「岡山ラーメン★エクスプローラーズ」が大復活。
ラーメンが大好きな大盛りアニキとバリカタ姐さんがコンビを結成。毎月気になるテーマを掲げ、無理やり独断で3選します! そして再び岡山のラーメン界に参戦!←ダジャレ
アニキがチョイスし、姐さんがお店に突撃取材! 選びますとも、行きますとも、聴きますとも!
店主やスタッフが普段は話さないようなことをインタビューで引き出して、岡山のラーメンのさらなる魅力に迫ります!
《連載第17回》今回のテーマは「岡山で味わえる尾道ラーメン」
みなさん、お元気ですか? 大盛アニキです。ラーメン食べてますか? 私は食べてますよ!
さて今回は、岡山で食べることができるご当地ラーメンシリーズの第1弾。個人的に「ご当地ラーメンの草分け的存在」だと信じて疑わない、「尾道ラーメン」にフォーカスします。
ワタクシがはじめて尾道でラーメンを食べたのは、もう30年も前のことですね。当時ちょうど「尾道ラーメン」という言葉が広まりだしたころで、今はなき名店『朱華園』に行きました。
尾道出身の大林宣彦監督の映画のロケ地めぐりをした際、昼ごはんでお邪魔をしたのですが、当時はスマホもネット情報もないので迷ってしまいました。なんせ、尾道は迷路のような街!
テレビか何かで観ていた記憶をもとに現地をさまよった挙句、道行く地元の人らしき老紳士に行き方を尋ねたら「ああ、朱さんの店か!」と。
「朱さんの店か!」って!?
なんかめちゃくちゃ感動した覚えがあるんですよ、かっこよくて! 地元で認知され&愛されているにも程がありすぎだ!
その時すでに行列店として全国区レベルの人気でしたが、そこから観光客も増え続けて、さらに有名になりましたもんね。「尾道ラーメン」のお店も、足を運ぶたびに増えていった印象です。
いま一般的になった、いわゆる「尾道ラーメン」のスタイルは、ご主人曰く『朱華園』の味わいとは「別物」とのこと。しかしこのお店にインスパイアされたお店は多く、今なお「大きな影響を与えているのでは?」と思っています。
長い歴史の中で変わらないものと、変わっていくもの…。この視点は尾道という街の魅力にも通じますね。
そういえば、尾道にはもう1軒レジェンド店があったのでした。大林映画のスタッフのひとりが、「俺は、こっちのが好きだ」って言ってた情報を聞いて、わざわざそれを食べに尾道を再訪したりもしましたよ。こちらは今も営業をされていますので、お好きな方はぜひ。
とかいいながら、今回のテーマは「岡山で食べることができる尾道ラーメンの評判店」!
山陽本線や高速を使わなくても、岡山で「尾道ラーメン」の味わいが堪能できるんです。お店ごとの共通点や違いなどにも着目してみてください。きっと今回も、姐さんが素晴らしい発見をしてくれますよ!
それでは姐さん、行ってらっしゃい!
どうも! 現場のバリカタ姐さんです。
尾道ラーメンといえば、鶏ガラベースのしょうゆスープに豚の背脂が浮かんでいるスタイル。平打ちなど麺にも特徴があり、具材はチャーシュー、ネギなど、いたってシンプルです。
尾道は岡山からも割と近く、ご当地ラーメンとしてはご近所感がありますね。今回も、岡山で本場・尾道の味を提供する実力店3軒をアニキがチョイスしてくれましたよ!
中華ラーメン たぐち
二つの「麺道」を追求。人気うどん店のもうひとつの顔は、尾道ラーメンの専門店。
山陽自動車道の鴨方ICを降りてクルマで1分ほどの場所に、鴨方の名物うどん店として有名な『手打ちうどん たぐち』があります。
丼からはみ出すほど巨大なかき揚げが乗った看板メニュー、「天ぷらうどん」はテレビ番組でも取り上げられ、県外でもすっかり知られた存在に。
讃岐だしの力強いうどんを求めて、地元客から長距離ドライバーまで多くのお客さんが足を運んでいます。
そして『手打ちうどん たぐち』の道向かいに建っているのが、今回ご紹介する『中華ラーメン たぐち』。そう、どっちも『たぐち』。
向かい合う同じ屋号の看板を見て察する通り、こちらのラーメン店は『手打ちうどん たぐち』の姉妹店なんです。
2018年に尾道ラーメン専門店としてオープン。うどん店に負けず劣らずの盛況ぶりで、県外から噂を聞きつけて食べにくる人もいるそうですよ。
麺の産地・鴨方の玄関口に、絶品のうどん&ラーメン店が立ちはだかるという、麺好きにとっては素通りできないグルメポイントなのです。
明るくきれいな店内。こちらのお店を立ち上げたのは、『手打ちうどん たぐち』で長く腕を振るう店主の田口桂一郎さん。讃岐うどんの本場・香川で修業を積み、実直にうどん道を突き詰めてきたというだけに、職人肌のカッコよさがあります。
元々ラーメンが大好物だったそうで、自分でも作りたいという想いから全国のラーメンを研究し、尾道ラーメンにたどり着きました。70代にして新たな麺の道を切り拓くなんて、ますますカッコいい!
「私が追い求めるのは、戦前の尾道で始まった屋台の中華そば。かつて尾道中心部で開業した8軒ほどの屋台が元となり、戦後にかけて尾道ラーメンのスタイルが出来上がったといわれています」
戦前・戦後の屋台文化の味を探求。うま味のベールをまとう、伝統の尾道ラーメン。
田口さんのおすすめ、定番の「ラーメン並(700円)」が運ばれてきました。
透き通った鶏ガラベースのしょうゆスープに平打ち麺、ふんわりと浮かんだ背脂のミンチ。まるでベールをまとったように、たっぷりの背脂がスープに溶けこんでいます。
背脂をゆっくりかき混ぜながらスープをひと口。脂のうまみと甘みがじゅわっと広がり、スープにほどよいコクをプラスします。キレのあるしょうゆの風味に、脂の旨みとコクが後から追いかけてくる感じ、たまりませんね!
尾道を代表する製麺所『はせべ製麺』から仕入れた細めの平打ちストレート麺は、スープとほどよく絡んで、つるっとしたのど越しのよさ。
器にたっぷりとスープが注がれていますが、バランスのよい濃さと旨みなので、最後まで飲み干せちゃいますよ。
「まずはそのままスープを味わっていただきたいと思います。その後でコショウを足せば、二段階のおいしさを楽しめますよ」(田口さん)
メニューは「ラーメン」の並・大と、限定メニューの「チャーシュー麺」並・大という潔いラインナップ。
サイドメニューには、旨みあふれるジューシーな「黒豚餃子(300円)」と、高梁市産のお米を炊き上げた「ごはん(180円)」というラーメンには好相性の2点を用意。ラーメンにもう一品ほしい時にぴったりです。
田口さんは、「尾道のルーツの味を探りながら、その美味しさを伝えられるよう、まじめにラーメン作りをしていきたい」と話します。
お店には大型トラックも止められる広い駐車場があり、バリアフリーで利用しやすいお店です。昔ながらの尾道ラーメンの味と、うどん店の経験を生かしたお店づくりで、今後もますますファンを増やしていきそうです。
尾道ラーメン 桃竹
児島&倉敷で本場の味を伝え続けて25年。人呼んで、流浪のラーメン店!?
倉敷市の郊外に店舗を構える『桃竹』は、尾道市出身の店主、倉本さんがつくる本場の尾道ラーメンが評判のお店。
子どものころからなじんできた地元のラーメンを岡山の人にも伝えたいと、約25年前にオープンしてからずっと「尾道の味」にこだわり続けています。
四半世紀近くという長いキャリアをもつがゆえに、おそらく岡山にある尾道ラーメン専門店としては先駆的な存在。オープン当初から通う常連客の中には、尾道出身の熱心なファンもいるとか。
最初は児島エリアでお店を立ち上げたものの、ほどなくして場所を移転。その後は2回の立ち退きにあい、児島&倉敷エリアで3回以上も移転を繰り返してきたそうです。
そのため、ファンの間では「流浪のラーメン店」と呼ばれているとかいないとか…。
いや、すみません。私が勝手につけました!
「そう呼んでくれてもいいよ~」と、喜んで受け入れてくれる倉本さん。お優しいですね。屋台でもなく、これだけ場所を変えて営業しているお店は珍しいのではないでしょうか。
しかし、いくら場所が変わったとしても、ラーメンの味は昔のまま表情を変えていません。「この味を求めて、移転してもずっと通い続けてくれる『追っかけファン』に支えられています」と倉本さんは話します。
現在のお店は2017年に移転オープンしましたが、まだ4年とは思えないほどなじみのある雰囲気。まるでずっとそこにお店があったかのような懐かしさを漂わせています。
店内はテーブル席と座敷席があり、家族連れから一人客まで幅広く対応できるレイアウトです。
麺や背脂など、尾道産の素材を使用。本場の懐かしい味をそのままに。
ラーメンのメニューは全部で5種類。ベーシックな「尾道ラーメン(650円)」から、ボリューム満点の「自家製角煮ラーメン(850円)」、あっさり派におすすめの「中華そば(650円)」など、お客さんの味の好みに合わせたバリエーションを取りそろえています。
まずは定番の「尾道ラーメン」を注文。プルプルとした背脂がしっかり乗った、アツアツの一杯が運ばれてきました! すぐに出てくるスピード感もうれしいですね。
濃い色のしょうゆスープは、まろやかながらしっかりとしたコクを感じます。ガツンとした旨みに、ほんのり後口に残る魚介系の風味が上品さを加えています。
尾道ラーメンならではの細い平打ち麺は、ほんの少し固めに茹でているそう。コシがあって、のど越しも抜群です。
「尾道ラーメン店御用達の『はせべ製麺』の麺を使い、煮干しなどの魚介ダシや背脂も尾道の店から取り寄せています。素材から尾道産にこだわり、本場の味をそのまま持ってきたような一杯を目指しています」
しょうゆとダシ、背脂のコクが混ざり合い、しっかりと滋味が残る一杯。年配客にはあっさりめの飲みやすいスープに仕上げるなど、お客さんの層によってしょうゆの濃さを微妙に加減しているそうですよ。
サイドメニューは、これまた渋いチョイスの「おでん」1本50円。しかも『桃竹』のおでんは独自のしょうゆダレで煮込んだ甘辛い味わいが特徴です。
タレ色に濃く染まった具に一瞬びっくりしますが、食べてみると絶妙な甘辛さがクセになり、「あともう一串!」と思わず手が出てしまうおいしさ。あの味を想像するだけで白飯がいけちゃうくらい。甘辛タレ好きにはぜひ食べてほしい!
『桃竹』にはセルフサービスのおにぎりが用意されていることもあり、ラーメンやおでんとセット感覚で味わえる、と好評だそうですよ。太っ腹!
気軽に本格的な尾道ラーメンを楽しめる穴場的なお店です。ぜひ足を運んでみてください!
尾道らーめん 燈 岡山本店
味と接客のよさで人気上々! 抜群の旨みと食べ応えで、元気になれる一杯。
2019年11月にオープンし、岡山市街地の尾道ラーメン専門店として注目を集めている『尾道らーめん 燈(あかり) 岡山本店』。
飲み屋街に近く、昼休みのサラリーマンから仕事帰りの夜ご飯、休日のファミリーまで、全方位をフォローするかのような営業時間と客層の厚さで、じわじわと人気を広げています。
お店に到着すると、オーナーの竹内さんが帰りがけのお客様と談笑中。和やかな雰囲気から常連客の方かな?とお見受けしましたが…。
「当店では、基本的にお客様を店の外までお見送りするようにしています。味の追求にくわえて、気持ちのよい接客ができるよう心掛けていますね。元気なあいさつでお客様を迎え、そして感謝の気持ちでお見送りしています」
丁寧なんですね、素晴らしい!
左の竹内オーナーをはじめ、とにかく親切でノリの良いスタッフ陣。取材中も楽しい会話で盛り上げてくださいました。楽しく食事できるのも大事なポイントですよね。
「みんな厳しい接客指導?をくぐり抜けてきた精鋭たちです(笑)。私は別の飲食店を経験していたのですが、縁あってラーメン店を始めることになりました」
数あるラーメンの中から尾道ラーメンにたどり着いたのは、行列ができるという尾道の人気店『牛ちゃん』とのつながりがきっかけだそうです。
「『牛ちゃん』でも使用されている『井上製麺所』の麺は、尾道の多くの有名店で使われています。当店としても、尾道の製麺所から麺を仕入れているというのは大きいですね。尾道ラーメンでは王道の平打ち細麺で、伸びにくさを感じます。麺に限らずですが、よい素材を使うように徹底しています」
製麺所との縁によって生まれたこだわりの一杯、さっそく食べてみたいと思います。
腹ごしらえから飲みのアテまで大満足。お得な「1000ベロセット」に注目!
「もう作ってもいいですか? うちのお店、提供時間めっちゃ早いんですよ~」
スタッフさんの言葉通り、あっという間に運ばれてきたのがこちら。
大判サイズのチャーシューが乗った「尾道ラーメン(並)」700円。名入りの器に注がれたたっぷりのスープに、くっきりとした背脂が浮かびます。
「当店の尾道ラーメンは、コクがありつつもあっさりした風味で、ほどよい甘みを残しているのが特徴です。カツオなど魚介系の和ダシを少し効かせて、バランスのとれた味わいに仕上げています」
確かに、後口はあっさりしてクセは出すぎず、繊細な味わい。ひと口に尾道ラーメンといっても、お店ごとに違った個性がありますね。
「そうですね。スープは数種のしょうゆと削りガツオ、シイタケなどをブレンドして旨みを出しています。カエシを後から加えるのではなく、最初から寸胴で丸ごと炊いて、提供するときに味の濃さを調整します」
9時間煮込んだとろみのあるスープを引き立てるのは、脂身の少ない豚もも肉を煮込んだチャーシュー、シャキッとした食感のネギとメンマ。そして忘れちゃならない尾道仕込みの平細麺。
モチモチ食感の麺は、スープを吸っても弾力はそのまま。スープの旨みが足されていって、時間が経ってもよりおいしい!
尾道ラーメンをベースにした多彩なメニューも魅力で、「チャーシュー麺」や「うらじゃラーメン」など変化球的なラーメンも人気です。
「女性には『尾道ラーメン』の小サイズが人気ですね。小を組み合わせたこんなセットもおすすめですよ」
竹内オーナーのイチ推しというこちらは、「1000ベロセット」。尾道ラーメンの小とおつまみ一品、2杯のお酒がセットになって1000円ポッキリという魅惑のセットメニューです。
お酒はハイボール又はレモンサワー、おつまみはメンマとキムチのどちらかを選べます。プラス100円でラーメン並サイズに変更も可能です。
ちょっと飲みたい、でもラーメンも食べたい!というわがままな欲望に応えてくれて、予算的にもかなりお得。飲みがてら訪れる人も多く、瀬戸内のレモンを使い、鶏肉に漬け込んだ「レモン唐揚げ」などのおかずも人気だそうですよ。
尾道ラーメンファンの裾野を広げてくれる、『尾道らーめん 燈』。おいしさと使い勝手のよさに満足すること間違いなしです!
まとめ
今回お店を回って気づいたことがあります。それは、尾道ラーメンの専門店は製麺所へのリスペクトを表に出しているお店が多いのでは?ということ。
なぜなら、3軒ともに仕入れ先の製麺所の名前を屋号と並べて、のれんや器に掲げているんです。
尾道は有名な製麺所が多く、全国の尾道ラーメン店の御用達となっています。
尾道で作られた魅力的な麺との出合いが、ラーメンの味を決める上での重要なファクターとなっているようですね。
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