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編集者にまかせてちょ~査団スペシャル

《ライトノベル作家・古寺谷 雉さん》岡山在住の小説家「古寺谷 雉(こじや きじ)」さんにインタビュー。人気小説投稿サイトで話題を集めた新感覚歴史小説の魅力を紹介!【PR】

気になる岡山の街ネタ調べます!まかせてちょ~査団スペシャル

  • 情報掲載日:2019.09.28
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

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岡山で話題のスポットやイベント、知る人ぞ知るレアな情報など、誰もが気になる地元のモノ、ヒト、コトを『タウン情報おかやま』が徹底調査するこの企画。スタッフが実際に現地を訪れ、体験したとっておきの情報をリポートして、「岡山の魅力を再発見できる、よりディープでフレッシュな街ネタ」をお届けします!

岡山在住作家の歴史小説『項羽と劉邦、あと田中』とは?

今年の2019年2月、何やら気になるタイトルの小説が発売されました。その名も、『項羽と劉邦、あと田中』。項羽(こうう)と劉邦(りゅうほう)、この名前からして古代中国をテーマにした話だということは分かるのですが…ん? 田中? 読みは「たなか」でいいのか?

壮大な歴史ロマンの世界から、急に現実に引き戻される感じが何ともシュール。項羽、劉邦という強めの字面の後に「田中」という極めて普通っぽい名前を付け足すところが、まるで膝カックンでもされたみたいな拍子抜け感を覚えます。

本の帯を見ると、どうやらこの田中を主人公にした歴史小説とのこと。しかも田中はアラサー会社員という設定。歴史小説に疎い団長Mですが、意表をつくタイトルに興味がわいて早速読んでみることにしました。

簡単にあらすじを説明すると、

「31歳の会社員、田中(たなか)はある日突然、秦(しん)王朝末期の中国にタイムスリップ。斉の国の王の子孫で剣術の達人「田横(でんおう)」に助けられ、田中(でんちゅう)という名前に勘違いされたことから田(でん)一族の客人として行動を共にする。ある程度の中国語と、元営業マンならではの機転と弁舌で場を乗り切りながら、田一族の名軍師として活躍。現代に帰るために生き延びることを決意し、英雄たちと群雄割拠の時代を駆け抜ける」というもの。

2019年9月現在では2巻まで書籍が発売され、連載が続いています。

1巻を読み終えた結論から言うと…読みやすくてとても面白い! 中国史というと「難しくてとっつきにくい」というイメージでしたが、現代から来た田中の視点で語られているため設定やストーリーが分かりやすく、展開がスッと頭に入ってきます。田中を通して物語の中に入り込んでいけるような感覚があり、歴史小説の初心者でも面白く読みすすめられる一作です。

なぜこの小説を「まかせてちょー査団スペシャル」で紹介するのかというと、実はこの小説、岡山在住の作家さんが書いているのです。作家名は「古寺谷 雉(こじや きじ)」さん。雉(きじ)という名を付けるところに桃太郎のまち・岡山らしさを感じますね。

ぜひお話しを聞いてみたいということで、今回は古寺谷さんにお会いしてインタビューをさせていただきました。小説家になったきっかけや制作秘話などをお聞きしながら、普段なかなか見られない作家さんの素顔に触れてみたいと思います!

デビューのきっかけは、人気小説投稿サイト

待ち合わせしたのは、とある喫茶店。落ち着いた雰囲気のこちらの男性が古寺谷さんです。

「初めまして。私が古寺谷 雉です」

小説家という肩書きの人に会うのは、おそらく人生で2度目の団長M。ちなみに1度目は原田宗典さん。原田さんも岡山県出身の方ですね。早速ですが、古寺谷 雉さんってペンネームですよね?

「そうなんです。本名をもじった「コジヤ」というニックネームを当て字にしました。雉はペンネームを考えていた時に、家の庭に雉がやってきたんです。そういえば実家で昔飼っていた猫の名前もキジだったので、雉でいいかなと。大した由来じゃないのですが」

いえいえ、名前の由来がなんとも可愛いです! 早速ですが、小説家になったきっかけは?

「学生時代から本を読むのが趣味で、三国志をきっかけに中国の歴史小説にはまりました。特に三国志より前の時代、紀元前の古代中国をテーマにした物語が大好きなんです。その時代の小説をたくさん書かれている作家の宮城谷昌光先生をはじめ、司馬遼太郎先生、北方謙三先生の歴史小説を愛読していました」

いろんな中国の歴史小説を読むうちに、すっかり読むものが無くなってしまったという古寺谷さん。「インターネットで何かないか調べている時、『小説家になろう』というサイトを見つけました」。

「小説家になろう」は、一般の人が自作の小説を投稿できるサイト。ファンタジーやSFなどのライトノベル作品も多数掲載されています。日本で閲覧数トップ20に入るほどの人気サイトで、約60万作品以上の小説が無料で読めるそうです。

「そのサイトでアマチュアの方の歴史小説を読むうちに、自分でも書いてみたいと思うようになって。今までたくさんの歴史小説を読んできて、自分なりの物語のアイデアも頭の中にありました。とりあえずやってみるか、と投稿しはじめたのが2018年の7月。それが小説を書くようになったきっかけです」

初投稿から約1年後に書籍化。小説家への道をスタート

「小説家になろう」は、一話ずつ投稿していくスタイル。「ダメならやめよう」と思っていた古寺谷さんですが、読者からの反響に喜びを感じ、書く意欲につながったそうです。投稿して数日で人気ランキング9位に上がるなど、サイト内での人気も上々。初投稿から約1カ月、なんと出版社「主婦と生活社」から声がかかり、書籍化のオファーを受けました。

人生で初めて小説を書いてからたった1、2カ月。何という早さ! まさにひと夏の出来事です。小説家デビューというと、構想を練ってコツコツ書きためては出版社に作品を持ち込んで…という流れをイメージしていましたが、インターネット時代ならではのスピード感というか、小説を取り巻く環境も変わっているのですね。

「自分でもちょっと展開が早いなと思いましたね(笑)。オファーの翌月には出版社の方と実際にお会いして、打ち合わせや書籍用の手直しを行いました。作品がひとつの形になるというのはやはりうれしいです。小説の表紙やゲーム関連のイラストを数多く手掛ける人気イラストレーターの獅子猿さんに絵を描いていただき、2019年の2月に第1巻の初版が出版されました」

地元の新聞でも取り上げられ、反響や売上も徐々に伸びつつある『項羽と劉邦、あと田中』。設定の秀逸さはもちろん、魅力的な登場人物も見どころのひとつ。どの人物描写も丁寧に書かれているので、一人ひとりの人物に親近感がわきます。

物語には中国王朝時代の英雄たちがたくさん登場しますが、団長Mのイチ押しは主人公の田中。いきなり古代中国にタイムスリップしておきながら、英雄たちに認められて時代を生き抜くという順応性の高さと運のよさがたまりません。環境適応能力がすごい。

本の途中には人物名や用語の解説があり、途中で分からなくなった時には振り返って調べることができます。歴史小説を書く上で、時代背景や史実を適切に表現するのが難しいのだそうです。

「読者の方からいろんな感想をいただきますが、『児童でも楽しく読める』と言われたのが一番うれしかったです。書き始めてすぐ自分の小説が人に読んでもらえるなんて、夢のようです」と古寺谷さんは笑います。

スマホで、1日1時間だけ書く。今どきな執筆スタイル

普段はリフォーム会社の経営者としての顔を持つ古寺谷さん。どんな風に執筆しているのですか?

「執筆はもっぱらスマホですね。座ってこんな風に」

スマホとはこれまた今どきなスタイル。こんな小さな画面で書くのに困りませんか?

「仕事の休憩時間やオフのすきま時間を利用できるので、この方が書きやすいです。一日に書く時間も1日1時間までと決めていますし」

1時間って結構短い印象ですけど、もっと書きたいと思ったりしませんか?

「それが、1時間以上は集中力が続かなくて。普段は仕事もありますし、少しずつ書くのが性に合っているみたいです。執筆する日も月曜から土曜と決めていて、日曜は家族の時間にあてています」

タイムマネジメントが完璧な古寺谷さん。仕事できるタイプですね! スマホを見せてもらうと、執筆中の文章が画面に並んでいました。この小さな画面から、壮大な歴史ロマンが生まれているのですね。

「構想を練ったり調べたりする時間はそれ以上ですけどね。「小説家になろう」で週に1回、1話ずつ新作をアップしているのですが、1話が約3000文字くらい。10分くらいで読めますし、自分でも書きやすいボリュームなのかなと思います」

2019年内にはコミック版がWEBマンガサイト『コミックPASH!』で連載開始の予定、2020年の春ごろ(詳細未定)には小説の3巻が発売される予定です。小説家としては順調な滑り出しの古寺谷さん。30代後半の作家デビュー、自分自身でどう感じていますか?

「夢の印税生活には程遠いですが(笑)、好きな事を続けていくためには、普段の仕事や家庭とのバランスが大事だなと思っています。読者の方に喜ばれる作品をつくるためにも、コツコツとマイペースで続けていきたいですね。今後は新しい作品にもチャレンジして、歴史小説の楽しさを伝えたいです」

まさにアメリカンドリームならぬ、オカヤマンドリーム。最後に夢をかなえるコツを聞いてみたところ、「僕自身も最初は見切り発車。この歳で好きなことが肩書きになったことに驚いています。とにかくやってみよう、という気持ちでまず行動に移してみるのは大事かも」という有難いお言葉をいただきました。

古寺谷さん、今後も面白い作品と、ますますの活躍を期待しています!

Information

Information
『項羽と劉邦、あと田中』①~②
著者
古寺谷 雉
イラスト
獅子猿
発行
株式会社主婦と生活社
電話番号
03-3563-5120
書籍版は書店やAmazonなどのWeb書店にて販売。電子書籍版あり
HP
https://pashbooks.jp/series/kouu_ryuho_tanaka/

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