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編集者にまかせてちょ~査団スペシャル

《岡山市/吉田書店》地域密着の小さな書店は創業146年。永く続く出版界のパイオニアだった!?

気になる岡山の街ネタ調べます!まかせてちょ~査団スペシャル

  • 情報掲載日:2021.07.24
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

Mission_82/岡山から全国展開し、あの『小学館』誕生のきっかけに!? 「本で人を幸せにする」書店の、ものすごいエピソードを調査せよ!

わずか3坪。住宅地にたたずむ街の本屋さん『吉田書店』を訪問。

こんにちは。『まかせてちょ~査団』団長のMです。

旅や遠出がちょっぴり特別なものになってしまった昨今、近場のお店や地元のスポットに足を運ぶ機会が増えた、という人も多いのではないでしょうか?

初めて入った近所のごはん屋さんの魅力に気づいたり、生活エリアの何気ない風景に心惹かれたりと、コロナ禍で外出の楽しみ方も変わってきましたね。

そんな中で、団長Mが今まで以上に好きになった場所があります。それは街中にある本屋さん。

本がたくさん置かれている書店や古本屋、図書館は、読書好きにとって心のオアシスと呼べる存在です。

特に街の書店はお店ごとに特徴があり、生活の一部として気軽に「お出かけ欲」、「買い物欲」、そしてお籠もりを楽しむための「読書欲」の三大欲求をすべて満たせるのが魅力。

たとえ出かけられなくても、本との出合いを通じて私達の世界を広げてくれる、まるで「魔法の箱」みたいな場所だと感じています。

元々本屋さんに行くのが大好きな団長Mですが、その価値に改めて気づかされました。

もはや読書以上に本屋さんの雰囲気が好きになり、街中でそれらしき建物を見つけるとつい気になって覗かずにはいられません。先日も、ふと見かけたオシャレな建物が実は本屋さんだったと気づきました。今回は、そのお店をたずねてみたいと思います!

©Kenji GOTO

こちらは岡山市北区伊島町にある『研文館 吉田書店』。

ピンクベージュのモダンな外観は、一見控えめな印象ながら不思議と目を引きます。住宅街の一角にありますが、『岡山県生涯学習センター』の正門前という分かりやすい立地です。

中に入ると、こぢんまりとした店内には天井まで本がぎっしり!

文芸から実用書、雑誌、絵本、漫画など、本のジャンルも実に多彩です。いろいろな本が手の届く距離感に収まり、まるで書斎のように落ち着いた雰囲気。ゆったりと本選びに集中できますね。

迎えてくれたのは、『研文館 吉田書店』の常務取締役を務める吉田暁生さんと、奥様の吉田由佳さん。まずは、店舗を設計した由佳さんがお店を案内してくれました。

「お店は広さ約3坪とコンパクトですが、新刊の雑誌や書籍のほか、教科書や自社出版の本も販売しています。建物は店舗とオフィスが一体になっていて、お店はどなたでも気軽にお越しいただけますよ」。

小・中学校の教科書も販売。明治時代から続いてきた歴史ある書店。

奥の棚には、岡山市の小・中学校で使う教科書や辞書が並んでいました。教科書は扱っている販売店が限られているそうで、直接買いたい時にはとても便利ですね。

「『吉田書店』は『外商事業』が中心の書店です。岡山市の小・中学校の教科書無償配布と店頭販売、高校の教科書・問題集の出張販売と店頭注文受付を行っています。また、学校だけではなく官公庁や民間の企業、商店にもご希望の本を納品しています。エリア内なら、自宅や勤め先への無料配達も可能ですよ」。

なるほど~。店舗販売だけではなく、外商のフットワークを生かした地域密着型の書店なのですね!

聞くところによると、『吉田書店』はかなり歴史が古い書店だとか。そういえば、レジ横で気になる写真を発見しました。

こちらは昔の『吉田書店』の店舗写真。

右から左へ書かれた「現代長篇小説全集」の看板から察するに、おそらく戦前であることは間違いなさそうです。店頭にたくさんの人が集まっている様子が写っていますね。

「創業したのは1875年(明治8年)です。かれこれ150年近くは書店を営んでいることになりますね」。

『吉田書店』は代々続く同族経営の会社で、現在の代表取締役を務める吉田暁史さんで6代目。6代も続く老舗書店が岡山にあったとは驚きました!

こちらも懐かしい『吉田書店』の姿。店頭で本をよみふけっているのは学生さんでしょうか?

いつの時代も本は見識を深め、人を夢中にさせるもの。そして街に本屋さんがあるおかげで、生活がより豊かで楽しいものになる。そんな書店の魅力が伝わってくるような写真です。

岡山の地で長く続いてきた『吉田書店』ですが、約100年前に出版業で全国展開をした歴史があり、実は泣く子も黙る(?)ものすごいエピソードを持っています。

何と、あの日本を代表する出版社『小学館』の創業に『吉田書店』が深く関わっているそう。それって一体どういうこと? これはじっくり腰を据えて聞かねばなりません!

あの『小学館』と「小学○年生」シリーズ誕生のルーツとは?

ここからは代表取締役の吉田暁史さんと、取締役会長の吉田達史さんも加わり、長い『吉田書店』の歴史を振り返っていただきました。

初代の吉田朔七(さくしち)氏が創業した『吉田書房(現・研文館 吉田書店)』は、本業の銀細工とともに朔七(さくしち)の家にあった本を並べて売ったことが第一歩となり、書店・出版社として事業を拡大していきました。

当時は本の流通が少なく貴重だった時代ですから、家に売るほどの本があったなんて、朔七さん自身がかなりの読書家であり勉強家だったのでしょうね。

※写真は「創業100年企業の経営理念2」(入野和生著・吉備人出版)より

1911年(明治44年)には、岡山県立高松農学校の書記代理をしていた相賀祥宏(おうが しょうこう)氏が、若干15歳で住み込み店員として入社します。

この人物こそが、後の『小学館』設立につながる重要なキーパーソンとなるのです。

「相賀氏は若い頃から、聡明でビジネスセンスに長けた人物だったようですね。大正時代に入ると『吉田書店』が全国に販路を広げて、出版に力を入れるべく『共同出版社』を立ち上げましたが、相賀氏は17歳で東京出張所を任されるほどの存在でした」(吉田達史会長)

若干17歳で、2代目の吉田岩次郎氏から東京進出を任されるというエリートっぷりを発揮し、驚異のスピード出世を果たした相賀氏。編集者のパイオニアとしても見事な才覚を発揮します。

1922年(大正11年)、相賀氏は小学生向けの学年誌の企画を実現させるために『小学館』を創業しました。

そう、それが日本の小学生のバイブルとして愛されてきた『小学館』の学年別学習雑誌の始まりなんです! 団長Mも「小学○年生」シリーズ、全学年にわたって愛読していましたよ。人気漫画の連載や付録が楽しみで、発売日にゲットしていたのを思い出します。

※写真は「創業100年企業の経営理念2」(入野和生著・吉備人出版)より

最初は『小学五年生』と『小学六年生』を創刊。創業の翌年には関東大震災で事務所と倉庫が焼失しましたが、印刷所に残った『小学六年生』が発行できたのは不幸中の幸いですね。

1925年(大正14年)に『小学館』が学年雑誌の基盤を固める頃まで、『吉田書店』は経営上のパートナーであり、共同経営者として多額の援助も行っていたそうです。

ということは、『吉田書店』の存在がなければ『小学館』もなかったのかも!

吉田達史会長に貴重な書籍を見せていただきました。こちらは昭和初期発行の「小学年鑑」。すべての教科や社会について分かりやすい図解で解説した学習書で、表紙はカラー印刷の凝った装丁でまとめられています。

ページを開くと運動方法や世界地図などの図解、そして「空襲時の心得」なんてページもあり、戦前の軍事教育を加えた、時代を感じさせる内容でした。当時から質の高い出版物をつくり、日本の教育、文化発展に貢献していたのですね。

書店、出版、そして建築の顔を持つ書店。本を通じて人を幸せにする。

『吉田書店』は大正、昭和、平成にかけて、「岡山今昔記」「岡山弁あれこれ」などの地元志向の本も多数出版してきました。お店には郷土のさまざまな文化をまとめた自社出版物のコーナーがありましたよ。

日本の出版業界に多大な功績を残しながらも、岡山に根差した本にも目を向けていたんですね。

「私も本を出しているんですよ」と、由佳さんが1冊の本を紹介してくれました。

「地球はまあるいよ」(イカロス出版)は、ペンネーム「河本ぼあら」として世界一周の記録をまとめた旅日記。世界を一人旅しているなんて、穏やかな雰囲気からは想像つかないほど大胆ですね! 世界中を旅した貴重な体験記、1冊の本にできるなんて素敵すぎます。

「この旅日記を書いて書店さんへ営業したのがきっかけで、私も嫁として吉田家に加わることになりました。本が結んでくれた縁ですね」。

『吉田書店』の企業理念は、「本に関わる全ての人の幸せの為に、真摯に行動し、人間(ひと)として成長し続ける組織を目指す」。本を通じてたくさんの人を喜ばせ、幸せにして、人として成長することを使命として、地域密着の誠実な姿勢を守り続けています。

この写真は岡山市北区表町にあった『吉田書店』の姿。商店街の名物書店として親しまれた後、2017年(平成29年)に今の場所へと移りました。

建物の2階には、建築士としての顔を持つ由佳さんの建築設計事務所兼ブックギャラリー「VOiLA」もあります。こちらでは建築に関する書籍や建築模型材料を販売中です。

営業時間は基本的に書店と同じですが、事前に電話やHPで確認してから行くのがおすすめ。

書店以外に出版、建築と3つの柱を持つなんて、知れば知るほど驚かされます。

『吉田書店』はこれからの100年に向けてまだまだ邁進中。本で人を幸せにしてきた小さな書店の壮大なヒストリー、この文字数じゃぜんぜん語りきれません! 知りたい人はぜひホームページでチェックするか、書店をたずねてみてくださいね。

静かで穏やかな空気が流れるわずか3坪の店内で、本の世界にどっぷりと浸ってみてはいかがですか?

Information

Information
株式会社 研文館 吉田書店
住所
岡山市北区伊島町1-4-3 [MAP]
電話番号
086-236-8880
営業時間
10:00~17:00
休み
土曜、日曜、祝日 ※営業時間外、定休日の対応は事前予約が必要
駐車場
3台
HP
https://yoshida.book-archi.com/

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