暮らしのいいものをセレクトしている『ハレマチ特区365』と『オセラ』が、岡山をはじめとする瀬戸内の企業・団体・職人・作家など「ひと」に着目し、そこから生まれる魅力あふれる商品とその思いをご紹介します。
「作り手」たちの意外な視点や温かい思いを知ると見えてくる、商品の魅力、新しい世界。
「備前焼の『無印良品』のような存在になりたい。そう思って結成したアノニマス(匿名)デザインのブランドです」。そう『Quiet House』のことを、わかりやすく紹介してくれたのは代表の小橋順明さん。備前焼というと、千年の歴史を誇る日本六古窯のひとつ。釉薬をいっさい使用せず、絵付けもしない。素朴で重厚、焼成時の窯の中の状態によって焼き物の色や表面が変化するため、同じものがふたつとない焼き物だ。「観賞用や特別な日のために使うイメージの備前焼とは違う、もっと使い手に寄り添い、土のぬくもりや誠実さをきちんと伝えられる器を作りたい」と2015年、小橋さんは信頼する岡山在住の作家に声をかけた。
愛くるしいネコをかたどった作品が人気を博す山村富貴子さん。空や雲などをモチーフにしたほっこりするような器が特徴の植山黄世さん。白と黒の釉薬を用い日々の料理に合うよう柔らかな雰囲気の器を制作する藤原加寿子さんの三名。「豊かな暮らしを表現できるテーブルウエアは、ひとりよがりではなく、複数人で作るもの」というイメージがあったからだ。誰にでも寄り添えるものになるようにと、作品は「まっすぐな器」や「まるい器」、「オーバルの器」といったシンプルな形がメイン。なかには、20年以上のキャリアを持つ陶工ならではの精巧な急須や醤油さしといったアイテムもそろう。
デザインがシンプルであるからこそ、藁や炭を巧みに用いつつ、土と炎が生み出す焼き色にこだわる。土作りから窯詰め、窯焚きまで伝統的な技法を守り、登り窯でじっくりと焼きあげる。そうやって出来あがった器は、規格に沿った美しい形でありながら、それぞれ違った趣を持つ。どれにしようか選ぶ愉しみがよりいっそう広がりそうだ。
窯焚き七回目となる今年、窯から出した器をサンドペーパーでする、水洗いをするといった玄人の領域である仕上げ作業のお手伝いを一般の方から募集。急な呼びかけにもかかわらず六名が集まったという。「作家とユーザーが別々のところにいるのではなくて、ひとつの輪のようになって共に作り上げていくような場にしたい」。「みんなのための備前焼」になる日は近い。
焼いて終わりではなく、すって洗ってようやく完成する。
『Quiet House』
(右から)植山黄世、小橋順明、山村富貴子、藤原加寿子
2015年、日々の暮らしに合うシンプルな備前焼を提案するユニット『Quiet House(クワイエット ハウス)』を設立。それぞれの作家活動のかたわら、月に1週間程度集まり、『Quiet House』の活動を行なっている。毎週土・日曜にアトリエ兼ギャラリーがオープン。
Information
Quiet House
- 住所
- 備前市香登本1147
- e-メール
- info@bizenware.biz
- HP
- https://quiet-house.info/
ハレマチ特区365
晴れの国おかやまに息づく、ものづくりのスピリットを体感・体験できる空間。4月に『イオンモール岡山』2階に移転リニューアルした。知られざる逸品から、味わい深いスウィーツやフード、心奪われるかわいいものまで「岡山って楽しい!おいしい!かわいい!」を一堂に集めている。
Information
ハレマチ特区365 by タウン情報おかやま・オセラ
- 住所
- 岡山市北区下石井1-2-1 イオンモール岡山2階
- 電話番号
- 086-206-7204
- 営業時間
- 10:00~21:00
- 休み
- なし
- 駐車場
- 約2500台(有料)
- HP
- https://hare365.com/
<消費税率の変更にともなう表記価格についてのご注意>
※掲載の情報は、掲載開始(取材・原稿作成)時点のものです。状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、利用前には必ずご確認ください