「SNSによる双方向の交流によって…」などとささやかれて久しいですが、ワタクシもやっとりますよSNS。そこから皆さんの 意見を伺ったり、感想をお聞きして反映したりとか。まあ、いろいろと。
その日の朝も「ワタクシのみのセルフチョイスでは偏りが生じてしまう。色んなニーズにお答えするためにも、皆さんのお力をお借りしたい!」と、窓から小鳥さんにエサをやりながら考えておりました。するとタイミングよく来たんですよ。リクエストが! その主は県外在住の「フランスラーメン」さん。ガトーでショコラなミルフィユのブイヨンって感じの素敵なお名前です。最初のブログのころから愛読されていて、精力的な書込みもいただいていた方で、氏曰く「ぜひ『餐休』を紹介してくれろ!」と。おお、『餐休』! 彼(か)の店は岡山の民にとって「中興の祖」的名店。聞けば「フランスラーメン」さんは岡山出身で、現在は他県にお住まいとのこと。素敵なエピソードがあるのでしょうか?
早速「フランスラーメン」さんに連絡をしました。「東京・大阪・岡山と日本三大都市(笑)で生活しましたが、客観的に見て岡山のラーメンは地元の人が思うよりレベルが高いと思います」。その言葉を待ってました! 「そんな私が帰省時に必ず寄るのが『餐休』なのです。約30年前に食べていた岡山駅西口の店の、懐かしの味に似ている気がして」。ほうほう。「『餐休の支那そば』は絶対ハズレがない。『元祖岡山そば』と呼ばれた『あの味』そのものですよ」。あ、ゴマの『名物そば』じゃないんですね。その言葉を受けて、早速、お店に直行! 出てきた「支那そば」700円は、鶏ガラに豚骨を合わせ、キリっとしたのどごしのよさを与えるしょうゆを加えた味で、まさに昔ながらの「伝統のしょうゆスープ」! 『冨士麺ず工房』製の中細ストレート麺とうまく合います。「フランスラーメン」さんは若いころ、「コールスロー+唐揚げのLセット」+165円を、必ず一緒にオーダーされたとか。
「フランスラーメン」さんは「支那そば派」ですが、ワタクシは「餐休2枚看板」のもうひとつ、ご存知「名物そば」800円を推します! いずれも創業時からのメニューで、「『名物そば』は、創業した社長がサラリーマン時代、出張で行った中国で食べた『担担麺』がルーツではないでしょうか?」とご子息の宮重克馬さん。麺をすくっただけで鼻に抜ける香ばしくも濃厚なゴマの香りは、「胡麻醤(チーマージャン)」と呼ばれるペースト由来ですが、本場のものよりさらに香りを強めたとか。「30年前ですから、『ゴマラーメン』としては岡山…いや、全国でも先駆けでしょうね」とはすごいなー。「ウチは麺を大きな中華鍋で泳がせるのが絶対的なこだわりですね」。そうすることで麺がダマにならず適度な水分が残るとか。評判の「チャーシューおむすび」165円は、「1992年に社長が『チャーシューのヘタがもったいねぇな!』って発想から開発したんです(笑)」。「名物そば」と相性抜群です!
宮重克馬さんに歴史をお聞きします。「話は30年前にさかのぼります。私がまだ6歳のころ、大雲寺のたった9坪の店からスタートしたんです。当時のこと、よーく覚えてますよ」。社長は福岡出身とか。なぜ「豚骨ラーメン」ではなく、鶏ガラメインのしょうゆラーメンだったのでしょう? 「父は当時水島で働いていて、岡山の人気店の味をとことん研究し、『豚骨ラーメンは合わない』と思ったのでしょう。この地に馴染みのあるものをあえて選び『岡山でNO.1のラーメンを目指す』という想いで始めたそうです」。うーん、納得です。そういえばゴマラーメンなどは先進的ですね。「でも理念として『すべて手作り』という部分は絶対にブラさない。例えばメンマでも、アク抜きから始めて、チャーシューと同じタレで煮込んで、一番手間がかかるんです」。徹底してますね。「でも、若いスタッフがその精神を受け継いでがんばってくれてるんです」。写真左は前潤哉さん。右は北田裕太郎さん。男前!
「ひとくち餃子」400円も、創業以来の人気メニューです。「創業当時、あまりにも人気で。なんせ9坪ですから、間に合わなくて床に鉄板を敷いてまで作ったりして。当然限界だったので大雲寺のお店のすぐ近くで餃子専門店を開いたほどなんです。ラーメンは本店から出前をして…」。すごいお話です! フリークの方ならご記憶されてるかもしれないですね。具は豚ミンチとニラとキャベツ…と至ってシンプルですが、赤身と脂身の配合に細心の注意を払って配合するなど、かなりレベルの高い味です。あ、そういえばひとつ疑問が。「何でしょう?」。ここ『江崎総本店』と『泉田本店』。どっちが本当の「本店」なんですか? 「それはね(笑)。両方『本店』なんですよ」。よ~く分かりました(笑)。
郷土愛あふるる「フランスラーメン」さんいかがでしたか。帰省の際には郷愁の味を満喫してください。皆様もこういうリクエストをぜひ。フェイスブックなどでお待ちしております!
1986年創業。今年30周年を迎えた2枚看板の人気店!
脱サラして9坪の店を開業後、30年後には全7店舗に展開。岡山版「成り上がり」を体現した宮重美信社長は今年で68歳になるという現在も、昼は自ら麺をあげるなど「生涯現役」を貫く。「麺あげの最中に倒れて、生涯を終えたい」との発言は、ラーメン愛あふれるも、縁起でもなさ過ぎ。メニューを厳選し、多くのバリエーションを提供しないのもこだわりのひとつ。それも「すべて手作りにこだわり、岡山NO.1を目指す!」という信念があればこそであろう。『江崎総本店』の厨房付近の壁に掲げられている「美味しいラーメン店の探し方」なる文章は、もはや「哲学」ともいえるもので、この店舗や経営陣の考えを現していて興味深い。「ほかの店と違って、うちには特別な材料はひとつもないんよ。岡山産の安心で安全なおいしいものを使って、針の先を合わせるように丁寧にひとつひとつ作るんじゃ」の言葉も心に響く。あなたは「支那そば」派? 「名物そば」派?
Information
支那そば 餐休 江崎総本店
- 住所
- 岡山中区江崎64-7 [MAP]
- 電話番号
- 086-277-1539
- 営業時間
- 11:00~AM1:00 ※日曜は~21:00
- 休み
- なし
- 席数
- 39席
- 駐車場
- 18台
- HP
- http://www.4739.co.jp