2021年3月に岡山市柳町に開業した『あゆみ』では、古くから縁起物として日常的に親しまれてきた蕎麦を、四季の彩りを添えた懐石料理として、ハレの席の美食へ昇華。華やかな前菜に始まり、期待が高まっていくひと皿が続くなか、コースのハイライトは蕎麦。抜き実を丸ごと挽いた十割蕎麦で、挽き立て、打ち立て、茹で立てにこだわる。つるりとしたのど越しもさることながら、噛めば蕎麦の風味がしっかりと香り、余韻を引く。どのコースでも、蕎麦は温と冷の2種類から選べ、鴨の旨みたっぷりの「鴨蕎麦」にするか、岡山では珍しいクルミつゆとざるつゆが供される「ざる蕎麦」にするか、悩ましいところだ。コースのひとつ、全7品がふるまわれる「蕎麦懐石 雅」5500円では、ひと皿ごとに「蕎麦」がアクセントとなり、最後まで蕎麦尽くしの料理を愉しませてくれる。日常的に味わえる蕎麦を、ひとつ上のハレの場へ。その上質な提案を、ぜひ直接五感で愉しんでほしい。

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