岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界20年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘けつだとか。
ユリゴコロ
イヤミス(読後にイヤな後味が残るミステリー)の作家と言われる沼田まほかるさんの大ヒット小説を映画化。近年で最も“やられた感”があるミステリーだと評判の『ユリゴコロ』。だからこそ原作を読んでない人は、なるべく予備知識なしで鑑賞していただきたい。
<STORY>
カフェを営む亮介(松坂桃李)の日常はある日突然崩れ去った。男手ひとつで育ててくれた父親が余命わずかと診断され、結婚を控えていた千絵(清野菜名)はこつ然と姿を消してしまったのだ。新しい家族を作ろうとしていた矢先の出来事を受けとめきれない亮介は、実家の押し入れで一冊のノートと巡り会う。『ユリゴコロ』と書かれたそのノートに書かれていたのは、美紗子と名乗る女(吉高由里子)の手記。人を殺めることでしか自分の生きる世界と繋がることができない女性の衝撃的な告白だった。
いったい誰が、何のためにこれを書いたのか。なぜ自分はこれほどまでにこの手記に惹かれるのか…。
ノートに書かれた物語は創作なのか現実なのか!? こんなに恐ろしいことが書かれたノートを主人公はなぜ読むのだろう !私だったら絶対読まない。いや、怖くて読めない(汗)
ノートに書かれた背筋が凍る内容に翻弄されて、みんなまんまと”やられてしまうのだ!”
<公開情報>
ナミヤ雑貨店の奇蹟
東野圭吾さん作品史上、最も泣ける感動作! えっ!? それでは脱水症状を起こしてしまう(笑)。これまでも計算されたミステリーの中に、とてつもない感動を織りこんできた東野作品。その中でも“最も泣ける”!! そして主題歌は山下達郎!! どうするこれ!!
<STORY>
女性企業家の家に盗みに入った3人の若者。逃走用の車がエンスト、急きょ近くにある、今は空き家となったナミヤ雑貨店に忍び込み、一夜を過ごすことにする。しかしそこは過去と現在をつなぐ不思議な場所だった。人の悩みに手紙で答えるナミヤ雑貨店で、3人は店主の代わりに悩み相談に返事を書くことになる。過去の人物の悩みに対し、未来(現在)を知る3人の若者は、どんな返事を書くのか!? 時を超えて届く手紙が3人の若者を繋げた瞬間、すべてのパズルのピースが埋まり、長かった一夜に朝日が差しこむのだった。
1980年~2012年の時空を超えた物語が展開される本作は、巧妙な整合性を求められる難易度の高い物語でありながら、大胆なファンタジーが圧倒する感動作だ。そしてナミヤの店主は西田敏行さんである。 少々のつじつまはどうでもいいのである!
<公開情報>
海底47m
この映画を観ると、あなたはもう海に潜れない! 水深47メートルの海に沈んだ檻の中で、人喰いザメの恐怖と対峙する姉妹の姿を描いたシチュエーションパニックスリラー。ダイビングをしている人は鑑賞注意! ダイビングをしてない人は人事でおもしろい!
<STORY>
メキシコで休暇を過ごしていたリサとケイトの姉妹は、現地で知り合った男から、海に沈めた檻の中からサメを鑑賞する『シャークケイジダイビング』に誘われる。水深5メートルの檻の中からサメを間近に見て興奮する2人だったが、ワイヤーが切れて檻が一気に水深47メートルまで沈んでしまう。無線も届かず、ボンベに残された空気もわずかという極限状態の中、サメの餌食になる危険におびえながら、2人は生還を目指すが…。
もちろん、サメに襲われた女の子がキャーキャー騒ぐだけの映画ではない。海底47メートルの恐ろしさはサメだけではないことをきっちり教えてくれる。そして意外な結末が本作の持ち味。これからダイビングを始めようと考えている方は絶対に観ないでほしい!(笑)