岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界30年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘けつだとか。
「ドリーム・シナリオ」
平凡な大学教授がなぜか大勢の人々の夢に現れたことから始まる、奇抜なスリラー映画。
世界中で旋風を巻き起こしている気鋭のスタジオA24と『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』などで人々の不安を煽る鬼才アリ・アスターがタッグを組んだ禁断の「ドリーム・スリラー〉。
ごく普通の暮らしをしていた大学教授が何百万もの人々の夢の中に現れ、一躍有名人になるという設定はかつてないもの。それによって起こる周囲の人々の現象と、その夢が悪夢に変わってしまった時の現象の対比が面白い。
自分自身ではどうしようもない事で天国から地獄へ突き落される主人公の苦しみと無情を細かく描き、観客を不条理の世界に連れてゆく。
主演は『ザ・ロック』『コン・エアー』『フェイス/オフ』などのアクション大作をはじめ100本以上の映画出演歴をもつアカデミー賞®俳優ニコラス・ケイジ。
本作で第81回ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートを果たし、ケイジ自身も「キャリア史上最高の作品だ」と自信をのぞかせる。
夢と現実の境界線が分からなくなる世界で、いったい何が起こっているのか?
トラウマ級の悪夢作品をお届けするが、こののち悪夢を見ることになっても自己責任で(笑)。
<公開情報>
「ファイト」
2024年4月にデビュー50周年を迎えたプロレスラー・大仁田厚の波瀾万丈な半生を追ったドキュメンタリー。
本作は当初、2017年に大仁田厚が7度目の引退を発表した直後から1年間限定で密着を予定していたが、密着取材の中で大仁田に関係する人に着目し、取材対象を広げることに。
結果的に、約8年間にわたった取材の膨大な映像は、3200時間を超えることとなった。
取材で大仁田の母・巾江には「いかにして大仁田厚が誕生したか」のインタビューを敢行。そこから意外な過去が見えてくる。
また、大仁田に憧れてプロレスラーになることを考えているアイドルも登場。人生の勝負に出ることになる。
81歳になるグレート小鹿は、ステージ4のガンの闘病中にも関わらず、大仁田との電流爆破マッチに挑む。
そしてプロレス界の生き字引と言える元週刊プロレスの敏腕編集長であったターザン山本、大仁田を支える邪道信者と呼ばれているファンなどなど、大仁田厚に関係する人々を中心に構成されている。
衝撃の問題作として関係者試写を行った結果、賛否が大きく分かれた本作。
その後、再編集を行い2回目の関係者試写にて発表されたバージョンでは、プロレスではなく「何かと戦っている人々」にテーマが置かれている。
そして、大仁田厚が取り組んでいるイジメ撲滅運動や自殺防止活動をはじめ、今の日本が抱えているさまざまな問題を本作は浮き彫りにしている。
大仁田厚はなぜ今も戦い続けるのか、何と戦っているのか。
本作を観たあとに、あなたにも必ず「何と戦っているのか」が見えてくるはず!
監督は、花火師として電流爆破マッチを手がけ、大仁田と長年タッグを組んできた川上孝行。
<公開情報>
「ロボット・ドリームズ」
第96回アカデミー賞®長編アニメーション映画賞ノミネートを果たし、アニー賞、ヨーロッパ映画賞、ゴヤ賞ほか名だたる映画賞を席巻したアニメーション映画。
孤独なドッグ(犬)と、その元へやってきたロボットとの友情を描き、世界中の批評家と観客から愛された本作。
監督を務めたのはヨーロッパを代表する名匠パブロ・ベルヘル。
アニメーション映画へは初挑戦ながら、「制約のないアニメーションで、物語を描く無限の可能性を探求したかった」と語るとおり、切ないながらも温かく、観るものの心を揺さぶる類まれな傑作として結実させている。
また本作は、セリフやナレーションなしで描かれていて、それぞれのシーンが心に直接響いてくる。
特徴的な映像美はもちろん、その物語の展開に観客はグッグッと引き込まれるはず。
1980年代の音楽に彩られながら、擬人化された動物たちが暮らす1980年代のニューヨークで犬とロボットが織りなす友情が思いもよらない感動を生む。
原作はアメリカの作家サラ・バロンによる同名グラフィックノベル。
アニメーションの無限の可能性を十二分に活かした本作は、年末年始の大作の中で、ダークホースとして間違いのない感動作。
きっと途中で何度も泣きます。
<公開情報>
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