花籠に盛られた彩り豊かな小鉢。刺身に焼き物、揚げ物、炊き合わせ、茶わん蒸し、自家製豆腐と和食のコースをぎゅっと凝縮した構成は、目の前に供された途端に期待が高まる。華やかなこれらの料理を振る舞ってくれるのは、2019年に開業した『Gerne essen』。オーナーの草野潤さんは、寿司や精進料理など多彩な調理経験を持つ。洋食や中華料理のアイデアも加わった料理は、和食出身ならではの丁寧な仕事の上に成り立っている。なかでも、その丁寧さが表れるのは、料理の味を左右する合わせ調味料。醤油ひとつをとっても五種類を使い分け、刺身醤油は自らブレンド。炊き合わせの味付けも、ひとつひとつの具材によって忠実に変えている。料理を口に運んでから、そのこだわりには気づかされるばかり。一方で、魚の焼き物にはトマトソースを、「ふろふき大根」のみそには、濃ピンクのビーツで色に変化を加えるなど、その創作性も愉しい。小鉢をひと皿ずつ味わって、店名に込められた思い「食べる幸せ」を実感しよう。

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