる才能のある人はあまり出てきません。でも才能がなくても、才能がないことに気付いて、自分に何ができるかを考えると、新しい道が開けてくる気がするんです。等身大の自分を知ることが大切だと思います。

ストーリー

巨匠マンガ家のアシスタントを長年務める42歳の土屋輝一。マンガ家デビューした後輩や、別居中の人気声優の妻にモヤモヤし、一緒に暮らす高校受験を控えた娘ともなぜか気持ちがすれ違ってばかり。17年続いた連載が終了するタイミングで、あるマンガ企画が舞い込む。一緒に臨むのは、仕事への熱量不足を自覚する29歳編集者・潮田ユキとマンガ家を志す猪突猛進な40歳新人アシスタントの山田ぽてと。踏み出したその先に、彼が見出す未来とは…。

©2026「見上げてごらん」製作委員会

作品概要

映画『見上げてごらん』
10月30日(金)から岡山メルパ他全国順次ロードショー
■監督:森本晶一 & 佐藤快磨
■原案・脚本:森本晶一
■出演:森田剛 森川葵 川上友里 / 阿部寛 松本まりか 武田鉄矢
■製作:「見上げてごらん」製作委員会
■配給:ギャガ

PROFILE

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