こういう連載を続けていると「オススメの1軒を教えて!」「一番好きな店はどこ?」などと聞かれ、答えに窮することがよくあります。岡山はいい店が多すぎて困るんです。
純粋に「いいお店を知りたい!」という気持ちで聞かれる方もいれば、中には「こいつのレベルを測ってやろう!」と、こちらを試してこられる人もいるんですね。別に試されて困ることもないので、挑発には素直に(?)対するのですが、普通は「今回はラーメンどこにしようか?」と思っているから聞くわけですよね? それなら好みが分からなければ、答えようがないわけですよ。豚骨好きとか、老舗が好きとか、あっさりか、こってりか、ボリュームか、エリア重視か? それによってオススメする(「好きだ」と断じる)お店も変わってくるんです。それがもしも「駅(JR岡山駅)から近くて、安くて、おいしくて、穴場な店」だったりしたら、ワタクシはよくここのお店の名を挙げております。
とはいえ、自らが訪問をするのは久方ぶり。「おお、元気だった?」と迎えてくださったのはマスター藤井さん。メニューを見て「黒正油をまだ食べたことがないんですよ」と告げると、「もうレギュラーメニューになって1年くらいになるかなぁ」と。どのラーメンも鶏がら100%がベースで、野菜もいっさい加えていないもの。その基本に忠実に「黒」を作ってみたとお聞きしていたので楽しみだったのです。いわゆる「黒マー油系」ではなく、しょうゆをコトコト煮詰める手法だそうで、某ラーメンイベントでしか食べたことのない「富山ブラック」に近いもの。「あれは魚醤だけどウチのは…秘密!」だそうです。「新味(黒正油)」500円は、しょうゆ味がガツンと来てからスッキリ後口で絶品でした。
このお店の魅力は、本格ラーメンと、サイドメニューのセットもの。ラーメン単品はいずれも500円で、①元味(醤油) ②新味(塩) ③新味(黒正油) ④新味(黒みそ)の4種類。このいずれかに「Aからあげ・ライス」「Bミニデミかつ丼」「Cハーフチャーハン」「Eとりわさ重ミニ」「Eの1とりわさ・セセリコンビ重」「Eの2セセリ重ミニ」「Eの3とりわさ2段重ミニ」をつけて、各680円(Eの3のみ830円)なんです。 また、「レディースセット」はハーフラーメンとA~Eの一品で550円とさらに破格で人気! 写真は「②塩のE」で、これで680円ですよ! このとりわさシリーズが評判で、かなり派生をしているのが分かりますね。鶏のタタキは鮮度あればこそのメニュー。久々にこの味と再会しました。
オープン時は看板に「スープはとりがら、お店はひとがら」と書いてありましたが、今は「ひとがら」がはがされています(残っている看板もあり)。「だ・か・ら、あれは看板屋さんが勝手に作ったの! 自分で『ひとがら』なんて入れないよ。そんな恥ずかしい!」との謙虚な言葉を聞くまでもなく、一見して「いい人だ」と思わずにいられないグッド・ルッキングなマスター藤井さん。以前は鶏料理『とりまさ』を経営されていて、ラーメンに転向。そのため、鶏メインで、鶏料理も多いのだとか。「15年ほど鶏ばかりと向かい合ってきた。鶏は高タンパクで低カロリー。さっぱりしているし、最高の食材だと思うよ」と思いの強さを強調されます。「ラーメン店はハードな仕事だけどね」とも真情を吐露。
店に入って「ああ、カウンターだけの店か」と思うのは早計というもの。奥にはファミリーや女性グループ、サラリーマンの団体に人気の座敷席があります。「27、8年間サラリーマンをやっていたんで、お昼や仕事帰りくらいゆったりしたいかなと思ってね」。なるほど。「価格帯もね、昼に使える金額が分かっているから、ラーメンをワンコイン設定にしたんです。で、男性はご飯ものも食べたいでしょ。両方で600円台には抑えたくって…」。以前は衣料関係の仕事をされていたマスターに「大きな転機」が到来し、「純粋にしたいことをしたい」と外食の世界に飛び込んだそう。「ラーメン店は長時間の重労働で何年やれるかわからないけどね」と。まだまだ長くやっていただきたいので応援します!
「トリガラ」と「ヒトガラ」に支えられた1軒は、口コミでその確かな味やサービスが広がり、評価を得ています。あなたもそれを満喫したら、誰かに教えてあげてみてください。
鶏オンリーの、スープ本来の味わいを満喫して欲しい店!
鶏料理を得意とするマスターが、「鶏本来の味わいを楽しんでほしい」と腕を振るう。全ラーメン共通のベースは、鶏がらのみをとろ火でコトコト6時間炊き込むという。「ラーメンが4種類。セットのサイドメニューが5種類。手間がかかるんよ」と笑っているが、「2月には九州風の『元祖・とりめし』を出そうかと思って!」と、さらなる高みを目指して奮闘中だ。「料理がうまいのは当たり前で、同じくらいに人間(従業員の人格)が大事。明るくて率直でないと。そのマッチングがあって初めて安心して食べていただける」の言葉通り、店主やスタッフの人柄についているファンも多い。「地どり鍋」2900円(1人前)など、鍋メニューもあり(一部要予約)。要注目!
Information
まるまつラーメン
- 住所
- 岡山市北区野田屋町1-3-11 [MAP]
- 電話番号
- 086-227-9289
- 営業時間
- 11:30~14:00/18:00~22:00
- 休み
- 日曜、祝日
- 席数
- 23席
- 駐車場
- なし