※閉店しました。
今回、私が全国に50人放っている「ラーメン忍者(略称・ラー忍)」が珍しく仕事をしました。新しくオープンしたお店と驚きのメニュー内容、加えて裏メニューの情報です。
一段と寒さがこたえる日の午前のこと。「ご報告にござる」。ラー忍15号の富嶽さん久しぶり。元気してた? 「この11月、2号線バイパス古新田の上り線沿いにオープンした『おかじゃこ』が評判にて」。おお、そこなら知っとるよ。「拙者、早速調査にかかったところ、 その名が示すとおり、じゃこ(煮干し)のラーメンがメインではござるが…」。が? 「これが『濃いのにさっぱり』『こってりなのにあっさり』な不可解さにて」。いや、でもさ、そういううたい文句のお店は多いのよ。そのお店ならではの特色ってのがさ…。「冬の陣にござる」。は? 「じゃこの軍勢が押し寄せてくるでござるよ。赤備えにて砦を築かねば、防ぐのは不可能にて候」。なんか大河ド○マみたいでござるな(うつった)。「そして」。そして? 「サイドメニューのコストパ…」。ちょっと富嶽さん、大丈夫? 「裏メニュー…。黒いダイヤ…。う、危険! ご麺…否、ご免!」。消えた。どゆこと?
寒さも一気に吹き飛んだのでお店へ。対応してくれたのは店主の小林さんです。煮干し…いわゆる「じゃこ」を使ったラーメンですね。「岡山で前面に『じゃこ』を打ち出した専門店を作りたくて、大阪や東京都心などを食べ歩いたんです」。近年流行ってますね。「でも都会の味はじゃこの風味が強すぎて、岡山の人には合わないと思いました」。なぜですか? 「素材が主張し過ぎてるんです。あとは『しょうゆラーメン』にじゃこを合わせたものが多かった。それを『豚骨しょうゆ』ではない、九州的な『豚骨ラーメン』でできないかなと…」。確かにそれはあまり聞いたことないですね。「それから岡山は讃岐うどん文化の影響が色濃いですから、じゃこ(イリコ)も上品な味付けが好まれると思ったんです」。でも豚骨でそれを実現するのは大変ですよね。「そこで関東と尾道の『(乾物の)煮干し専門店』に相談し、製法や扱いを学びました」。詳しくは企業秘密と。
「看板の『煮干し豚骨中華そば』650円です」。一般的な、「中華そば」というルックスではないですね。「昔ながらの懐かしい味わいをイメージして、今風の濃厚さを加味できないかなと試行錯誤しました」。この薄茶はじゃこの色ですか。まずスープを…。本当にじゃこ、じゃこ! じゃこが攻めてきますよ。今のワタクシ、じゃこを丸飲み中です。濃いぃ! でもじゃこなのであっさり~。ラー忍の報告は本当でした。これは新しいですね! 「濃厚な豚骨の中に、じゃこの風味がスルスルっと上手にもぐりこんでいくような感じですかね」。分かりやすい解説をありがとうございます。麺もいいですね。「岡山の老舗の製麺所のものを」。あ、あっちのほうですね。「コシと硬さがないとスープに負けてしまうので、粉密度が高いものを合わせています」。粉密度が高い? 「ハンバーグを作るときに手でパンパンと叩くでしょ? 空気抜きで肉と肉の密度があがっておいしくなるように、密度の高い麺は粉と粉とが繋がっているんです」。
これは? 「『エビ水餃子(3個)』です。ラーメンと一緒に気軽に楽しんでいただきたいと思い、サービス価格で」。はい、ずばり当てにいきます。これは280円! 「いえ、100円です」。は? 「100円。3つ入りで100円ですよ、お客さん!」。急に通販番組みたいになりましたけど、本当ですか? 「もちろん、安いだけじゃありません。どうぞめしあがってください!」。ひと口サイズですね。ん? うめぇええええ。役所○司さんじゃなくても咆哮しますよコレは。ありがたいですが、本当に100円でいいんですか? 「オーダーはラーメンをご注文の場合に限りますが」。そりゃそうでしょう。「もちもち食感の皮に、ぷりぷりのエビが入っていて、青ネギで確かな歯ごたえを加えました」。そして、さらにタレの風味がすべてをうまく調和させていて、見事な一品に仕上がっていると思います。「ラーメンのトッピングも、ネギ、メンマ、キクラゲなどが各50円。チャーシューも100円とお安くしています。自分好みにアレンジしてください」。
「それから、ここだけの話ですよ。裏メニューがあるんです」。そうそう。黒いダイヤとかって…。何なんですか? 「当店は券売機を設置していますが、ドリンクメニューを押してみてください」。こうですか? あ、飲み物の中になぜかラーメンが。『黒トリュフ塩豚骨中華そば』750円! ラーメンにトリュフ? 「『黒トリュフ塩』です。試してみますか?」。もちろんです。「どうぞ」。あれ? この別皿に乗ったのが黒トリュフ塩…? なんか想像と違うんですが…。 「まあ、まずラーメンだけを食べてください」。ベースのラーメンは、じゃこの入ってない『とんこつ中華そば』なんですね。うん、うまいです。「それでは、黒トリュフ塩を少しだけ投入してください」。では数粒を…。なんじゃこりゃああ。たった少しなのに、味が激変しましたよ。香りがすごいですね。「多く入れると味が変わり過ぎるんです。少しずつ入れて、味の変化を楽しんでください」。参りました。
国道2号線バイパス沿いに登場した新店は、想像の斜め上を行っていました。ぜひ足を運んでみてください。じゃこが苦手な方は、「とんこつ中華そば」650円をどうぞ。これが2016年最後の記事になります。年末に読んでくださってる皆様、よいお年を!
国道2号線バイパス沿い、古新田にできた注目の新店。
「岡山にまだあまり浸透していない、じゃこを使ったラーメン専門店を作りたい」。そんな想いが実って2016年の11月にオープン。全体的にリーズナブルな価格設定に抑えられており、替玉が1玉50円、半玉30円など、良心的な値段で財布に優しい。「店内を落ち着ける雰囲気にしたり、味わいを昔懐かし風にするなど、カップルなど若い方はもちろん、お子さんやご年配の方も安心して食べられるように配慮や工夫をしています」と小林店主。麺の固さもバリカタ、固め、普通、やわの4種類から選ぶことができる。「有名・無名を問わず、全国のお店に食べに行くなど、研究に余念がありません。何か『気付き』があればそれをヒントにし、『岡山で提供して喜ばれるにはどうすればいいか』をまず考えますね」と、新しい発想を求めて各地に足を伸ばすことを苦にしない姿勢をみせている。店主がこだわりぬいた入魂の「濃旨」スープを堪能しよう。
Information
煮干豚骨中華そば おかじゃこ
- 住所
- 岡山市南区古新田1452-1 [MAP]
- 電話番号
- 086-239-7563
- 営業時間
- 11:00~16:00/18:00~22:00 ※土・日曜、祝日は11:00~22:00
- 休み
- 木曜 ※祝日の場合は営業、翌日休み ※年末年始は未定
- 席数
- 47席
- 駐車場
- 20台