Mission_96/小骨はあるけど旨みは極上。岡山の秘宝・ヒラの魅力と、岡山の魚食文化を調査せよ!
全国の漁師が選ぶ「プライドフィッシュ」に認定! 岡山のご当地魚「ヒラ」とは?
ごきげんよう。『まかせてちょ~査団スペシャル』の団長Mでございます。
いきなりですが、皆さんは普段どんな魚を食べていますか?
農林水産省の統計によると、魚介類の中でもサケやマグロ、ブリなどが全国的に消費量が多く、エビやイカもたくさん食べられているとか。
岡山ならサワラやママカリを食べる機会も結構ありますよね。ご当地の新鮮な魚介を食べる時、「岡山に生まれてよかったなあ~」としみじみ感じます。
瀬戸内海に面した岡山県は、さまざまな地魚が獲れる土地柄です。その中でも、知る人ぞ知る「ヒラ」という魚をご存じでしょうか?
写真は団長Mが岡山市内のスーパー『わたなべ生鮮館 泉田店』で見つけたヒラの切り身。お店では、たいてい皮に細かい切れ目が入った状態で売られています。
ヒラを食べたことがなくても、この独特なビジュアルには見覚えがあるかも?
ヒラは主に瀬戸内海や有明海で獲れる魚で、その味はとても美味しいことで知られています。その割に全国的な知名度は低く、他県では見たことない、食べたことない人がほとんどだとか。
それもそのはず、ヒラはほぼ岡山県でしか食べられていない魚なんだそうです!
その理由は、ヒラ特有の小骨の多さ。食べにくいことから食用魚として全国に出回っていないものの、岡山県では「骨切り」という調理法でヒラを味わう文化が根付いているので、昔から食されているのだそうですよ。
「岡山の秘宝」と呼ばれていながら、地元でも地味な存在のヒラ。せっかく岡山にいるのに食べないなんてもったいない気がしますよね?
そこで今回は、ヒラをはじめ岡山の地魚に詳しい『岡山水産物流通促進協議会(通称・おかとと)』の事務局を訪ねて、ヒラの魅力をちょ~査したいと思います!
さっそく『おかとと』の事務局に伺うと、水揚げされた大きなヒラ…ではなく、超リアルなヒラのクッションを発見! 今回お話を聞く事務局の担当・中島さんに抱えてもらい、より本物っぽく「釣ったぞー!」感を演出してみました。
「ヒラは、日本各地の漁師が本当に美味しい魚を選ぶ全漁連のプロジェクト、『プライドフィッシュ』にも選定されています。味のよさは、魚好きや食通の方からもお墨付きなんですよ」。
小骨が多くて食べにくい? でも「骨切り」すれば美味しく味わえる。
ヒラはその名の通り平べったく、シャンパンゴールドに輝く魚体が特徴。俗にいう光り物に分類されるニシン科の魚で、水揚げされたばかりの姿はキラキラと輝きを放っています。
同じ仲間のニシンやママカリに比べて全長は30~60cmと大きく、大物になると70cm近いものもいるのだとか。
身がしっかり取れるサイズで、その味は江戸時代からお殿様の献上品として扱われていたほど。それなのに岡山でしか食用魚にされていないのは、やっぱり小骨があるからですか?
「和食によく使われるハモと同じく、ヒラも皮の下にたくさんの小骨があるんです。そのままだとチクチクして非常に食べにくいのですが、『骨切り』をすれば格段に味わいやすくなります」。
「骨切り」とは、魚の取りきれない小骨を断ち切っていく下処理のこと。食べても小骨が気にならない程度に、包丁で身と骨に細かい切れ目を入れていきます。皮の切れ目はちゃんと骨切りがされている証なんですね。
団長Mが『わたなべ生鮮館 泉田店』で購入したヒラは、写真の通り1~2mmの均等な細さで丁寧に骨切りされていました。まさにプロの技!
お店で買えるヒラはたいてい下処理が終わっている状態で、このひと手間のおかげで面倒なくヒラが調理できます。団長Mは子どもの頃からヒラを食べていて、季節ごとにヒラの煮付けが食卓に上がっていましたよ。
1年を通じて食べられるというヒラですが、やっぱり旬の時期が一番美味しいのですか?
「春から夏にかけての3月~5月頃が漁の最盛期になります。ただ、ヒラの美味しさって季節ごとに違いがあるんですよ」。
春から夏のヒラは深い旨みとコクがあり、秋にかけて徐々に脂がノッてくるのだそう。冬のヒラは淡泊な旨みながら脂のノリは最高潮。決してしつこくなく、柔らかい身がこれまた美味。
要はいつ食べても絶品、ってことですね!
煮付けだけじゃもったいない! 何でもいけちゃう、おすすめのヒラ料理を紹介。
四季折々の味わいを楽しめるヒラ、「ヒラはどんな調理法や味付けにも合うんです」と中島さん。
団長Mの家では、「なんだかんだ言ってヒラは煮るのが最強!」と代々語り継がれていたため、煮付け以外でヒラを食べたことがありません。
中島さん、ヒラのポテンシャルを引き出すヒラ料理を教えてください!
「新鮮なヒラはお刺身にすると絶品です。これは岡山だけで楽しめる最高の食べ方ですね」。
岡山市北区奉還町にある『福寿司』では、通常メニューでヒラのお刺身を提供しています。熟練の職人による薄造りは、「テッサ(フグ刺し)」のように見た目も美しくて上品。
生のまま味わうなら、カルパッチョやヒラの「たたき」もおすすめだそう。中島さんがいち推しするのは、バジルソースで和える洋風な味付け。ぜひやってみたい!
「洋風といえば、魚のコクが強いのでアヒージョやパスタも合いますよ」。オリーブオイルとも相性がよさそう…!
「酢でしめたヒラは、岡山名物の『ばら寿司』の具材にもぴったりです」。
ご飯ものにも応用できるんですね!
「極めつけは、ヒラの骨からダシをとって白身と一緒に炊き上げる『ヒラごはん』。これはもう、ぜひ味わってほしいです!」
さらに脂のコクが引き立つ焼き魚、白身がホクホクして香ばしい竜田揚げ、小骨を気にせず味わえるつみれなどなど、どんな調理法や料理ジャンルもOKなのがヒラの凄いところ。これはいろいろ試してみたくなりますね!
『おかとと』のホームページでは、スーパー『わたなべ生鮮館』各店、お刺身などを提供している『福寿司』などをはじめ、ヒラを買える店やヒラの料理を味わえる飲食店を紹介しています。
仕入れによっては取り扱いがない場合もありますが、見かけたらぜひチェックしてみましょう。
岡山の美味しい魚を食べて、地元の魚食文化を盛り上げよう!
岡山県は、昔から瀬戸内海の白身魚を美味しく食べる食文化に長けていました。
今は流通の発達によって日本中、世界中の魚を買ったり食べたりできるようになり、食文化はずいぶんと多様化しています。その一方で、日本の各地域に伝わる独自の魚食文化は徐々に薄れているのだとか。
今回お話を聞いた中島さんが運営する『おかとと(岡山水産物流通促進協議会)』では、岡山の地魚に関する情報を発信し、岡山のすばらしい魚食文化を広げるためのさまざまな活動を行っています。
『おかとと』が「推し魚」としてPRするのは、チヌ、ヒラ、スズキ、ハモの4種。
猫も間違えて飛びつきそうなくらいのリアルさを追求したPR用のクッションは、グッズとして販売を検討中。オリジナルTシャツ、パンフレットもPR活動には欠かせないアイテムです。
「どの魚も消費が少なくなりつつあるけれど、岡山ではなじみのある自慢の魚ばかりです」。
そのひとつとして、ヒラのPRに力を入れているんですね。
「もっと気軽にヒラを食べてほしいと考え、新たな加工品の開発にも取り組んでいます」。
練り物製品の製造販売を行う『長谷井商店』が丁寧に作り上げた自信作、その名も『ひらてん』。ヒラの身をたっぷり練り込んだじゃこ天は、小骨ごとすりつぶしているので旨みがギュッと詰まっています。一度食べるとクセになりそう!
現在はキャンペーンを中心に店頭販売されているほか、通販でのお取り寄せも可能です。
団長Mが注目したのは、「ひら天」の商品名になっている漢字。
ご覧のとおり、魚へんに岡山と書いて「ヒラ」と読むのですがこれは常用漢字ではなく、ヒラを普及させるために作った創作文字。
『長谷井商店』が「ひらじゃこ天」の販促の一環として作成し、商標登録までとったロゴマークなんだそうです。岡山県民にとってはめちゃくちゃ覚えやすい!
調べてみると、ヒラを高級魚として食べる中国では「曹白魚」と書くのだそうですよ。読みは二文字で漢字は三文字、なかなかの難読っぷりです。
PR活動の一環として、『岡山南高校』の商業クラブとのコラボプロジェクトも行いました。『天満屋』での販促活動や、ヒラ天、ヒラカツバーガーといったヒラグルメの開発にもチャレンジしています。その活動はテレビや新聞などのメディアにも取り上げられるほど。
『おかとと』が目指すのは、地元の美味しい魚を地元の人に知ってもらい、味わってもらうことで、岡山の豊かな魚食文化を伝えていくことです。
魚は種類が豊富で、刺身や焼魚、煮物など幅広い調理法で美味しく食べられるのが魅力です。
それなのに、スーパーや魚屋でいつも同じ魚を選んでしまい、魚料理がワンパターンになりがち…なんてことありません? 団長Mも同じで、お寿司屋さんでも自分の好きなネタばっかりリピートしちゃうんですよね。
「大将のオススメをくださる?」「一番イキがいいのはどれかしら?」なんてやりとりを交わしながら、旬の地魚を選んでみるのもアリかも。魚を味わう楽しさって、さまざまな魚を知ることから始まるのかもしれませんね。
岡山だけで味わえる貴重な魚・ヒラ、お店や料理店で見かけたらぜひ食べてみてください!
Information
Information
おかとと(岡山水産物流通促進協議会)
- 住所
- 岡山市北区二日市町232(株式会社長谷井商店内)
- 電話番号
- 086-225-0691
- 問合せ時間
- 9:00~17:00
- 休み
- 水曜、日曜
- HP
- https://okatoto.com/
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