暮らしのいいものをセレクトしている『ハレマチ特区365』と『オセラ』が、岡山をはじめとする瀬戸内の企業・団体・職人・作家など「ひと」に着目し、そこから生まれる魅力あふれる商品とその思いをご紹介します。
「作り手」たちの意外な視点や温かい思いを知ると見えてくる、商品の魅力、新しい世界。
青系色だけで20以上の名がある、豊かな色彩の国・日本。そんな日本の色に魅せられているのが、樹脂作家・山磨由佳さんだ。子育てがひと区切りした頃、「ドライフラワーを樹脂に閉じ込めたアクセサリーがはやり始めたらしいよ」という何気ない夫のひと言から、自宅で製作活動をスタート。好きな青色のアクセサリーが少なかったのも動機になった。
「誰に教わることもなく、ほぼ独学。花びらの薄さや形に合わせて加工を変えることも失敗から学びました。大変ですけど、考えて作る愉しさを実感しています」と山磨さんはほほ笑む。さまざまな花が持つ形や色、それに合う多種類の着色料を掛け合わせたシリーズ「彩流~irodoru~」が軌道にのった頃、山磨さんが新たに出合ったのが、高梁市のベンガラだ。
ベンガラの深い赤、そしてそれを樹脂と混ぜ合わせて出来上がったアクセサリーに魅了された山磨さんは、よき協力者でありアドバイザーの夫と週末ごとに、日本古来の素材を学ぶべく岡山県内を走りまわるように。「西江邸(国登録有形文化財)の蔵に保存されている希少なローハベンガラとの出合いは印象的でした。江戸時代から陶磁器などに使用されていた上絵付け用の天然赤色顔料で、ベンガラより茶色が強い赤色。これぞまさに『ジャパンレッド』だと、西江邸へ直談判し、樹脂の業界では唯一取扱いを許可してもらえました」。
岡山ならではの素材という観点から、津山市の横野和紙、新見市の神代和紙といった手すき和紙を使ったアクセサリー作りにも着手。ちぎったり丸めたりした和紙と樹脂を掛け合わせた面白い作品だ。「横野和紙の上田さんや、神代和紙保存会のみなさんに、手すき和紙を使った作品を見せたらすごく喜んでくれたんです。現場に赴き、生産者と対話することで、素材だけでなく、素材の向こうにある文化や人まで大切にしたい。さらにはその文化を受け継いでいきたいと思うようになりました」と語る山磨さん。
最近では、自分の色を出すべく、藍染めや鈴鹿墨を用いて色を出すことにも挑戦。美しい色を求めてやまない山磨さんだから生み出せる色のアクセサリーに、これからも期待したい。
「違う分野の素材を取り込むことに抵抗がないのは、独学の強みかも」と笑う山磨さん。花をドライフラワーにするノウハウや樹脂の取扱いなど、夫と協力して蓄積していったという。
『Orion no mitsuboshi ―オリオンの三ツ星―』
樹脂作家 山磨由佳
やまとぎゆか 1974年生まれ、岡山市出身
2015年から樹脂にドライフラワーを閉じ込めたアクセサリー作りをスタート。2016年よりベンガラ、2019年からは手すき和紙といった伝統素材を樹脂に取り入れた作品も手がける。今年1月にはアトリエ&ショップをオープン。
Information
Orion no mitsuboshi ―オリオンの三ツ星―
- 住所
- 岡山市北区丸の内1-1-15 禁酒會舘3階 4号室
- 電話番号
- 080-8230-7341
- HP
- https://orionnomitsuboshi.shopinfo.jp/
ハレマチ特区365
晴れの国おかやまに息づく、ものづくりのスピリットを体感・体験できる空間。4月に『イオンモール岡山』2階に移転リニューアルした。知られざる逸品から、味わい深いスウィーツやフード、心奪われるかわいいものまで「岡山って楽しい!おいしい!かわいい!」を一堂に集めている。
Information
ハレマチ特区365 by タウン情報おかやま・オセラ
- 住所
- 岡山市北区下石井1-2-1 イオンモール岡山2階
- 電話番号
- 086-206-7204
- 営業時間
- 10:00~21:00
- 休み
- なし
- 駐車場
- 約2500台(有料)
- HP
- https://hare365.com/
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