降水量1mm未満の日が日本で一番多く、災害も非常に少ないことから、映画やドラマの撮影スポットとして注目されている岡山県。市街地からクルマで30分圏内に、海、山、古い街並みなどがあり、田舎の風景や島、高原など豊富なロケーションがそろっています。

「晴れの国岡山は、日本のハリウッドだね！」

そんな声が高まって、誰が呼んだか「HALLE WOOD（ハレウッド）！」。

「HALLEWOOD」の立役者であり、全国の映像制作会社が頼りにするというすご腕コーディネイターの妹尾真由子さんが、知られざるロケの裏側やさまざまなエピソードを通じて、岡山の魅力を紹介していく連載です。

《連載第46回》映画劇場版『トリリオンゲーム』編

みなさん、こんにちは。岡山県フィルムコミッション協議会の妹尾真由子です。

岡山県内でもロケを実施した劇場版『トリリオンゲーム』が2月14日(金)から全国公開され、多くの方々が劇場に足を運んでくださっていると伺いました。

私も公開初日に両親と叔母と一緒に劇場で鑑賞しました。平日の昼間だったので満員とまではいきませんでしたが、かなり多くの方が鑑賞されていました。年齢も幅広く、キャストのファンと思われる若い女性だけでなく、年配の男性も多くて驚きました。

実は本作は、岡山が重要な舞台として登場するのですが、ロケ自体は2023年2月に２週間にわたって行われていました。

しかし、ロケ地などの情報解禁出来るのは『劇場版トリリオンゲーム』の公開日ギリギリだったということもあり、それまではロケ地名さえも発信することができず、今か今かと待ちわびていました。

岡山県内では笠岡市の真鍋島、北木島、白石島の３つの島を使って架空の島が描かれるほか、岡山市の『岡山芸術創造劇場 ハレノワ』や『岡山済生会総合病院』、『Restaurant SORA』、『日本料理 雅』、瀬戸内市の『ホテルリマーニ』などがロケ地となりました。

今回の作品では、ロケハン（ロケーションハンティング：ロケ地の事前確認作業）の際に、「島の人たちのリアルな声を聞きたい」という監督からのリクエストに応え、３島のロケハン中に地元の方々に集まっていただきました。

まず「実際に、この島にカジノができると言われたらどう思いますか？」という質問に対しては、反対意見が多いかと思いきや、意外にも賛成する人もいて、半々くらいの割合でした。

また「今、自分たちの暮らしで大変なことは何ですか？」という質問もあり、「夏場は特に草刈りなどが大変」「力仕事ができなくなってきた」など、リアルな島の人たちの声が集まりました。その意見をもとに畑仕事や漁師のお仕事を手伝うシーンなどが盛り込まれました。

一番印象深かったのは、ロケハン時に『真鍋中学校』に通う生徒は２名だけで、今までやってきた「先生対生徒」の運動会ができなくなったため、生徒２人の運動会に島の人たちが集まって、運動会を盛り上げたというエピソードに監督が感銘を受け、その話を映画の中に盛り込んだこと。

岡山ロケの初日は、『真鍋中学校』を舞台にして、島の小学生の運動会に島民約100人が集まって盛り上げる…という実話ベースのシーンを撮影しました。

撮影は１日がかり行われたのですが、あいにく雨が降ったり止んだりの変な天気で「晴れの国おかやま」のパワーを発揮することもできず、撮影が頻繁に中断されました。

それでも、雨が止んだタイミングを見計らいながら撮影を重ね、運動会のシーンを無事に撮り終えることができました。

劇場で鑑賞すると、玉入れのシーンなどカットされていた部分もありましたが、本土や各島から集まってくださった、60代以上を中心とした男女合わせて100名ものみなさんが盛り上げた運動会のシーンは、島の方々のあたたかさを感じることができるとてもよい画となりました。

今回は公開日に合わせて、「ロケ地マップ」の配布と、ホームページの「ロケ地紹介特集」を公開しました。

「ロケ地マップ」と「特集ページ」の作成だけとっても紆余曲折があり、完成までかなりの時間と労力がかかりました。

必ずしも理想の形にはなりませんでしたが、ロケ地で協力していただいた方々へのほんの少しでも恩返しとなり、聖地巡礼を楽しんでいただく方々に楽しんでもらえるツールとして活用していただければ幸いです。

この「ロケ地マップ」では、監督からの岡山ロケのエピソードを紹介したり、県内のロケ地だけでなく愛媛県や香川県のロケ地情報も一緒に掲載させていただいているので、これを手に瀬戸内エリアを周遊して、劇場版『トリリオンゲーム』のロケ地を巡っていただきたいと思っています。

ここで、とても心苦しい話なのですが、『劇場版トリリオンゲーム』の聖地巡礼を楽しんで頂きたいという想いで作成し、無料配布しているこの「ロケ地マップ」は、より多くの皆さんに手に取っていただけるように「おひとり様１枚まで」とさせていただいております。

残念ながら今の時点で、１部ではなく大量に持って帰られたり、ネットで販売されているといった報告も受けております。

ロケ地マップでご紹介している内容は劇場版『トリリオンゲーム』×「ロケ地岡山特集ページ」でもご覧いただけますし、特集ページはGoogleマップにも連動しているので聖地巡礼の際にはとても便利です。ぜひご活用ください。

最後に、関連イベントのご紹介です。笠岡市と瀬戸内市で『劇場版トリリオンゲーム』のパネル展を開催しています。

笠岡市では各ロケ地となった島を巡回して開催されるほか、ロケ地のひとつ「金風呂丸（フェリー）」の船内でもパネル展を開催しています。

撮影シーンと同じアングルで撮影できるフォトスポットも用意していますので、聖地巡礼で島に行かれる際は、ぜひ「金風呂丸」に乗ってみてください。笠岡の３島を聖地巡礼される際は、笠岡市でもロケ地マップを作成していますので、そちらもご入手ください。

また、ロケ地のひとつとなった『Restaurant　SORA』では、劇中に出演者が食べていた瀬戸内産の真鯛を使ったメニューを含む劇場版『トリリオンゲーム』映画公開記念コースが1万2100円（サービス料込み）で2025年4月6日（日）までの期間限定で提供されています。

ぜひ聖地巡礼の際に、同じ場所で同じメニューに舌鼓を打ちながら、映画の余韻に浸っていただきたいと思います。

『劇場版トリリオンゲーム』をまだご覧いただいていない方は、ぜひ劇場でご覧になって、聖地巡礼もお楽しみください。

【Profile】

岡山県フィルムコミッション協議会
妹尾真由子
矢掛町出身。2013年に矢掛町入庁。産業観光課での勤務時代には、ご当地キャラ・やかっぴーとともに町の観光PRを担当。2016年より岡山県観光連盟に出向。2018年より岡山県フィルムコミッション協議会の専任スタッフに

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