この秋、岡山有数の観光拠点である『倉敷美観地区』に、新たなスポットが誕生!
近現代美術中心のコレクションを有することで世界的にその名を知られている『大原美術館』の新たなる取組みとして注目を集めている。
2016年までこの地で営業を行っていた『中国銀行 倉敷本町出張所(旧第一合同銀行倉敷支店)』の建物が『大原美術館』に寄贈されたことを受け、「100年愛された銀行建築を児島虎次郎館に再生するプロジェクト」に着手。2021年10月からの一般公開が実現したのだ。
この建物は、薬師寺主計の設計で1922年(大正11年)に『旧第一合同銀行倉敷支店』として竣工したもので、1930年(昭和5年)に『中国銀行倉敷支店』に改称。
大正建築の意匠が残る名建築として、地域の人や観光客に長く愛され続け、何度かの改築工事や改称を経て、2016年(平成28年)まで銀行業務を行っていた。
銀行としての役割を終えたあと、同年にこの歴史ある建物を『中国銀行』から譲り受けた『大原美術館』は、「児島虎次郎館(新児島館)」として活用すべく準備を開始。この8月に『新児島館(仮称)』の第一期工事が無事竣工を迎えた…という流れだ。
本来なら建物の築100年を記念して、2022年に新たな展示棟としてのスタートを切る予定だったが、折からの新型コロナウイルスの影響を受け当初の計画を修正。規模と内容を変更して今回、一般公開を実施し、あらためてグランドオープンを目指すこととなった。
今回は気になる館内の様子を紹介しよう!
鮮やかな紅い色彩が際立つのは、グランドオープン後に児島虎次郎の作品が陳列される予定の展示室。広く奥行きのある空間に、これから生まれるさまざまなつながりに期待が膨らむ。
こちらは、最大50名収容のレクチャールーム。単に美術品収蔵だけでなく、教育普及や鑑賞支援、そして研究機関として作品や資料と研究者をつなぐハブ・サロンでありたいという想いが込められている。
多くのアイテムであふれるポップアップストア。「ゴーギャンのART Tシャツ」3300円など、収蔵作品にちなんだ商品も多数。ここだけでしか入手できない限定商品も。また、通りを歩く若い層の観光客に向けて、ポップなアイテムを中心にセレクトしているのだとか。
そして今回の訪問のお目当てだったのがこちら。
ヤノベケンジの作品「サン・シスター(リバース)」。
「サン・シスター」は以前、『大原美術館』に展示された「サン・チャイルド」の姉のような存在として、東日本大震災による被害や苦難の日々を乗り越えることを願い、希望ある未来の姿として2014年に制作された。
「サン・シスター」は、普段は座りながら目を閉じて深く瞑想。時折、立ち上がりながら手を広げて目を開く動作を繰り返し、再生の夢と希望の訪れを象徴的に表している。
今回、銀行建築を新たな美術館施設として再公開する『新児島館(仮称)』の姿にあわせ、建物の「転生」とコロナ禍からの「再生」を願って、何度でも蘇るという伝説の鳥「不死鳥」をモチーフに、「サン・シスター(リバース)」として装いを新たにする運びとなった。
衣装は京都や福島の学生と共同制作されたもので、今回新たに加えられたものを含め、龍や虎、麒麟や亀など多くの霊獣や守り神をまとわせ、スカートは火の鳥の羽をイメージした。
ゆっくりと立ち上がるその姿は、まるで火の鳥のように「転生」し、「再生」を願って飛翔していくようだ。
普段は座って瞑想をしており、立ち上がる姿を見ることができたらラッキー。幸運を願いながら訪れてみよう。
Information
大原美術館 新児島館(仮称)
- 住所
- 倉敷市本町3-1 MAP
- 電話番号
- 086-422-0005(大原美術館)
- 営業時間
- 10:00~16:00
- 料金
- 無料(当面の間)
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