岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界30年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘けつだとか。
「晴れの国」
全編・岡山ロケの作品。同じく岡山でロケを行った「家族の日」の大森青児監督の新作が公開。
岡山出身の大森監督は、大学卒業後NHKに入局。大河ドラマ「武田信玄」の演出を手がけるなど、300本以上のドラマに関わってきた。退局後、2016(平成28)年に初の監督映画「家族の日」を製作している。
同作品のロケ地は全て高梁市内で、備中松山城も撮影地のひとつ。劇中には、備中松山城の猫城主「さんじゅーろー」をモデルにした犬の「三四郎」が見事な演技で大活躍をする。
キャストには、大森監督と40年以上の付き合いがある三田村邦彦、倉敷市出身で「おかやま晴れの国大使」の前野朋哉、今作が女優デビューとなる元アイドルで演歌歌手、今大ブレイク中の丘みどり、初映画となる元NHKアナウンサーの石澤典夫などが出演。
更にエンディングテーマには、高梁市出身の葛城ユキが歌う「今、HEART BREAK」が楽曲提供されている。
本作は2022年5月に撮影を始めたが、出演者が新型コロナウイルスに感染したため撮影一日目にして中断。翌年5月に再開した。
季節感を合わせるため1年越しでの撮影を行うなど監督のこだわりが随所にみられ、見事な季節感の演出と自然豊かな高梁市の美しさが描かれている。
「取り戻したい愛がある」をキャッチコピーに家族の再生を描いた物語は現代のすべての人に感動をもたらしてくれるに違いない。
心温まる素晴らしい岡山ロケ作品をみんなで応援しよう! ぜひ、劇場で。
<公開情報>
「ディア・ファミリー」
世界で17万人の命を救ったIABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルの誕生にまつわる実話を映画化したヒューマンドラマ。
「死を待つだけの10年か、不可能に挑む10年か」。
ただただ娘の命を救いたいという父親の執念が、後に世界で17万人を救う奇跡の実話。
医療関係とは無縁な町工場を営む父親の無謀な挑戦は、子を持つ親なら感情移入してしまう。
過去にもある、不可能を可能にし、奇跡を起こす行動の凄まじい熱量は、「愛」の力が多い。本作は、正に映画にすべき物語で、より多くの人に観てもらいたい。
主人公を演ずるのは「鎌倉殿の13人」で源頼朝役を好演し、マルチな才能で国民的人気を得ている大泉洋。その妻役には「明日の食卓」などで熱演をした菅野美穂。心臓疾患を抱える娘役を「今夜、世界からこの恋が消えても」で日本アカデミー賞新人俳優賞に選ばれた福本莉子が演じる。
主人公のモデルとなった筒井宣政氏と20年以上にわたり親交のあるノンフィクション作家・清武英利による膨大な取材ソースを基に「糸」の林民夫が脚本を手がけ、「君の膵臓をたべたい」の月川翔が監督を務めた。
本作は、命を救って終わるハッピーエンドでもなければ、命を失って終わる悲しいバッドエンドでもない。
今もなおエンディングを迎えることもなく、世界のどこかの誰かの命を救い続けている現実の物語。大感動間違いなしの今作は、劇場でどうぞ!
<公開情報>
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