Mission_79/場所ごとに違った味を楽しめる♪ 昭和レトロな「麺類自販機」を巡礼せよ!
今も現役で稼働中。根強い人気の「麺類自販機」を訪ねて。
街中の至るところに置かれている自動販売機。
ドリンクやタバコなどが一般的ですが、それ以外にもちょっと意外な物を取り扱う自販機や一風変わった機能を持つ自販機があり、巷で密かな話題を集めています。
なかには「何だコレ!?」と思わず足を止めてしまうほどの「珍自販機」も。
そこで『まかせてちょ~査団スペシャル』では、「岡山のおもしろ自販機・ちょ~査団」と題して、岡山のユニークな自動販売機をシリーズでご紹介します。
今回は昔懐かしい「麺類自販機」を探してきました!
正面のパネルに「うどん・そば」の文字が書かれた素朴なデザイン。一見して昭和レトロな雰囲気を漂わせるこちらが、自販機グルメ界のレジェンド「麺類自販機」です。
インスタント麺ではなく調理されたうどんやそば、ラーメンなどの麺料理を提供できるのがポイントで、注文すると秒速でアツアツの一杯が完成するという優れモノ。昭和50年代ごろから全国のパーキングエリアや自販機コーナーを中心に置かれ、「真夜中でも温かい料理を食べられる」と人気を博しました。
24時間営業の店が少なかった時代に活躍していた「フード自販機」のひとつですが、コンビニやファーストフード、ファミレスが増えるとともに台数もどんどん減少。現在機械を製造しているメーカーはなく、いまや昭和遺産的な存在となっています。
現役で稼働している「麺類自販機」は、全国でも残りわずかです。
見たことない、知らないという人が多いかもしれませんが、懐かしさを求めて「レトロ自販機巡礼」をするというファンもいるほど根強い人気があるのです。
しかも、設置店ごとに食材やスープを仕込んでいるそうで、つまり同じ自販機なのにそれぞれ違った味が楽しめるというわけです。これは面白い!
ワタクシこと『まかせてちょ~査団』の団長M、岡山県内に残る麺類自販機の中で、今も稼働しているという3台を巡ってきました!
[もみぢの里]うどん店が作る本格派の一杯。レアな補充シーンを目撃!
真庭市の国道313号線沿いにある『もみぢの里』は、本場の讃岐うどんが味わえるお食事処です。お店の横には「ベンダーショップ」と呼ばれる自販機だけのコーナーがあり、ドライブインとしても気軽に立ち寄れます。
こちらの「うどん自販機」は、『もみぢの里』特製の手打ちうどんが補充されているのがポイント。うどん屋さんの作る一杯が自販機で食べられるなんて…こんな贅沢あっていいのか!?
自販機の右側にはコイン投入口とメニューボタン、取り出し口、そして中央にセットされた割りばしが見えました。メニューは「天ぷらうどん」と「きつねうどん」の2種類があり、どちらも300円で販売されています。この低価格も自販機の魅力ですね。
「お先に~」
後ろからやってきたのは、ダンディなおじさまライダーの方々。こなれた様子で自販機うどんを購入していきます。もしかしてリピーターなのですか?
「そうそう。店内のうどんも食べるけど、閉店後の遅い時間やサクッと腹ごしらえしたい時には助かるし、時々無性に食べたくなるんよ」
「ほかのうどん自販機もいろいろ食べに行ったけど、ここの『天ぷらうどん』は、2種類も天ぷらが乗っているのがうれしいよねえ」
みなさん詳しいですね。私もダブル天ぷらのうどんを食べてみたい!
コインを入れてボタンをプッシュ。調理時間はわずか25秒という早さで、出来上がると「チーン!」という音で知らせてくれました。なんだか電子レンジみたい。
取り出し口の蓋を開けてみると、ホッカホカの天ぷらうどんが登場。中身をこぼさないようにそーっと取り出し、外のテーブルへ運びます。
では実食! トッピングはかきあげとサツマイモのダブル天ぷら、ネギ、カマボコが入っています。うどんはもっちりした太麺で、つゆはダシの風味をしっかり効かせたおいしさ。さすが本格派、具だくさんで食べ応えも抜群です。
「野菜の天ぷらは時期によって具材を変えるんです。ナスやカボチャなど旬野菜を使うこともありますよ」
ちょうど食べ終えたところで、お店の方が声をかけてくれました。何とこれから補充するそうで、貴重な機械内部を見させてもらうことに。
うどん入りの容器をらせん状の台にセットしていきます。最大で80杯も冷蔵保存ができるらしく、意外と大容量なことに驚きました。
注文を受けると一杯分が右の調理台に移り、湯切りして中身を温めます。お湯とつゆを注いだらアッという間に完成。なるほど~、そういう仕組みになっているのですね。
「35年前の創業時、『お客さんがいつでもうどんを食べられるように』という想いから自販機を設置しました。わざわざ足を運んでくださるファンも多いので、お店ともども手作りの味を提供していきたいです」
懐かしい雰囲気と手作りうどんの素朴な味わいを堪能できました。ごちそうさまです!
[ドライブイン古城]驚きの1杯240円。熱々のきつねそばをゲーセン横で味わう。
倉敷市にある『ドライブイン古城』は、ゲームセンターと自販機コーナーがセットになったドライブイン。場所は『古城池トンネル』の南側にあります。
お店の前にもずらりと自販機が並びますが、お目当ての自販機は店内にありました。
見つけました! カップ麺やスナック菓子などの自販機が並ぶ中で、ライトアップされた「うどん&そば」の目立つ文字。2つのテーブルに8人ほどが座れるイートインコーナーは、ゲーセンの雰囲気も相まって深夜メシにはぴったりのムード。
昭和の薫りただようレトロなゲーム台や、1回1000円のガチャガチャも気になるところではありますが…。まずは目的の「うどん&そば自販機」をチェックしてみましょう!
メニューは「天ぷらうどん」と「きつねそば」。どちらも驚きの200円台というリーズナブルな値段です。自販機とはいえこの安さにはビックリ。
ボタンを見ただけでお腹がすいてきた団長M、今回は「きつねそば」240円のボタンをプッシュ。
デジタル表示で25秒の調理時間がカウントダウンされ、カップ麺より早いスピードで「きつねそば」が完成しました。「急いでいるけど、あったかい麺が食べたい」という人には超便利なシステムかと。
それではいただきます! 大きな油揚げに染み込んだダシが、ジュワッ~と口いっぱいに広がるシアワセ! 油揚げは甘めに炊いてあるので、あっさりとしたつゆとお蕎麦のほどよいアクセントになっています。
半分ほど食べたところで、底に沈んでいたワカメやカマボコが発掘されました。トッピングが増えたみたいで、なんだか得した気分♪ 自販機フードとはいえ、なかなかの満足感を味わえますね。
この安さとボリュームなら申し分なし。うどん&そばを両方食べても500円でお釣りがくる値段なので、どちらにするか迷ったら2杯購入するのもアリです。
自販機の本体もキレイに維持されていて、長年大切に扱われてきたのが分かります。県南エリアで稼働しているうどん&そば自販機はおそらくここ1軒らしいということで、今後もできるだけ長く現役でいてくれることを願うばかり。
ドライバーやゲーム好きだけではなく、レトロ自販機ファンからも親しまれているスポットです。
ごちそうさまでした~!
[おかもと仕出し店]故障から復活! 仕出し屋特製、甘めダシが特徴の肉うどん。
次に紹介するのは津山市の南エリア、県道429号沿いの『おかもと仕出し店』です。
こちらもレトロ自販機ファンの間では有名なお店ですが、訪問予定の数日前に問合せたところ「調子が悪くて点検中です」とのお返事が。その後メンテナンス業者さんの尽力によって見事復活を果たしたとのことで、無事訪れることができました。いやーよかった!
お店に着くなり見つけましたよ。軒先に置かれた数台のドリンク自販機のひとつに、さりげなく「うどん&そば自販機」が混じっています。
到着したのはお昼前。店頭にはおいしそうな手作りのお弁当、総菜、カップ麺やお菓子などが並んでいました。こちらは後でチェックするとして、まずは本来の目的である自販機へGO。
店内には12席分のイートインコーナーが用意されているので、営業中はそこで購入したうどんを食べられます。自販機の横には、食べた後の器や箸を入れる回収ボックスがありました。
こちらのメニューは「肉うどん」と「天ぷらうどん」の各300円。これまた食べ応えがありそうなメニューですね。他の設置店とは違うオリジナリティを求めるなら、ここはやっぱ「肉うどん」かな?
デジタル表示とにらめっこしながら待つこと25秒。温かいうどんを両手でしっかり持ち、こぼさないように移動します。つゆの香りに食欲がそそられまくり。
無事着席。いただきます!
こちらのうどんは細めのソフト麺と甘みのあるつゆが特徴的で、肉の風味も加わったコクのある旨みがおいしいですね。底に潜んだカマボコをすくいあげて、スープをすすって一気に完食! 団長Mはそのままおいしくいただきましたが、テーブルの濃縮ダシでつゆの濃さが調整できます。
うどん単体で物足りなければ、お店でおにぎりや惣菜を買って好みの定食セットにしちゃうのも楽しそう。自販機は24時間利用できますが、イートインでの食事や買い物をするなら営業中を狙っていくのがおすすめです。
「仕込みや機械の維持には、結構手間がかかります」と話すのは、『おかもと仕出し店』の若奥さん。切らさないように毎日補充するだけでも大変ですよね。
「せっかく来てくれたお客さんをがっかりさせたくないので、できる限りは続けていきたいです」
この自販機は現在製造されておらず、機械の仕組みを知る人が全国各地を回って点検や修理を行っています。実は県内や近県にメンテナンスできる方がいるらしく、不具合があるとすぐに駆けつけてくれるそうですよ。いや~ありがたい限り。『おかもと仕出し店』は社長も自ら修理を行い、長く大事に使い続けられています。
全国のファンの想いに応える設置店と、それを支える修理人の方々の努力があってこそ食べられる自販機うどん&そば。感謝の気持ちを胸に、ごちそうさまでした~!
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