岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界20年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘けつだとか。
ダンケルク
発表される全ての作品が面白い天才監督と言われているクリストファー・ノーランの最新作が公開される。全世界が注目する新作は”戦争映画”だ!!! 実話を題材にした作品は初めてのノーラン監督が史実に基づく戦争映画を作ったということで、さらに今、最も注目を集める映画となっている。
<STORY>
1940年、フランス北端ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。背後は海。陸・空からは敵――そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミー(フィオン・ホワイトヘッド)とその仲間(ハリー・スタイルズ)ら、若き兵士たち。
一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間を助けようと、民間船までもが動員された救出作戦が動き出そうとしていた。民間の船長(マーク・ライランス)は息子らと共に危険を顧みずダンケルクへと向かう。英空軍のパイロット(トム・ハーディー)も、数において形勢不利ながら、出撃。こうして、命をかけた史上最大の救出作戦が始まった。果たしてトミーと仲間たちは生き抜けるのか。勇気ある人々の作戦の行方は!?
『ダンケルク』を普通の戦争映画と思ってはいけない。そもそも”戦う”というより”逃げる”物語なのだ。そして陸海空・四面楚歌の戦場に観客を放り込む仕掛けが多彩に施され、上映開始とともに時計の針はカウントダウンを始める。これはタイムアタックレースのような展開で陸・海・空それぞれ異なる時間軸の出来事が、ひとつの物語として同時進行する、未だかつてない戦争映画体験なのだ。
その上で、史実が語る”物”を捨て”人”を助けた物語が心に突き刺さり、ダンケルクの救出劇がなければ今がないといっても過言ではない歴史の重みを感じさせてくれるのだ。
<公開情報>
ワンダーウーマン
1941年登場したアメコミ初の女性ヒーロー。『ワンダーウーマン』は女性監督による女性ヒーローとして全米のオープニング記録をぬりかえNo.1ヒット! アメコミの映画化で最も面白いと評判の本作。結局、クモ男も鉄男もコウモリ男も不思議ちゃんには敵わないのかもしれない!
<STORY>
女性だけの島、パラダイス島。ダイアナ(ワンダーウーマン)は島のプリンセスである。ある日、島に不時着した戦闘機のパイロットは初めて見る男性だった。彼から外の世界では戦争が起こっていることを知らされたダイアナは、自身の力で『世界を救いたい!』と強く願い、2度と戻れない事を承知で島を後にする・・・・・。彼女はなぜ戦い、女戦士となったのか!? ワンダーウーマン誕生の物語が明かされる。
とにかく本作は主演のガル・ガドットの魅力が爆発している。美しく・カッコよく・かわいい。この3つが揃うと女性は人類最強になる! 天然ボケのかわいさを武器に究極のプロポーションと色気で戦うワンダーウーマンがアメコミヒーローのセンターをとるのは納得なのである。
<公開情報>
新感染 ファイナル・エクスプレス
時速300キロで疾走する特急列車の中でウイルス感染が発生! カンヌなど国際映画祭で絶賛を博したノンストップ・サバイバル・アクション映画が公開される。
<STORY>
韓国の新幹線・KTX。発車寸前に乗り込んだ挙動不審な女。何者かに足を噛まれ、人間を凶暴化させるウルスに感染していた女は、発作を起こし激しくのた打ち回った次の瞬間、異変に気付いた乗務員を襲い、襲われた乗務員も凶暴化してゆく。密閉された特急列車の車内、正体不明のウイルスパニックに乗り合わせた人々にはそれぞれの人生のドラマがあった…。
ゾンビ映画で定番の食人シーンがほとんど無い本作は、極限状態での人々の行動にスポットライトが当たっている。また細長い密室という特急列車独特のシチュエーションを最大に活かしたサバイバル劇は見事と言うしかない。なぜ緊急停車をして脱出しないのかと言う疑問にここでは応えないが、車外が車内より安全とは限らないのだ。そして、恐ろしいのはウイルス感染したゾンビより感染していない人間だったりもする。
この映画が語りかけてくるメッセージは分かりやすく明確なもので、ならば結末も予測できそうなものだが、本作は全く予想のつかない展開を見せる。これを傑作と言わずしてなんという!『新感染』…。ダジャレタイトル…。嫌いじゃない(笑)