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岡山芸術創造劇場 ハレノワ ~カウントダウン♪ 千日前から

深~い! 新劇場「岡山芸術創造劇場」と千日前の誕生物語vol.20 【PR】

変わる街をウォッチング。岡山芸術創造劇場 ハレノワ ~カウントダウン♪ 千日前から

  • 情報掲載日:2023.07.13
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

プレオープンを迎えた「ハレノワ」のお膝元、表町3丁目商店街。周辺の新旧の住民をつなぐ「場」と「座」を、「おかんアート」の魅力発信とともにつくるプロジェクト!

2023年6月4日、表町商店街の南端・千日前で『岡山芸術創造劇場 ハレノワ』がプレオープン!
この日は記念式典と、大劇場でダンスパフォーマンスなどの記念公演が開かれ、お祝いムードに包まれました。

さらに7月は、『ハレノワ』のトライアル事業で、市民公募プログラムの伝統芸能やダンスの公演が開催されます。9月1日のグランドオープンに先駆けて、大・中・小とそろう3つの劇場で鑑賞できるチャンスが到来です!

▲『ハレノワ』の記念式典とともに記念公演も開かれ、岡山にゆかりのあるアーティストの平井優子さんと花柳大日翠さん、ハレノワダンサーズ、「吹奏楽団 晴吹」が出演。構成・演出は北村成美さん

そしてこの劇場の誕生とともに、表町商店街周辺はマンションの建設も増え、「地元をもっと盛り上げよう!」と商店街を中心にした数々のイベントが行われています。

今回はそんな活動のひとつ。2021年末から「おかんアート」で街を元気にしようと、この商店街で生まれ育った女性3人組で展開している「ばとざプロジェクト」をご紹介しましょう。

▲大雲寺の「日限の縁日」にて。中央が「ばとざプロジェクト」の南さん、向かって右隣が蓑さん。左隣は、蓑さんの姉で当日のお手伝いに来ていた花房順子さん。9月23日の「日限の縁日」でも同様のイベントを開催予定

「もともとの住人と、移住してきた人との交流の場をつくりたい」。

そんな想いをひとつにする3人とも、苗字が「M」で始まり、両親が表町商店街の南エリア(表町3丁目)で店を営んできたという共通点が…!

発起人の南順子さんの実家は以前、千日前にあり、かき氷のミルクセーキが評判だった『福福饅頭』(その味は兄夫婦がJR岡山駅西口付近の伊福町で営む『ぷくぷく氷』で継承)。

メンバーの三村佳代子さんの実家は以前、千日前の隣・西大寺町にあった、おはぎやうどん、丼が自慢の『力餅』。そして蓑博子さんの実家は、西大寺町のさらに隣にある新西大寺町の老舗手芸店『毛糸と手芸の店タナベ』です。

かつて、千日前が映画街として賑わっていた頃から、その変遷を見てきた彼女たちにとって、故郷である商店街への想いは格別です。

「『ハレノワ』は特別に大きい規模なので、もちろん期待感はありますが、本当に人の流れが復活できるのかという不安や、やはり地元ががんばらないと、という想いは(商店街の)みんな持っていると思います。『ばとざプロジェクト』では、3人それぞれの得意分野を活かして企画していきたいですね」と南さん。

▲この日のワークショップは新聞紙のエコバッグや、折り紙で八角箱や三羽鶴などを制作。「知人が卵を入れてくれた新聞紙のバッグが気に入り、自分で分解して作り方を研究しました。好きな記事や写真などが見えるよう、折り方を工夫してみて」と、おかんアーティストの佐藤正美さん(左)

その活動の場は、『ハレノワ』が誕生したばかりの、この表町3丁目界隈。アートイベントや街歩きなどで街の魅力を紹介し、ともに発見したり交流したりできる、ゆるやかな場を提供しています。そこで、人と人をつなぐ大切なアイテムとなっているのが、昭和生まれの「おかんアート」。

たとえば、毛糸で編んだドレスのキューピー人形やアクリルたわし、牛乳パックの箱やイス、新聞・チラシで作るくず入れやバッグ、たばこの空き箱を折り重ねた傘、シジミの貝殻のストラップ、軍手のキティちゃん人形、ビーズや折り紙の小物など。家の中にひとつはあるような、役立つとは言いきれないけど、手作りの素朴な温もりが魅力の作品たち。

手芸キットをアレンジしたり、人からもらったのものを真似したり、不用品を再利用したり…。センスの良し悪しは気にせず、ただ作りたいから作る。作りすぎたら周囲に配る。そんなお母さんたちの楽しみから広がった庶民派アートが、今や若者の間でも人気が出始めていることに着目したのだとか。

▲「おかんアート」にまつわる、表町3丁目の見どころを紹介したスタンプラリーの台紙。ひとつひとつのスタンプは、南さん自ら消しゴムを掘って作った力作!

2023年の4月には、『ハレノワ』の近所の大雲寺で毎月23日に開かれる「日限の縁日」(vol.18参照)を拠点に、「おかんアート」を作るワークショップと、周辺を散策して「おかんアート」を見つけるスタンプラリーを開催。

楽しみながら「おかんアート」や街の魅力を再発見できる仕掛けで、飛び入り参加OKの無料企画ということもあり、参拝者も気軽に立ち寄っていました。

▲隣の畳店とともに歴史を感じさせる佇まいの「垣内糸店」には、「おかんアート」がいっぱい! 写真下中央の人形は、帽子部分にロール紙を入れることができるトイレットペーパー人形「ロールちゃん」

スタンプポイントのひとつとなった『毛糸と手芸の店タナベ』は、1900(明治33)年創業で123年の歴史を誇ります。3代目店主の田辺光男さんはなんと、94歳にして現役。娘である蓑さんたち姉妹のサポートもあり、妻の久子さん(86歳)とともに毎日店に出ているとか。

実はここ、「おかんアート」の宝庫! そもそも、久子さんの編んだトイレットペーパー人形の憎めない愛らしさに南さんが魅了されたことが、この活動につながったといいます。

▲『毛糸と手芸の店タナベ』で仲良く店に出ている田辺夫妻。「今は健康のためにしょーります!(笑)」。妻の久子さんは店にいる時も編み物をしていることが多く、帽子などの作品を販売している。手編みのアクリルたわしや人形など、「おかんアート」もいろいろ制作

「この辺は住むには便利がいいので、マンションが次々できて、すぐ完売になるんですよ。『ハレノワ』もできたし、数年したら人通りが増えるんじゃないかな」と、明るい展望を抱く光男さん。

「僕はここで生まれ育って、江田島の海軍兵学校に行って終戦になってから戻ってきた時、一面が空襲で焼野原になっていたんです。店を建て替えて、商売は一からやり直し! 創業当初は呉服店でしたが、2代目の親父の時に毛糸と呉服の店となり、僕の代で手芸用品全般を扱うようになった。継いでからちょうど60年になります」。

「最初の頃は売れて売れてしょうがなかった。特に3人の娘が生まれた頃(昭和35~45年前後)まではほんまに忙しかったわな。今は売れんで売れんでしょうがない(笑)。ここは卸業『田辺糸店』も兼ねていたから生き残れたんです」。

「僕が新西大寺町の町内会長だった頃、活気を戻そうと12年くらい前に提案したのが、今も続く『木曜市』。毎週木曜は町内商店街のアーケードの下に格安で出店できるから、珍しい店もあったりして一時は人通りが増えたんですけどね」。

昨年からは、春と秋に表町商店街全体の約40店舗が専門知識を生かして無料(材料のみ実費)のワークショップを提供する「まちゼミ表町」(岡山市表町商店街連盟主催)に参加。久子さんが講師として「おかんアート」作りを指導しています。

▲モーニングやランチが楽しめる喫茶店「この葉」。おばあちゃん人形が迎えてくれる窓越しに、小さな「おかんアート」が飾られている。「日限の縁日」の日は、特別に用意するちらし寿司も販売

▲西大寺町の文房具店『デスクサイド スナミ』前のスタンプポイント。店主&スタッフが長年制作してきた、商店街のアーケードを彩る季節感漂う作品も写真リストで紹介

そして三村さんは、『力餅』があった店舗で『酒のみむら』を夫婦で営み、原料や製法にこだわった、ちょっと珍しい酒類や食品を販売しています。こちらもスタンプポイントとして、店先に押してもらうスタンプを用意。夫の勝則さんは利き酒師でジャズのトランぺッターとしても活躍中で、「まちゼミ」で日本酒講座も開いています。

▲『酒のみむら』の三村さん。「毎年仕込むオリジナル日本酒『温羅』や選りすぐりの酒は、1杯300円から試飲も可能です」。音楽の街・西大寺町でミュージシャンが営む店にふさわしい、演奏シーンの絵が印象的だ

表町商店街の南部は楽器店やジャズハウスなどが多く、音楽の街としての顔も。このところ、アートや音楽がらみのイベントが続々と開かれています。

『ハレノワ』との相乗効果で街の魅力が引き出せれば、地域活性化の希望の光になるかもしれません。

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