Mission_25/岡山を本拠地にする社会人プロレス団体のビッグマッチを目撃せよ!
岡山の話題のスポットや、気になるモノなどを徹底調査! 『タウン情報おかやま』スタッフが実際に現地を訪問して、とっておきの情報をお届けするこの企画。
『タウン情報おかやま』本誌で好評連載中の「まかせてちょ~査団!」が、Webページに進出!よりディープでフレッシュな岡山の街ネタをご紹介します!
皆さんは『OPG』という名前をご存知ですか? 「俺たちプロレス軍団」の略称で、プロレスファンの大人たちによって組織された社会人プロレスの団体です。『OPG』は1988年に京都教育大学の学園祭のイベントとして始まり、2003年より岡山県内での大会をスタート。2007年からは他団体の選手も出場するオールスター戦を開催しています。
選手たちは仕事の合間にトレーニングを積み、プロ用と寸分変わらぬリングで試合をしていますが、「本物のプロレスやプロレスラーは特別な存在。なので、我々がやっているのはあくまでも『プロレスごっこ』です」と強いリスペクトを胸に活動を展開。入場観戦無料で大会を開催しています。毎年恒例のビッグマッチ「OPGオールスターズサミット」が行われると聞きつけた我々取材班は、プロレスが大好きな大人たちによる「本気なプロレスごっこ」の全貌を探るべく、会場である『岡山武道館』へと向かいました。
『岡山武道館』に到着すると、開場前から熱心なファンの方々によって長蛇の列ができていました。いかにもプロレスファンといった方から小さなお子さんまで、老若男女問わずさまざまなお客さんが並んでいましたが、どなたもワクワクを抑えきれない様子です。
開場時間になるとファンの方々は一斉に走りだし、リングサイドの席はあっという間に埋まってしまいました。我々もなんとか席を確保できて、ホッと一安心。試合が始まるまでの間、会場の中を見てまわりました。
場内には、岡山市在住のマスク職人・佐藤嘉彦さんが製作したプロレスマスクの展示ブースや、『OPG』をはじめ、今回出場する団体の物販ブースがありました。佐藤さんが製作したマスクの中には、本物のプロレスラーが実際に試合で使用しているものもあるそうで、そのクオリティの高さに思わず見入ってしまいました。
そうこうしている間に、代表のグレートムタイガー選手がリングに上がりました。普段は高校教師であり、レスリング部の顧問も務めているというムタイガー選手。レスリング全国大会に出場した教え子の生徒さんたちを紹介した後、現役歯科医師でもあるたんじマン選手とともに「WE ARE OPG~俺たちプロレス軍団のテーマ~」を熱唱。場内のボルテージが上がってきたところで第一試合が始まりました。
第一試合は1分ごとに選手が入場し、最後まで残った選手が優勝となる「OPGランブル」という試合形式。個性的な10選手が登場し、共闘あり裏切りありのめまぐるしい攻防に場内は大盛り上がりです。最後はムタイガー選手の教え子、鷲羽THEタイガー選手がファイヤーバードスプラッシュでジャッカル選手を沈め、見事に優勝を果しました。
ドラゴンゲートをはじめ、さまざまなリングで活躍する本物のプロレス選手、”brother”YASSHI選手の登場などのサプライズもあり、ますますヒートアップしてきたところで、第四試合が始まりました。グレートムタイガー選手がOPGの創始者であるアントニオ片山選手とタッグを組み、『松江だんだんプロレス』のミステリコ・ヤマト選手、ALLマイティ井上選手と激突。
ベテラン同士による重厚かつテクニカルな攻防にお客さんは大声援を送ります。小さなお子さんたちの「ムタイガーがんばれ!」という声に応えるようにムタイガー選手はタイガースープレックスなど得意技を繰り出してフォールを迫り、最後は片山選手が伝家の宝刀・卍固めで井上選手からギブアップを奪いました。
前半戦が終わり、一旦休憩に入ったところで、この日「OPGジュニアヘビー選手権試合」に臨む西江悠選手に試合にかける意気込みを伺いました。「相手の山内拓也選手は自分がこの団体に入ってからずっと一緒にジュニアヘビー級で闘ってきた選手です。今回の試合は『これからのジュニアヘビー戦線を引っ張っていくのはどっちか?』ということを決める試合になると思いますので、必ず王座を奪回したいですね」と熱く語ってくれました。
試合は、ジュニアヘビー級らしいスピーディーな攻防が繰り広げられ、一進一退の展開に。どちらが勝ってもおかしくない試合でしたが、最後はヒールユニット「ジェロキア」のリーダーでもある山内選手が意地を見せ、必殺技・カロライナリーパーがズバリ。西江選手は惜しくも王座奪回とはなりませんでした。しかし、西江選手の「負けない、あきらめない」という気持ちは十分に伝わった試合でした。
セミファイナルは、「OPGタッグ選手権」と「SWA認定山陰統一タッグ選手権」のダブルタイトルマッチ。『松江だんだんプロレス』から乗り込んできたKOZZY選手のペナルティキックがZAKA選手に決まり、OPGタッグタイトルが他団体に流出するという結果に場内は騒然となりました。
メインイベントは、「OPGヘビー級王者」の上原智也選手が北九州を中心に活動する『がむしゃらプロレス』の鉄生選手を迎え撃つタイトルマッチ。ヘビー級らしいド迫力のパワーファイトに場内は大熱狂です。どちらも一歩も引かないがまん比べのような攻防が続きましたが、上原選手がフィニッシャー・鉄槌でピンフォール勝ち。見事王座を防衛しました。
全試合終了後は、出場選手がリングに上がり、「1.2.3.ダーッ!」で締め。応援に訪れていた元・新日本プロレスの片山明さんを中心に記念撮影も行われ、観客席には笑顔があふれていました。
メインイベントでタイトルを死守した上原選手は試合後「相手の鉄生選手は力強く、1歩も引かない、そして折れない。今まで戦ってきた相手の中でも随一の強さを誇る選手で、尊敬できる相手でした。今後は団体内外問わずいろんな選手とこのタイトルをかけて『これぞヘビー級』という試合がしたいです」と語ってくれました。
代表のグレートムタイガー選手は、「大会を通して、仲間の戦う姿を見て涙が出てきました。プロレスはやっぱり最高だと改めて感じることのできた素晴らしい大会だったと思います」と今回の大会を総括。今後の展望についてお聞きすると「これからも観客の皆さんも含めて、みんなで笑顔になれる大会を作っていきたいと思います」と答えてくださいました。
選手たちは、仕事の合間に鍛えたあげた肉体をリングでぶつけ合い、プロレスから教わったあきらめない心や信頼の大切さを表現しています。今大会を観戦して、その情熱はなんら「プロ」のプロレスラーに劣ることはないと感じました。プロレスを愛する大人たちの「壮大で本気なプロレスごっこ」をぜひ一度観戦してみてください!