「岡山ラーメン★エクスプローラーズ」が大復活。
ラーメンが大好きな大盛りアニキとバリカタ姐さんがコンビを結成。毎月気になるテーマを掲げ、無理やり独断で3選します! そして再び岡山のラーメン界に参戦!←ダジャレ
アニキがチョイスし、姐さんがお店に突撃取材! 選びますとも、行きますとも、聴きますとも!
店主やスタッフが普段は話さないようなことをインタビューで引き出して、岡山のラーメンのさらなる魅力に迫ります!
《連載第28回》今回のテーマは「備前市のラーメン店」
みなさんご機嫌いかがでございますか? 大盛アニキです。
今回は備前市エリアのラーメン店をご紹介しようと思います。
備前市と言われてイメージするのは、備前焼とか閑谷学校でしょうか。古き良き伝統に育まれた文化のまちという趣がありますね。この両者は日本遺産にも認定されているんですね。
あとは、日生ですかね。全国的には難読地名らしいこの港町が、備前市が編入されて早17年にもなるとは…。
実はワタクシ、ここからほど近い海辺の町の生まれです。
備前市でも日生町でもないのですが、「東備エリア」「備二地区」と言われたエリアで育ったので、勝手に親しみを感じているんです。高校時代は赤穂線で岡山市内に通学していましたし(逆方向だ)。
このあたりの人に限らずかもしれませんが、岡山県内に住んでいながら、岡山市の中心部に行くことを「岡山に行く」と言ってしまい、香川県民に笑われたことがあります(香川は県庁所在地名が県名と違うので理解できないんだとか)。
しかも「おかやま」のイントネーションが、県外の人がよく言う「か」を強調する「お『か』やま」ではなくて、全部平坦にしゃべるやつ。「岡山県(おかやまけん)」という時と同じ抑揚です。はい、発声してみてください。セイ!
そう、それです! 分かりますよね。
ちなみにその昔、とある讃岐人に「おきゃーま!」呼ばわりをされて、熾烈な10年戦争に発展した記憶があります(当然「きゃ」にアクセント)。岡山の人は自分で「お『きゃ』ーま」なんて言いませんからね。
ということで、おそらくかの地の人々も、岡山市中心部に行くときには「おかやま(平坦)に行く」と言うに違いない備前市!
そういえば、「備前」という言葉も「備前」「備中」「美作」とかの旧国名として表現するときには「び」に力が入る「『び』ぜん」で、「備前市」のことを意味する場合は平坦な「びぜん」」って言うじゃないですか?
「岡山」も「備前」も、こういう発声の違いで、知らず知らずのうちに使い分けをしてるんだなと今気づきました。って、今回もラーメンの話全然してねえし。
そんな「びぜん(抑揚なく)」のラーメン店。せっかくなので姐さんには「もう少し行ったらば、県境超えて赤穂市じゃん!」とか言われそうなところまで行ってもらいましょう。
調子にのって「県境付近のラーメン店」なんてテーマも面白いかもですね。取材は大変そうだけど。
ということで姐さん、岡山の東の端まで行ってらっしゃい!
はーい! 現場のバリカタ姐さんです。
今回ご紹介する3軒は、国道2号線から国道250号線を日生町へ抜け、県境まで続く主要ルート沿いの路面店です。
共通するのは、昔懐かしいお店の雰囲気と、素朴ながら個性が光る味わい。
備前市内を走るドライバーはもちろん、備前方面のお出かけがてらチェックしているラーメンファンも多いかもしれませんね。
地域に根ざし、隣県からの常連客も抱えるお店の看板ラーメンとはどんな一杯なのか? 早速食べに行きたいと思います!
ピッコロ 備前店
長船町から移転した国道沿いの名店。「甘さと辛さの不思議ワールド」を堪能!
国道2号線の高架沿いでいつも気になっていた、丸っこい『ラーメンハウス ピッコロ』の文字。ちょっとレトロで可愛い雰囲気ですよね。
そして大型看板の下にある「甘さと辛さの不思議ワールド」という謎のキャッチフレーズが、味への想像をムクムクと膨らませてくれます。
こちらは長船町で営業をスタートし、2010年に国道2号線沿いに移転した『ピッコロ備前店』。創業から30年近く経つ、周辺エリアで働く人や長距離ドライバーにとって大定番のラーメンチャージスポットです。
バリカタ姐さんは遅ればせながら初訪問。聞くところによると、看板メニューの「みそラーメン」が不思議とハマる味だと評判だそうですよ!
店内は以前の和食店の内装が生かされた懐かしい雰囲気。視界に飛び込んできたのは、あちこちに飾られた有名人の似顔絵。これまた気になる~!
よく見ると手作りのお品書きもイラスト入りで、似顔絵もすべて店長の中川さんが描いたのだとか。アットホームで味のあるお店ですね。
「備前市や長船町エリアのリピーターだけではなく、関西方面からのお客さんも通ってくださいます」(店長・中川さん)。
ところで、「甘さと辛さの不思議ワールド」というのは?
「あ、これはみそラーメンを食べたお客さんの感想なんですよ。よい表現だなあと思って、すかさずお店のキャッチフレーズに採用しました(笑)」。
茶目っ気たっぷり、気さくな雰囲気の中川さんがイチ押しするのは、やはり自慢の「みそラーメン」800円。今回は、みそとしょうゆ、塩のスープを飲み比べるという贅沢な体験をさせていただくことに。
いざ、不思議ワールドに突入!
常連がハマる大定番、やみつき必至の「白みそのラーメン」&サクサク衣の唐揚げに大満足!
『ピッコロ』のみそラーメンの大きな特徴といえば、白みそを使ったクリーミーなスープ。豚骨だしと甘みの強い白味噌がマッチし、まろやかで上品な味に仕上がっています。
白濁に近いスープに浮かぶのは、中細麺とネギ、ワカメ、モヤシ、薄切りのチャーシュー。加水率の高いモチモチの麺が、スープのうま味を後押ししてくれます。噛みしめるほどに味の広がるチャーシューもGOOD!
「隠し味としてピリッと辛い風味を出しています。好みで七味をかけていただくのもオススメですよ」。
白みその優しい甘さに、ジワリと繰り出される辛みのパンチ。なるほど、これが「甘さと辛さの不思議ワールド」な美味しさなんですね!
「しょうゆは、みそに比べてあっさりと、飽きのこない味です」。
「しょうゆラーメン」750円も、みそと同じくカドのないマイルドなスープで、「塩ラーメン」750円はキレのある塩味と旨み。最後のひと口まで舌が求める美味しさです。
「お腹に余裕があれば、自慢のから揚げもぜひどうぞ!」
「Aセット」280円は、ラーメン&から揚げ&白飯の最強トリオを手ごろな値段で楽しめる定食セット。備前市のお店らしく、備前焼の皿にドーンと乗った大きなから揚げは、衣が香ばしくて歯ざわりがサックサク! 見た目に反してパリッ、ホロっとほどけるような軽い口当たりで、何個でもいけちゃいそうですね!
「自分が美味しいと思う味を大切につくり続けています。一度食べてもらえば分かるはず。後は行列ができるのを目指して頑張らないと」と中川さん。
甘さと辛さをまろやかに着地させた白みそラーメン、あなどれない一杯がここにあります!
八仙
備前市で長く親しまれる町中華。「松系」「仙系」の中華そば&豊富なメニューが人気。
次は国道2号線沿いの「JR伊部駅」を過ぎ、「伊部東交差点」から国道250号線を南に入ります。日生に向かい、だんだんと海辺の雰囲気が近づいてくる道の途中に、お目当ての『八仙』がありました!
片上湾に面し、周辺エリアには工場が立ち並ぶ立地。かれこれ20年以上にわたって地元に住む人や働く人たちの胃袋を満たしてきた、備前の町の中華料理専門店です。
こちらも岡山県内や関西方面からのお客さんがよく訪れるそうで、多彩なメニューの中でもラーメンは大人気。
入口の横には歴史を感じるショーケースがありました。ずらっと並んだメニューのサンプルが目を引きますね。
岡山のラーメンカテゴリーの中には、「松系」「仙系」と呼ばれているお店があります。
岡山市北区御津にある『玉松』を源流として暖簾分けや独立をしたお店のことなのだそうで、屋号に「松」「仙」と入っているのが目印。濃厚かつ甘みのある豚骨スープが特徴です。
こちらは、関西の中華料理店で修業した店主がつくる本格的な中華料理が評判のお店。「八仙」とは中国で広く伝わる神様のことだそうで、実に中華料理店らしい屋号ですよね。
ラーメンはというと、ご親族の縁で店主が働いていたことのある『一仙』(岡山市中区原尾島)の味がルーツになっていて、「松系」「仙系」のラーメンを受け継ぐお店でもあるんです。
ちゅるんとした食感も楽しい、まろやかワンタン中華そば。香ばしい焼餃子も美味!
お話を聞いたのは、レジや接客を担当する店主のお母様。たくさんのおすすめラーメンの中から、何にするかアレコレと一緒に悩んで決めたのは「ワンタン入り中華そば(並)」930円。
『八仙』は、「中華そば(並)」730円を基本に、コーンやワカメ、玉子、モヤシなどのトッピングを加えたメニュー展開で、ワンタンのほかにも「唐揚げそば」や「トンカツそば」といったボリューム満点のメニューもラインナップ。
しっかり煮込んでダシを取る豚骨スープは、コクは深くて後口はあっさり。はちみつを加えることで、スープがほんのり甘みの伝わる柔らかさになり、子どもから大人まで好まれる優しい風味が完成しています。
たっぷり入ったワンタンは、皮のちゅるんとした食感が何度も味わえて美味! 麺とともにスープのうま味がジュワっと絡んで旨みが倍増。
中華そばと一緒に食べたい手作り餃子は、「焼き」と「揚げ」の2タイプがあります。注文した単品メニューの「焼きギョーザ」は6個で400円。
肉のたっぷり入ったジューシーな餡と香ばしく焼いた皮で、シンプルながら満足できるひと品。「6個は多いかな?」という心配も無用で、ペロリと平らげました。
「中華のおかずが目当てのお客さんも多いんです」というお母様の言葉通り、メニューに目をやるとエビマヨやエビチリ、酢豚にシューマイと中華のおかずが勢ぞろいし、日生ならではのカキなど季節限定メニューもありました。3分の2サイズの麺に、ライス&人気のおかずを付けられる「サービスセット」もお得感があり、選びきれないのがもどかしい! だからこそ、また足を運びたくなりますね。
店主が腕を振るう「松系」「仙系」ラーメンと多彩な中華を、親しみある雰囲気の中で味わえるお店。港方面に向かう途中の腹ごしらえにいかがですか?
どさん子大将 日生店
地元民が通う峠のオアシス。県境付近で40年続く人気チェーンを発見!
最後にやってきたのは、兵庫県と岡山県の県境付近にお店を構える『どさん子大将 日生店』。
JR日生駅から国道250号線をさらに東へ7分、お店から峠を越えると徒歩約2分で兵庫県に突入! という、県内ギリギリの場所にあるラーメン店です。
『どさん子大将』といえば、昭和40年代からフランチャイズ展開をしている札幌ラーメンの老舗チェーン。ピーク時には全国に700軒もの店舗があったとか。
こちらのお店もフランチャイズ店として昭和58年にオープン。
親子2代で40年もお店を切り盛りし、個人店のような親しみある雰囲気と味、サービスのよさで評判を呼んでいます。
「地元の常連さんが気軽に寄れてゆっくり食事ができること。創業からずっと地域密着型のスタイルを心がけています」。
そう語るのは、気さくで明るい2代目店主の宮本さん。現役でお店に立つお母様や奥様とともに、いつもアットホームな接客でお客さんを迎えています。
店内には赤いカウンターとお座敷のテーブルがあり、壁に据えたテレビやお品書きが、昔ながらの食堂的な懐かしさを感じさせます。
メニューには、『どさん子大将』の基本形である「味噌ラーメン」690円を筆頭に、「野菜ラーメン」や「カレーラーメン」、さらに「からしニンニクラーメン」といった珍しいタイプも。定食や丼もの、焼きそばなどもそろいます。
食べてこそ分かる甘辛な旨さの「五目ジャンメン」と、愛情満点の日替わりラーメン定食。
数あるメニューの中でも、宮本さんが「先入観なしで、ぜひ一度味わってみてほしい!」と推すのが「五目ジャンメン」890円。鶏ガラでダシをとったしょうゆスープに麻婆あんを絡めた「あんかけラーメン」です。
ひき肉入りのあんがスープにトロリと絡み、口に入れるとこれまた絶妙な甘辛さ!
見た目はこってりしていますが、あっさりめの醤油スープと優しい辛みで、後口はスッと舌になじみます。スープだけでもぐいぐい飲み進められるバランスのよさ。
具材は豚肉とピーマン、ハクサイ、モヤシ、ニンジンなどの炒め野菜がたっぷりと入ってボリューム満点。食感のよい中細麺はあんかけスープによく絡みます。
宮本さんいわく、「常連さんたちの支持率が高い一杯なんです。食べてみて初めて分かる味なので、ほかのメニューとも比べながら自分好みの味を見つけてください」と宮本さん。
五目ジャンメンは白飯との相性がとにかく抜群なんだとか。甘辛いスープが染みこんだホカホカごはん、はしが進むこと間違いなしですね!
そこで今回は、「ラーメン定食セット」230円を追加注文。
こちらは白飯(中サイズ)に日替わりの小鉢4品が付く和風定食。煮物や酢の物、漬物、豆腐といった家庭的なおかずが日替わりで並びます。
「栄養バランスのとれた、手料理の一品も楽しんでもらいたくて。こちらも男性の方を中心に人気なんですよ」と笑うお母様。
4品も用意するのは大変そうですが、お客さんが喜んでくれるのが一番だから苦にならないのだそう。優しい~! 定食屋さんのようにひと手間かけた、愛情たっぷりのおかずが心に染みます。
「お客さんがごはんをおかわりすると、心の中でガッツポーズします(笑)。ウチは一見変わったメニューもありますが、なるべく特徴を出さないのが特徴」と宮本さん。
「誰もが食べやすい、懐かしくて美味しい味を目指しています」。
宮本さん親子の人柄と懐かしい味に癒される『どさん子大将 日生店』。県境を単なる通過点から目的地に変えてしまう、そんな魅力のあるお店です。
まとめ
いかがでしたか? 今回は備前市内の主要道でつながるお店がそろいました。
地元民から遠方のドライバーまで、お客さんを大切にする堅実な姿勢を感じます。どのお店も懐かしい味で勝負し、工夫を重ねているのも愛される理由のひとつですね。
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