69♥パンめ 『パンの店 IKEPAN』の「発酵バターのレーズンサンド」
朝ごはんに、おやつに、食事に添えて…まいにちのいろんなシーンで登場する「パン」。岡山にもたくさんのパン屋さんがあり、「この店のこのパンが好き!」という自分だけのお気に入りがある人も多いのでは? パンに恋したTJ女性スタッフが、とっておきの「惚れパン」を心ゆくまで語ります!
[ナビゲーター]しょこ
TJスタッフ暦13年目のアラサー女子。パンを買いに行くために遠征し、自分でも家で焼くほどのパン好き。朝ごはんは必ずパンと決めており、なかでも一番好きなのはベーグル! パンシェルジュ1級にめでたく合格し、「マスター」の称号を手に入れる。子どものころの将来の夢は、パン職人の旦那さんと結婚すること。
津山を代表するベーカリーが移転アップデート
広い土地を有するわが岡山県は、「晴れの国」と称されるとおり年間の降水量が少ないのが特徴。産まれてからずっと岡山に住んでいる私としては、天気予報で雨になっていても実際は晴れだったという経験もよくあります。
それもあってか、小麦をはじめパンづくりに欠かせない作物にも恵まれているなぁと感じます。今回訪れた県北・津山エリアに名ベーカリーが多いのもそのおかげかもしれませんね。
そんなこの地で今回訪れたのは、まわりをのどかな里山に囲まれた森のなかの1軒。
廃園になった『高田幼稚園』の園舎をDIYで再生ののち複合施設にアップデートし、そちらに新店舗を構えることとなった『パンの店 IKEPAN』さんです。
同じく施設内に入居する『森永製陶所』や『NiBBLES COFFEE‼』とともに作り上げた店内には、いかにもおいしい香りのするかわいいパンがたくさん並びます。
とける発酵バター、レーズンの酸味が交じり合う
目移りするほどおいしそうなパンが並ぶなかで、私のイチオシがこの「発酵バターのレーズンサンド」248円です。
すきまからのぞくレーズン&バターは見るからにたっぷり。その主張が強めなので、あえてパンはベーシックでとげのない感じに仕上げているそう。
また特徴的なクランブル状のバターは、一度加熱してラム酒・キビ砂糖と合わせ、再度冷やすことで生まれたもの。このそぼろのおかげで、口に入れると熱でとけてパン生地やレーズンと一体化しやすくなるんです。
アイスやチョコのフレーバーでもおなじみで、つねに人気ランキング上位に入るラムレーズン。昔は苦手だったラム酒の大人っぽさが、年を重ねるにつれおいしいと感じるようになったのはいつごろだったっけ。
今ではベーカリーでラムレーズンものを見つけるとついつい買ってしまいます。そのなかでも『IKEPAN』のものは一体感が秀逸でお気に入り♪
生地そのものの深みとおいしさ段違い
あんバター好きの私の目に真っ先に止まったのは「あんバター」248円。
上品な甘さのつぶあんに風味のよさと軽い味わいが持ち味のパンは相性抜群。バターで塩気がプラスされたことによって、あんこの甘さがよりきわだって感じられるんですよね。
それでいて口にいつまでも残らない、すっきりした甘さ。ぺろりと1個完食できてしまいます。フィリングがずっしりはさまっていて、持つと手には重さをはっきり感じるのに不思議ですよねぇ(だから太るんだよ! なんて突っ込まないでくださいね(笑))。
似たようなビジュアルだけど、味の方向性は反対の「ブルーベリークリームチーズフランス」と「カマンベールチーズフランス」各270円。
こうして並べてみるとてっぺんにぱくっと開いたお口がかわいくて、どっちから食べようか迷っちゃう。決められないならいっそ交互?!に食べるのもありかも。
ブルーベリーの甘酸っぱさと、それをアシストするクリームチーズのまろみが好相性でやみつき。
焦げたチーズの香ばしいコクが口のなかでパンに包み込まれる感覚がうますぎてやみつき。
やめられない、抜けられない、もうここは池じゃなくて沼かもしれません。
そうそう、移転にともない、新たにプラスされた魅力にも触れておかないと。
それはバゲットサンドをはじめ食事として楽しめるサンド類が充実したこと。サーモンやローストビーフ、生ハムといったサンドが多彩にそろい、食べごたえもばっちりです。
しかもメインの具材ごとにチーズの種類も変えるというこだわりよう。ブランチやランチに食べたい軽食として、日常に寄り添うパンの楽しみを広げてくれる品々ですよ。
この日撮影させてもらったのは「カスクート 生ハムとブリーチ―ズ」518円。バリっと歯ごたえ強いバゲットも、そのものがおいしくてたまりません。
お隣の『NiBBLES COFFEE‼』のこだわりコーヒーと一緒に味わうのもおすすめですよ~。
おすすめ商品といえばこれも…。
とりこになるファンが多いという「カヌレ」237円。
食べた方の評によると、バターの豊かな風味がもっちり生地とあいまってじゅわっととけていくそう。聞いただけでよだれがたれちゃいそうです。
誰もがもらってうれしい品だと思うので、手みやげや贈りものにぜひ選びたいですね。
ほんわかなのに熱いソウルも感じる店主夫妻
約20~30種類と、厳選されたパンが並ぶ店内。どのパンも派手さはないけど、ひと口食べれば大事に作られていることがしみじみわかります。
小ぶりな大きさが子どもや女子にもぴったりサイズ。たくさん食べられる人にはきっと、あれもこれも買いたくなっちゃうこと間違いなしです。
北海道産小麦をメインに使った繊細でやさしい味の生地なので、柔らかなパンたちが私は好み。何度でも飽きずにくり返し通いたいお店ですよ~。
定番約20種類のほか、季節商品もときたまお目見えするそう。
ただ、季節商品は本当に気まぐれとのことで、店主さんが「作るのに飽きたらすぐやめちゃう」から、いきなりなくなったり…。
まさに一期一会の出会いなので、気になったら即買いがマストですね。
元幼稚園だけあって、かつては遊戯室や教室だったところに子ども向けの絵本を発見。「子どもたちの思い出が詰まったこの場所を、この先にもつなげていきたい」という情熱とソウルがビシビシ感じられます。
20代後半のとき、突然のひらめきでパン屋さんになろうと決めたと語る池口さんは、仕事も趣味のバンド活動も全部やめ、修行のために倉敷に移住してしまいました。
その後独立を果たし、故郷である津山の地で『IKEPAN』をオープン。
つねに身近な人が「おいしい」とよろこぶ笑顔を思い浮かべてパンを作っているそう。だからこそ、私が食べて感じた「やさしさのあるパン」になるんでしょうか。
今では、彼の作るパンを求めて遠方からも数多くのお客さんが訪れています。その人たちのためにも、いつまでもおいしいパンを焼き続けてほしいですね。
ちなみにこちらはもともと、この連載コーナーの「36パンめ」で紹介した『KONPAN』さんで修行をされたご主人・池口朝章さんが奥さまの友美さんとともに開いたベーカリー。
「食べた人に笑顔になってもらえるように」と毎日ふたりで心を込めて手作りしているとおり、仲よしな空気感が伝わってきます。移転してますます進化を続ける、あったかくて素敵なお店でした。
『パンの店 IKEPAN』の店舗データ
Information
パンの店 IKEPAN
- 住所
- 津山市下横野1172-5 旧たかたようちえん内 [MAP]
- 電話番号
- 0868-27-2051
- 営業時間
- 10:00~16:00 ※売切れ次第閉店
- 休み
- 日・月曜
- 駐車場
- 20台
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