「岡山ラーメン★エクスプローラーズ」が大復活。
ラーメンが大好きな大盛りアニキとバリカタ姐さんがコンビを結成。毎月気になるテーマを掲げ、無理やり独断で3選します! そして再び岡山のラーメン界に参戦!←ダジャレ
アニキがチョイスし、姐さんがお店に突撃取材! 選びますとも、行きますとも、聴きますとも!
店主やスタッフが普段は話さないようなことをインタビューで引き出して、岡山のラーメンのさらなる魅力に迫ります!
《連載第22回》今回のテーマは「高梁市のラーメン店」
みなさんお元気でいらっしゃいますか? 大盛アニキです。
今回は高梁市をフィーチャーします。ワタクシと高梁市との最初の出合いはと言えば、今はなき、ワンダーすぎた遊園地! 懐かCMのインパクトが強烈すぎてですね。まさしくワンダー。
そして現在、猫城主でも話題になっている、天守が現存する唯一の山城『備中松山城』が有名です。雲海に浮かぶ天空の城は、さながら「ニャンダーランド」かと。
実はラーメンの次に城巡りが趣味のワタクシ。『備中松山城』には、これまでに何度か登城したことがあるのですが、8合目のふいご峠までバスで上がってもなお、そこからの道のりが意外とあるのですよ。最初のときは驚きましたね。
登りはじめこそは竹杖片手に軽やかなステップで「♪楽をしててもクロウ~、クロウ~♪」とか呑気に歌いながら、時折バッティングフォームのマネとか織り交ぜつつ、お気楽に登って行ったんですが…。
山を歩きなれた猛者ならへっちゃらなんでしょうけど、どんぶりの上げ下げくらいしか運動をしていないワタクシはほどなく無口に…。舐めてた。正直すまんかった。
「この道をきっと、大石内蔵助も登ったんだ!」などと、見ず知らずのお侍さんに時空を超えたシンパシーを感じつつ、汗水たらし、艱難辛苦を乗り越えて無事到着。気分はまさに「浮世の月にかかる雲なし」ですよ!
すっかり気をよくして意気揚々とお城を下り、食べたのは名物の「インディアン焼きそば」…。
って、このコーナーで、この流れなら、当然ラーメンでしょうが!! (いや、でも、登城後の「インディアン焼きそば」は抜群にうまかったっす…)
ということで、今回改めてのラーメン店めぐり。初訪問のお店もありまして。
あと、高梁市とひと口に言っても、「平成の大合併」で旧高梁市、有漢町、成羽町、川上町、備中町が合併して2004年に新設されているんです。割と最近のことかと思っていたら、17年も前のことなんですね。当然ですけど、その辺りのエリアも視野に入れつつのセレクトです。令和だし。
昨今の世情もあって最近苦労をしていたのですが、今回はスムーズに取材許諾もいただけてよかった。大好き、高梁市! それでは姐さん、今回も張り切って行ってらっしゃい!
どうも! 現場のバリカタ姐さんです。
今回は高梁市内の各地に点在するラーメン店の中から、エリアも営業スタイルもさまざまな地元密着のお店をご紹介。わざわざ足を運びたくなる名物店、早速訪ねてみます!
麺屋 かし原
城下町の細い路地にたたずむ、風情あふれるラーメン店。
高梁市の名所といえば、雲海に浮かぶ「天空の山城」として有名な『備中松山城』。
市街地の北側は城下町が広がり、武家屋敷や町家といった歴史ある建物が点在しています。『JR備中高梁駅』からも徒歩圏内で、ぶらりと歴史散策を楽しむにはもってこいのエリアです。
そんな街角の細い路地を歩いていると、何とも懐かしい店構えのラーメン店『麺屋 かし原』を発見しました! 軒先には淡色の暖簾がはためき、外観からして雰囲気のよさを感じます。
ほどよく年季の入った和風の店内。こちらのお店を一人で切り盛りしているという、女性店主が迎えてくれました。
「2009年に開店して12年、地元の常連さんから観光客まで幅広いお客さんが来てくださいます。部活帰りに寄ってくれる高校生の中には、社会人になってから通ってくれる子や、里帰りの度に近況報告をしに来てくれる子もいるんですよ。懐かしい顔を見ると、お店を続けてよかったと思いますね」。
店内には、野球部の男子が自主的に開催した「ラーメン大食い大会」の華々しい記録が掲示されていました。何玉食べられるかを競う大会のようですが、見事チャンピオンに輝いた男子の記録は12玉。よう食べますねえ!
高校球児の胃袋の底なし具合に驚くと同時に、このお店が地元客に愛されていることがヒシヒシと伝わりました。
多彩なメニューの中でも人気の「みそとんこつ」。手作り薬味ダレでよりおいしく!
お品書きには醤油ベースのピリ辛ラーメン「鬼退治」や、野菜が豊富な「風林火山」、そのほか「牛すじ煮込み」「しじみらーめん」など、名前からしてユニークかつ食欲をそそるメニューが並びます。
『かし原』のラーメンメニューは10数種類。その中から一番人気の「みそとんこつ」880円を注文しました。
鶏ガラ&豚骨のダシに自家製のみそを加えたスープは、唐辛子の辛みがジワリと効いています。みそが前に出すぎず、豚骨ダシのまろやかなコクも感じられますね。
ドンと乗っかった大きなチャーシューは、肉の食感を残しつつ歯切れのよい柔らかさ。スープに絡めて口に放り込んだ時の、ジュワッと広がる肉の風味がたまりません!
麺は岡山県内の製麺所から仕入れているそう。ほどよい茹で加減で、コクのあるスープとなじみます。
スープをすする勢いが止まりませんが、飲み切る前に特製の薬味ダレをチョイ足し。このおいしさを知る常連さんは、薬味ダレをたっぷり入れて味の変化を楽しむのだそうですよ。
「ニンニクやドライオニオン、唐辛子、ラー油、ゴマ油などを合わせて、旨辛な風味を出しています」(店主)
ニンニクと辛みが旨さを広げ、箸が進むスタミナ感たっぷりの味になりました。魅惑の薬味ダレ、ぜひほかのラーメンとも合わせてみたいですね!
歴史ある町の庶民派なラーメン食堂として親しまれる『かし原』。『JR備中高梁駅』から歩いて約10分弱とアクセスもよく、何度も足を運びたくなるお店です。
森田商店
素材からこだわり抜いた一杯。米屋さんが営む土日限定のラーメン店。
『JR備中高梁駅』からクルマで8分。『ゆめタウン高梁』からほど近い国道313号線沿いにあるのが、ちょっと異色のスタイルで話題の『森田商店』です。
こちらは、米屋さんが営む土日限定のラーメン店。元々サラリーマンだった森田寿昭さんが、実家の米屋を受け継ぐと同時に始めたお店なのだとか。
平日は米屋、週末はラーメン屋と、2足のわらじを履きこなす森田さんですが、なぜラーメン店を始めようと思ったのでしょうか?
「うちの息子が無類のラーメン好きで、離乳食の頃から麺類ばかり食べていました。私も自分で作りたいと思うほどハマっていたので、息子においしいラーメンを食べてほしくて店をやることに決めたんです」。
入口で挨拶してくれたのが息子さんですよね。そういえば「店長」って呼ばれてたような…。
「はい。実は『森田商店』の店長は私じゃなくて息子のほうなんです。お店に居ることが多いので、看板息子としてお客さんも可愛がってくれます」。
お父さんを差し置いて店長に就任とは(笑)! これまた異色のスタイルですね。
良質素材と丁寧な仕込みが光る中華蕎麦。米屋ならではの絶品おにぎりも必食。
『森田商店』のラーメンは、「鶏醤油」と「鶏塩」の2種類の味が定番。汁なし&汁ありの担々麺シリーズも人気があるそうですよ。
今回注文した「鶏醤油ラーメン」700円は、澄んだスープと具材の整ったビジュアルが印象的。スープを口に入れると、繊細であっさりした旨みが広がります。
「子どもでも安心して食べられるように、素材はよいものだけを選んでいます。自分の理想的な中華蕎麦の味を追求しました」。
ダシには岡山地鶏や伊吹島産の煮干しや鮮魚のアラ、野菜などをブレンド。すする度に、さりげなく魚介の旨みが顔を出します。
しょうゆは島根県奥出雲の老舗『森田醤油店』から取り寄せ、砂糖の代わりに地元・高梁市の酒蔵のお酒を加えて甘みを出しているそう。
京都の製麺所から仕入れた麺は、コシのある質感で滋味深いスープを受け止めます。チャーシューも温度を入れすぎずレア感を出すなど、全方位に抜かりのない仕上がりですね。良質素材が織りなす、懐かしくも上品な中華蕎麦が味わえます。
シンプルなご飯メニュー「米屋のおにぎり」100円と、味のしみ込んだ「煮たまご」100円も追加でいただきました。ふっくらと粒感のある塩むすびは、徳島産のコシヒカリを使っています。冷めてもおいしい、米屋ならではの一品です。
ラーメンに魅せられた親子が家族で営む『森田商店』、今後もリピートしたくなる魅力たっぷりでした!
佐藤食堂
スープに人柄のよさが溶け込む!? 山中にポツンと建つ秘境ラーメン。
岡山県内にあるラーメン店の中でも、県内屈指の山奥に位置すると言われている『佐藤食堂』。地元のTV番組で紹介されたこともあり、バリカタ姐さんもずっと気になっていたお店です。
高梁市の市街地から国道313号を西方面にクルマでひた走り、『吉備川上ふれあい漫画美術館』を過ぎてさらに山道を10分ほど進んだ先に、その店はありました。
周囲は山の緑に包まれ、見えるのは山と川、そして昔ながらの民家が数軒。ここへ来るまでも深い山道が続くので、ちょっとした秘境感を味わえます。
山奥といっても、高梁市の中心部からはクルマで35分ほど。舗装された道路を走るので、そこまでハードルは高くありませんよ。お店近くには備北バスの「正寺停留所」がありました。
店の前に着くと、この食堂を切り盛りする佐藤夫妻が外に出てきてくれました。
「ようこそお越しくださいました!」
優しい雰囲気のご主人と、明るく気さくな奥様。出会った瞬間から温かい人柄が伝わります。
「うちは独自のレシピで作った、コクと愛情たっぷりのラーメンを提供しています。スープには豚ガラ、鶏ガラ、そして人柄が詰まってますから(笑)」。
上手いこと言いますね! ご夫妻との会話を楽しみに訪れる常連さんも少なくなさそう。
庶民的なムードの店内には、カラオケのできるお座敷ルームもありました。コロナ禍以降は休業しているそうですが、以前は近所の人が食事がてら歌いに来ていたのだとか。
お客さん同士集まってカラオケで盛り上がるなんて、とっても楽しそうです!
自家製野菜の旨みがたっぷり! 毎日でもたべられるマイルドな味が魅力。
『佐藤食堂』のラーメンは1種類。しょうゆベースの「ラーメン」600円を基本に、麺2玉入りラーメンが800円と、替え玉150円が用意されています。値段の安さにびっくり!
独学でたどり着いたというラーメンは、動物系のダシと煮豚に使ったしょうゆダレを合わせているそう。甘みと酸味も加わったマイルドなスープは、しょうゆベースなのに味噌のようなコクを感じます。
独特の風味が後を引きますが、最後まで優しくスッと飲めちゃうのがこれまた不思議。
「自家製の野菜を煮込むことで、味にまろやかさと深みが出ているのだと思います。栄養満点ですよ」とご主人。
「調味料の『自家製唐辛子みそ』を足すと、味が締まってよいアクセントになりますよ」(奥様)
自家製唐辛子みそは、思ったほど辛くないので味変しやすいですね。梅干しを崩してスープに混ぜると、酸味が効いてさっぱりとしたおいしさに変化。
ホロホロの柔らかさに煮込んだチャーシューも相性バツグンです。驚きの速さで、残さず完食~!
店の片隅には、採れたて野菜がカゴに並んでいました。もしかしてスープにも使っている自家製野菜ですか?
「はい。休業中は畑仕事に精を出したおかげで野菜がたくさん実ったんです。せっかくならお客さんのお土産になればと思って」。(奥様)
野菜は1袋につき100円。この日はズッキーニ、トマト、ナスなどの夏野菜がズラリ。キレイな水と豊かな土で育った野菜が、ラーメンの味を深めているのですね。
高梁市川上町が地元のご主人は、お母様が経営していた食堂を引き継いで今の『佐藤食堂』を15年以上続けてきたそうです。
「ふる里の川上町を盛り上げたいし、ここを目指して高梁市外から来るお客さんもいます。私達夫婦にとっては、ここで店を続けることに意味があるんです」。
『佐藤食堂』に足を運んだみなさんは、おいしいラーメンとご夫妻の人柄に満たされ、素敵な時間を過ごして帰られるのでしょうね。まさに高梁エリアのオアシス的存在!
ほっこりできる秘境ラーメン、ぜひドライブがてら立ち寄ってみてください。
まとめ
いかがでしたか?
今回は過去のエリアテーマの中でも、移動距離が広範囲な回となりました。土地の歴史や自然にふれ、大盛りアニキのように城巡りもしながら土地のラーメンも巡る…(やきそば食ってたけど)。そんなラーメンドライブも楽しいものですね。
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