暮らしのいいものをセレクトしている『ハレマチ特区365』と『オセラ』が、岡山をはじめとする瀬戸内の企業・団体・職人・作家など「ひと」に着目し、そこから生まれる魅力あふれる商品とその思いをご紹介します。
「作り手」たちの意外な視点や温かい思いを知ると見えてくる、商品の魅力、新しい世界。
「もしもミツバチが地球上からいなくなると、四年後に人類は消えてしまう。アインシュタイン博士はこんな言葉を残しているんです」。衝撃的な言葉から、笠原さんのミツバチの話は始まった。
養蜂場に勤めた後、はちみつの製造・販売を行なっていた父親の姿を見て育った笠原さん。四年前に帰岡して、家業を手伝い始めた。ミツバチに関する書物を読んだり映画を観たりして勉強するうちに、ミツバチが果たしている役割の大きさを知り、驚いたという。「地球上の食物となる作物種のうち、七割はミツバチが受粉を媒介しているんです。ミツバチがいなくなると受粉ができなくなり、植物が減り、森や山がやせていきます。多くの動物がすめなくなります。川や海も山の栄養を取り込めないので、魚などの生物も消えるでしょう」。それほど重要なミツバチが、世界中で減っているというから、さらに驚かされる。「蜜源となる豊かな自然環境が破壊されていること、さらに農薬も原因のひとつと言われています」。
養蜂場を訪ね、ミツバチの生態にふれていくなかで、ミツバチが愛おしくなっていったという笠原さん。同時に、自然環境保護や食にも関心を持ち、それらのことを多くの人に知ってもらいたいと考え始めた。「きっかけとして、はちみつはぴったり。身近にあって、おいしい。はちみつを作り、そのおいしさを伝えていくことが、まずは僕にできること」と、現在、三〇種ほどのはちみつを製造・販売する。「れんげ」や「りんご」といったシンプルなものから、「チョコレート」や「ハニー&ナッツ」などはちみつの新たな味わい方を発見できるものまで幅広くラインアップ。試食会を積極的に開き、味わいの違いや食べ方の提案を直接伝えるようにしているのだそう。「塗ったりかけたりと、脇役になることが多いはちみつですが、主役のスウィーツとして愉しんでほしいですね。たとえば紅茶のお供に、クッキーではなくはちみつをひとすくい。はちみつが持つ風味を堪能できると思います」。
ほかにも、はちみつの美しさに着目して「はちみつアート展」を開催したり、神社で養蜂して、おかげのあるはちみつをプロデュースしたりと、柔軟な発想ではちみつの魅力を発信し続ける笠原さん。その根底にあるのは、ミツバチへの敬意と自然環境への思いなのだ。
有限会社笠原養蜂場 はちみつディレクター
笠原義久
かさはらよしひさ/1973年大阪府生まれ、倉敷市在住
半導体エンジニアから「はちみつ屋」に転身。はちみつの製造・販売を通じ、ミツバチの魅力とはちみつのおいしさを多方面に発信している。新商品「HONEY LETTER」は、奥深いはちみつの魅力を手紙のように届けたい、という思いを込めてネーミング。
Information
有限会社笠原養蜂場
- 住所
- 倉敷市大内295-22
- 電話番号
- 086-425-8575
- HP
- https://www.kasa82.com/
https://www.beedirection.com/
ハレマチ特区365
『イオンモール岡山』の5階にある、晴れの国おかやまに息づく、ものづくりのスピリットを体感・体験できる空間。岡山県内を中心に、せとうちエリアの作家や職人、企業による雑貨、ウェア、ストックフード&器など、1000種類以上のアイテムをラインナップ。作家によるワークショップをほぼ毎日行なうスペースも常設。
Information
ハレマチ特区365
- 住所
- 岡山市北区下石井1-2-1 イオンモール岡山5階
- 電話番号
- 086-206-7204
- 営業時間
- 10:00~21:00
- 休み
- なし
- 駐車場
- 約2500台(有料)
- HP
- https://hare365.com/