「岡山ラーメン★エクスプローラーズ」が大復活。
ラーメンが大好きな大盛りアニキとバリカタ姐さんがコンビを結成。毎月気になるテーマを掲げ、無理やり独断で3選します! そして再び岡山のラーメン界に参戦!←ダジャレ
アニキがチョイスし、姐さんがお店に突撃取材! 選びますとも、行きますとも、聴きますとも!
店主やスタッフが普段は話さないようなことをインタビューで引き出して、岡山のラーメンのさらなる魅力に迫ります!
《連載第11回》今回のテーマは「スープが白濁! トンコツラーメン」
皆さま。お元気ですか?
今回のテーマは「スープが白濁! トンコツラーメン」です。「なんでわざわざ『白濁』とか謳っているんだ?」とお気づきの方。着眼点が素敵ですよ! そなたにはジョセフという称号を与えよう!←それに何の価値が?
おそらく一般的に「トンコツラーメン」といえば、豚骨主体の乳白色のスープに細麺を合わせて、紅ショウガが乗ったり、替え玉ができたり、屋台で楽しんだり…というスタイルの、九州発祥といわれる白っぽいラーメンのことですよね。
一方、「岡山『の』ラーメン」の源流のひとつと言われているのは「豚骨しょうゆ」のラーメン。「豚骨ベースのしょうゆ味」ってことで、茶褐色で比較的濃いぃヤツですね。ワタクシのイメージでは少し甘みのあるやつですわ。
なので岡山では、独自のラーメン文化もありながら(←断定できないとはいえ)、交通や文化のクロスポイントであるがゆえに比較的早い時期から他エリアからの影響を受けているので(博多風ラーメンが定着したのも早かったのです)、その両者が混在。
つまり、「とんこつ(あえてひらがな)」というと、その両方があるので非常~に紛らわしいわけですよ。ワタクシのなかでも「トンコツラーメン」といえば、ずっと「白いの」だったんですが、ラーメン好きの人と会話をしていてかみ合わないことがしばしばあり、「あれえ?」と思った次第で。
「岡山で『トンコツ』言うたら、『豚骨しょうゆ』のことに決まっとるじゃろうがっ⁉」みたいに凄まれた覚えがあります。「自分の常識、他人の非常識」ってことですか⁉
ということでハッキリさせときます。今回は「白いヤツ」の方です。
もう四半世紀も前になりますか。九州出身の人がこっちにやってきて「ラーメンの色が違うぅぅぅぅ!」と驚愕しているのを見て、逆にカルチャーショックを受けました。福岡ではなく大分県の人だったのですが、ローカルな異文化交流に無暗に感動した覚えがあります。熊本の「黒マー油ラーメン」だって、基本は白ベースだしね。
今は情報も流通も発達して、ススキノで「博多トンコツラーメン」を普通に食べられる時代。本来の地域性も薄まってきています。しかしながら、その魂はきっと九州にあるに違いない! という岡山で食べられる白濁のトンコツラーメンを3選してみました。
数あるラーメンのなかでも、その特性から「トンコツ」は進化が著しいジャンルだと思っています。地域性や時代の中で変化した部分も多いでしょうから、そのあたりにも注目です。
それでは姐さん、行ってらっしゃい!
ごきげんいかがですか? 現場のバリカタ姐さんです。
独自のトンコツ文化が育まれてきた岡山の地。とはいえ、あのクリーミーな白いスープが好きなファンも多く、ご当地の味と魂を受け継ぐお店も徐々に増えてきました。
今回は、岡山市・倉敷市・津山市の各エリアから人気店をバランスよくピックアップ。それでは早速ご紹介します!
博多ラーメン にこいち
岡山駅近、注文から最短1分。博多っ子も認める!? 早い&旨いの名店。
真っ赤なのれんに思わず吸い寄せられる、屋台風の外観が目印の『博多ラーメン にこいち』。場所は『岡山髙島屋』の横にある『第一セントラルビル』地下1階。
2015年のオープン以来、本場の味にうるさい九州人からも支持されています。
JR岡山駅前から程近いアクセスのよさから、社会人や学生、出張で訪れるビジネスマンや観光客と、毎日幅広いお客さんが訪れるそう。
席はカウンターのみ。厨房との距離感も近く、店内は屋台らしい気さくな雰囲気に満ちています。
「うちは最短1分弱でラーメンができますので、お待たせすることなく出来立てを味わっていただけます」
そう話すのは大将の加藤宅弥さん。お腹が空いてるときや時間がないときにはうれしいですね! 奥さまと切り盛りするこのお店は、味もさることながら「早くて安い」ことでもファンの心を掴んでいます。
加藤さんは、「手ごろで美味しいラーメンを、サクッと食べて帰れる。肩の力を抜いて気軽に通える日常使いの店でありたいです」と話します。
熟成されたスープの旨みが絶品。飲みのシメや持ち帰りにもおすすめ。
今回注文したのは定番の「博多ラーメン」650円をベースにした「煮卵ラーメン」750円。スープは臭みを感じず、まろやかな甘みが口いっぱいに広がります。
その秘密は徹底した下処理にあるそうで、前日に取り分けたスープに新たなスープを継ぎ足す「呼び戻し」製法により、約3日間かけて臭みを除き、熟成された滋味深いスープを作るのだそうです。
自家製の辛子高菜や紅ショウガも博多ラーメンの名脇役。麺は博多の老舗製麺所から直送するこだわりぶりで、固めに茹で上げたストレート麺がスープと絡んで程よいモチモチ感に。このスープなら、替え玉もペロッといけそう!
場所柄、お酒と一緒に楽しむ人も多く、「博多一口ギョーザ」や「おつまみチャーシュー」、「酢もつ」など、心くすぐる酒のアテも充実しています。
2020年の夏からは「お持ち帰りラーメン」650円~も本格始動。家庭でも美味しく再現できるように、レシピには作り方のポイントや麺の茹で時間も分かりやすく書いてあります。
「福岡で初めて食べた博多ラーメンに衝撃を受けた」という加藤さん。本場の味を守りながら、岡山の人も楽しめるトンコツラーメンを追求しています。ランチタイムや仕事帰りに、気づくと足が向いてしまう…。そんなリピーターも多いお店です。
博多ラーメン とんとん 倉敷店
ロードサイドで連日賑わう、福山発の人気博多ラーメン。
博多ラーメンの専門店として1984年に福山市で誕生した『博多ラーメン とんとん』。現在は福山市と尾道市に3店舗を展開中で、岡山県内で唯一となる「倉敷店」は2007年にオープンしました。
場所は、岡山市と倉敷市を結ぶ県道162号線「岡山倉敷線」沿い。ロードサイドならではの広い共有駐車場も完備し、クルマでの立ち寄りやすさが魅力です。
取材に応じてくれたのは、「倉敷店」の立ち上げ時から店長を務める松原さん。入店して早々に、「ラーメン」650円を作ってくれました。
最初に運ばれてきたのは、具材がチャーシューとネギのみの一杯。
それをベースに辛子高菜と紅ショウガ、煮卵などの薬味や具材を後乗せするのが「とんとん流」です。好みのトッピングを好きな量だけ入れて、自分好みのトンコツラーメンにカスタマイズできるのが特徴です。
スープは1日100kg近い豚骨を使い、2日間かけてじっくり炊き込むそう。濃厚なのにしつこさがなく、独特のまろやかな風味が後を引きます。細麺も柔らかさとコシがあり、食べ応えも抜群です。
「旨みを凝縮した濃厚スープが美味しさの決め手。水と豚骨の分量や火加減、炊き込む時間などのバランスが大切で、今までの経験値から『いい塩梅』を見極めます」(松原さん)
常連がハマる「爆盛り辛子高菜」とは? 王道トンコツを自分好みにアレンジ!
サービスのトッピングは、紅ショウガとニンニク、ゴマ、そして辛子高菜など。自家製の辛子高菜は、油でしっかりと炒めることでしっとりした食感に仕上げています。少量でもピリっと辛くてクセになる美味しさ。
常連客の間では、ライスを頼んで辛子高菜をのっける「セルフ辛子高菜丼」にする食べ方も定着しているそうで、ラーメンと並ぶ隠れた人気メニューです。遠慮せずにたくさん乗せちゃってもいいですか?
「ええ。器の中が見えないほど山盛り乗っけるお客さんもいらっしゃいます。辛いもの好きな方は徐々に量が増えるみたいで、『スープの味が一体どうなるんだろう?』と気になりますが(笑)、ご好評いただいてうれしいです」(松原さん)
とってもおいしい辛子高菜ですが、くれぐれも食べ過ぎにはご注意を!
バリカタ姐さんが気になったのは、月曜&木曜日のランチタイムサービス。何とラーメン・ライスがセットで600円というから驚きです。もちろんトッピングは無料のままで、思う存分「辛子高菜丼」を楽しめちゃいます。
味とサービス精神のダブルの魅力で、連日たくさんのお客さんで賑わう『とんとん倉敷店』。愛される博多ラーメンの味をぜひ!
麺屋 大輔
手間暇かけた味で高評価。落ち着いた空間で珠玉の一杯を。
津山市郊外にある『麺屋 大輔』は、2003年に創業したラーメン店。津山市のファンが足しげく通う地元密着店でありながら、県内外のラーメン好きもたくさん訪れている人気店です。
店主の片山大輔さんは大阪のラーメン店2軒で修業を積み、トンコツラーメンのスタイルを確立した後に、地元である津山で独立。仕込みをしながら気さくに話しかけてくれる、穏やかで温かい人柄がお客さんに人気です。
今回はお忙しい合間を縫って、準備中のお店にお邪魔しました。
元は居酒屋だった建物を改装した店内。立派な梁が見える高い天井や、昔の木の風合いを生かした古民家風の空間が落ち着きます。
カウンターの上に掲げられているのは、和紙に筆文字で書かれたメニュー表。その隣には、お客さんへのメッセージと水彩画が書かれた書画もあります。
「お店にある水墨画やお品書きは、私の母や妻が書いたものです」と片山さん。ご家族の温かさを感じる上品なおもてなしですね。これならお客さんもくつろいで食事できそう。
ひと口ごとに旨みが広がる濃厚スープ。香ばしいあぶり肉も絶品!
注文したのは、片山さんイチ押しの「特製とんこつ」1050円。スタンダードな「とんこつラーメン ふつう」750円に、あぶり肉と煮卵が付いています。
程よい厚みのあぶり肉は、タレで煮込んだチャーシューを焦がすように炙ったもの。香ばしい脂身と肉の味わいが食欲をそそります。あぶり肉をスープに浸せば、より柔らかくジューシーな味わいが楽しめるんですよね。
スープは、下処理から本炊きまで2日間をかけて、豚骨に火を入れて臭みを排除。スープを濾しながらダシの余計な雑味を省くことで、クセのないクリーミーな味と舌触りのスープが完成!
コクがたっぷりなのにスイスイ飲めるのが本当に不思議ですね。「飲み干すのがもったいない!」と感じるほどにハマる美味しさです。
麺は岡山の製麺所『富士麺ず工房』の細麺。むっちり柔らかい食感の麺に、トロミのあるスープがよく絡みます。写真撮影に際しては、片山さんが自ら箸で麺を上げてくださいましたよ。やっぱり優しい。
『麺屋 大輔』のラーメンは、「とんこつ」と「しお」の2種類が基本。材料の選び方から仕込み、盛り付けまで徹底したこだわりによって生まれています。「しお」に使う豚骨は部位を変えてダシを取り、あっさりした塩の風味に合うスープに仕上げているとか。
厨房の奥には、「大輔流台湾拉麺」900円という気になるメニューが貼られていました。これは平日の夜限定で出されるピリ辛風味のラーメン。辛味好きにはぜひ味わってほしい一杯だそうです。
「地域柄、いろんな年齢層のお客さんがいらっしゃるので、トンコツ以外の味の好みにも応えたくて」(片山さん)
確かな味でファンを魅了し続ける片山さん。津山に出かけた際は、ぜひここのラーメンを目指して足を運んでほしいです。
まとめ
九州がルーツのスタンダードなトンコツの旨さを改めて知った今回。
具材や作り方はシンプルなのにスープの味わいや濃さ、トロミ具合に違いがあり、お店ごとの個性がしっかりと感じられます。
紅ショウガや辛子高菜で味を変えつつ、自分好みの一杯にできるのも実に懐が深い!
自分流の白トンコツの味を極めてみてはいかがですか?
<消費税率の変更にともなう表記価格についてのご注意>
※掲載の情報は、掲載開始(取材・原稿作成)時点のものです。状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、利用前には必ずご確認ください
※お出かけの際は、ソーシャルディスタンスの確保や、熱中症に注意をしてのマスクの着用、手洗いや消毒など、新型コロナウイルス感染予防の対策への協力をお願いします