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編集者にまかせてちょ~査団スペシャル

《備前市/BIZEN中南米美術館》知識ゼロからおもしろがれる展示で、古代アメリカの世界にタイムトリップ! 全国でも珍しい、中南米考古学をテーマにした美術館。

気になる岡山の街ネタ調べます!まかせてちょ~査団スペシャル

  • 情報掲載日:2021.02.14
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

Mission_71/土偶はゆるキャラ的に楽しむべし? ファン続出の「親切すぎる館内ガイド」を体験せよ!

港町で異彩を放つアートスポット、『BIZEN中南米美術館』とは?

岡山県を含む瀬戸内エリアは、ここ数年で美術、建築、デザインを楽しめるスポットが増え、旅やお出かけの目的として定着しました。

岡山の街や自然の中にも芸術作品が溶け込み、アートが一段と身近なものになったと感じます。

その中でも美術館や博物館は、知的好奇心を満たし感性を磨くことができる代表的なアートスポット。

岡山県内には大小さまざまな美術館が点在していますが、備前市に珍しいテーマの美術館があるのをご存じですか?

それがこちら。備前市日生町、JR赤穂線の日生駅から徒歩8分の場所にある『BIZEN中南米美術館』。備前焼の陶板を敷き詰めた外観が目印です。

ここは全国でもかなり珍しい古代アメリカ文化がテーマの美術館で、中南米で発掘された土器や土偶、石彫などの収蔵品が展示されています。

土器や土偶ということは、日本でいうと縄文時代にも遡るほど古い時代。そんな価値ある展示品を地元で見られるとはうれしい限りですが、それにしてもなぜ港町に古代アメリカの文化遺産が集まったのでしょうか?

私こと「まかせてちょ~査団」の団長M、美術は得意ですが世界史は苦手科目。古代アメリカについては予備知識がゼロに等しいレベルです。

しかし、聞くところによると『BIZEN中南米美術館』は自由度の高い展示に定評があり、知識ゼロから虜になるというリピーターさんが多いそうです。それなら、私でも楽しめるに違いない!

というわけで、日生の海風を感じつつ『BIZEN中南米美術館』を訪ねてみました!

「こんにちは!ようこそお越しくださいました」

館内に入ると、館長の森下さんが出迎えてくださいました。

突然ですが教えてください! なぜ日生町に古代アメリカ文化をテーマにした美術館があるのですか?

「この美術館は、私の祖父である故・森下精一のコレクションを集めた私設美術館として1975年(昭和50年)に一般公開されました」

「祖父は日生町で漁網の製造販売の仕事をしていたのですが、商用でペルーとパナマを訪れた際に古代アメリカの文化遺産に出合い、その魅力にとりつかれたのをきっかけに蒐集を始めたそうです」

なるほど、地元にすごいコレクターがいたというわけなんですね。

館内には、故・森下精一さんの集めてきたコレクションが一同に集結。

この日は「MAYA戦国物語」という企画展の真っ最中で、マヤ文明の王族たちの戦いの歴史を紹介するとともに、収蔵品の数々が時代ごとに展示されていました。

1階は石彫のレプリカから土器、装飾品、土偶など貴重な歴史遺産のオンパレード。都市遺跡の資料もあり、とにかく見ごたえのある内容です。

「こちらにはメキシコからボリビアまで、中南米の11か国で出土した約2200点のアイテムを収蔵しています」

そんなに集めたんですか!? 質も量も半端ないですね。

古代アメリカ文化に魅了された海の男・森下氏の、コレクター魂の結晶ともいえる『BIZEN中南米博物館』。このジャンルに特化した美術館は全国でも類を見ないということで、著名な考古学者からも高い評価を受けています。

考古学が何倍も面白くなるユニークな展示と、親切すぎる館内ガイドに密着。

ここからは森下館長に案内役をお願いします。

「当館の展示を楽しむには作品の背景、つまり古代アメリカ文明についての知識を入れておくのが一番です。あ、そちらのお客様もよろしければお聞きください~!」

館内に散らばるお客さんを、ハリのある声で呼び寄せた森下館長。まずは古代アメリカ文明の基本的な解説からスタートです。

「古代アメリカ文明が始まったのは今から6000年前。メソアメリカ文明、マヤ文明、中央アンデス文明という3大文明があったとされ、それぞれの中間領域にも高い文明が栄えていました」

「一時代で各地に多数の国ができ、しかも紀元前4000年から16世紀までと何代にもわたって続いた長い歴史があります。古代アメリカ文明は、長きにわたる複雑化した社会と多彩な文化が特徴といえますね」

今まで詳しく知る機会のなかった古代アメリカ文明ですが、中南米の各地で独自の文化や歴史が花開いていたんですね。気が遠くなるほど壮大です。

「インカ、マヤ、アステカは何となく聞いた事があるけど、それが何かは説明できない方が多いですよね」

確かに。ナスカの地上絵やマチュピチュ遺跡など部分的に語られることはあっても、古代アメリカ文明全体を網羅する機会は少ないかも!

「歴史とストーリーを含めて鑑賞すると、展示がもっと楽しめるはず。企画が物語の筋書きなら、飾ってある収蔵品は大道具・小道具だと思ってもらえば分かりやすいでしょうか」

物語の主役は、あくまでも古代アメリカ文明を生き抜いた人たち。

そう思うと遥か遠い昔の出来事が身近なものに感じられます。

これは紀元600~900年ごろに作られたとされる三脚の鉢で、トウモロコシの蒸し団子を入れるためのもの。模様が描かれた鉢や壺、皿は当時の王族が使用していました。

鳥や人のモチーフが付いたこちらは2つの使い道があるそうです。一つはお酒を入れるためのボトル。もう一つは水と空気の振動で音が鳴る楽器。森下館長が特別に「ピョロ~」と音を鳴らしてくださいました。3000年前の音色は美しくて神秘的。展示品に触るだけでも驚きましたが、吹くとはこれまた大胆!

「当館は会話や体験を通してお客様に楽しんでもらえる解説と、一方的に見せるだけではないコミュニケーションのある展示を心掛けています。分かりやすく親しみやすい展示パネルも特徴ですね」

キャプションでは古代のキャラクターがユニークに語りかけ、美術鑑賞の堅苦しさや敷居の高さを感じさせない工夫が盛り込まれています。

森下館長が手とり足とり解説してくれる完全予約制の「館内ツアー」も受付中で、ユニークな展示を数倍おもしろくする「全力解説」が人気だそうですよ。

王様はチョコレートがお好き? 土器や石彫、織物から古代人の生活を紐解く。

こちらの円筒形の土器は、王様のためのチョコレートカップ。古代アメリカではチョコレートの原材料となるカカオ豆が高級品とされ、このカップで一日30杯以上のチョコレートを浴びるように飲む王様もいたそうです。

体に悪くないのか?と驚きますが、ポリフェノールのおかげなのか、相当長生きしたという記録が残っているとか。

王様の姿が描かれた石彫は、写真資料ではなく実物をイメージできるレプリカを展示。その下にはマヤ古典期の王朝で使われたマヤ文字を記した石彫や木彫の拓本も展示されています。収蔵品の一つひとつがアーティスティック!

団長Mのお気に入りはマヤの民族衣装。カラフルな織模様にトキめくこと間違いなし! ちなみにこれは女性用の衣装で、男性は基本的にふんどし一丁のスタイルだとか。どえらい差です。

2階に上がると、マヤ文明の器を集めた展示ブースがありました。マヤの三大作物など、当時の食生活についての解説も興味深いです。王様はこんな器でごちそうを食べていたんですね。衣食住に関する展示品も多く、当時を生き抜いた古代人の生活が垣間見えます。

ゆるキャラ的可愛さの土偶が集結! 鑑賞だけに留まらない楽しみ方が魅力。

2階では数多くの土偶が展示されていました。そこには、『BIZEN中南米美術館』のアイドル、ペッカリー君の姿を発見!

何とも憎めない表情をしたペッカリー君の正体は、エクアドル生まれのヘソイノシシ土偶。動物をモチーフにした土偶はたくさん作られていて、どれもユニークな姿かたちをしています。不思議なオーラを放ち、見ていて全然飽きさせません。

ペッカリー君は美術館のマスコットキャラで、全国各地のご当地キャライベントでもおなじみ。イベントでは天使のような歌声を披露する芸達者ぶりが人気です。

他の土偶を見ても、クスっと笑えるようなゆるキャラ感がありますね。この鏡餅みたいな土偶は、おかっぱ頭の少女みたいな愛らしさ。幸せを運んでくれそうな気がします。

こちらは人の形をした土偶。動物に比べてクセが強いですが、地域性や文化によってこんなにもデザインが違うんですね。

「種類の多さとキャラクター性が魅力。何をモチーフにしているかが分かりやすく、知識がなくてもとっつきやすいのではないでしょうか」

たまたま鑑賞に訪れていた常連のOさんが、この美術館の奥深い魅力を教えてくれました。

「展示が変わる度に訪れていますが、見るたびに新しい発見があります。自分の名前をマヤ文字にできるドネーション(寄付)プランや、全国のペッカリーファン数百人が登録する『土偶部』など、ファンクラブ的なお楽しみも企画されていますし、知れば知るほど深みにはまる面白さがあるんですよ」

ミュージアムグッズの定番商品、ペッカリードールでも遊び心を発揮。ペッカリードールを自由にドレスアップする企画「ヘソコレ」が人気で、お話しを聞いた常連のOさんも可愛くコーディネートしたマイ・ペッカリードールを見せてくださいました。なんだか王様っぽいぞ、ペッカリー君!

アカデミックでありながら、ユニークな展示でファンを引き付ける『BIZEN中南米美術館』。展示品の価値だけでなく、お客様目線を追求する姿勢と柔軟なアイデアでファンを増やし続けています。

展示や催し物情報、館内ツアーの申込についてはホームページをチェックしてみてください。一度ならず、二度三度と訪れてみるのがおすすめですよ!

Information

Information
BIZEN中南米美術館
住所
備前市日生町日生241-10 [MAP]
電話番号
0120-346-287
開館時間
10:00~17:00 ※事前予約を推奨
休み
月曜(祝日の場合は翌日) ※HPの開館日カレンダー参照
HP
https://www.latinamerica.jp/

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