岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界20年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘訣。映画が好き過ぎて、あこがれのターミネーターに変身。特殊メイクがんばりました!
「岡山映画」
6月18日(土)から公開される映画『家族の日』を皮切りに“岡山映画”が次々と公開される。
今、岡山に映画の火がついているのだ! ラインナップは次の通りである。
- 6/18公開 『家族の日』高梁市・岡山市オールロケ作品
- Pick up:都会の家族が田舎に引っ越し、自然の中で家族の絆を再生してゆく物語。
- 監督:大森青児(岡山出身) 出演:伊原剛志、田中美里、平田満、岸部一徳、他
- 9/10公開 『夢二~愛のとばしり』(R15+) 岡山ロケなし
- Pick up:竹久夢二の情熱的な半生を描く。
- 監督:宮野ケイジ 出演:駿河太郎、加藤雅也、黒谷友香、他
- 10/22公開 「種まく旅人~夢のつぎ木』 赤磐市ロケ作品
- Pick up:桃農家での奮闘記、家族と故郷の愛の物語。
- 監督:佐々部清 出演:高梨臨、斉藤工、他
- 2017年春公開予定 『ひるね姫~知らないワタシの物語』(劇場用長編アニメ) 児島・瀬戸大橋を
舞台に製作 - Pick up:魔法+科学の不思議な世界と、現実の世界を行き来する少女を
- 主人公に、「父と娘の絆と、家族の和解』を描くファンタジーアクション。
- 監督:神山健治 声:高畑充希、他
- 2017年春公開予定 『桃とキジ』(仮題) 岡山各所ロケ、桃太郎伝説をモチーフ
- Pick up:18歳で女優を志し上京するが、夢破れ帰郷した主人公が岡山を
- 舞台に成長してゆく物語。
- 監督:喜多一郎 出演:櫻井綾、他
地元映画を全力で応援する私としては、うれしい限りであるが、今回のコラムは“ご当地映画”について少し書きたいのだ!
皆さんは“ご当地映画”と聞いて、直感でどんなイメージを持つだろうか?
全国公開される大作に比べ、少しショボイ映画を想像するのではないだろうか?
これはつまり“ご当地映画”が低予算で作られ、しばしば失敗しているからではないだろうか。
実は、その理由は作品の生い立ちにあるのである。
例えばこう考えてほしい。ハリウッド映画のロケ地が“なんと、岡山になった!”という作品と、岡山の人間が岡山の良さを伝えるために手作りで一生懸命に作った!という作品ではどうだろう。
どちらも“ご当地映画”として公開されるのだが、これらを比べてはいけないのである。
それは単に規模(製作費)が違うだけでなく、そもそも製作の目的が違うのである。言わば生まれてきた理由が違うのだ!
映像は“誰に”“何を”観てもらうかを明確に決めてから作ることが重要で、それによって公開されるときの土俵は全く変わってくるのである。
広く多くの人に有料で映画館を利用して観ていただく映像が“映画”である。
もしそれが地元をPRするために作った映像なら、それは映画ではない。
例えばテレビのCMを有料で観て下さいと言われたら、観る人がどれくらいいるだろうか? 大ヒットした映画のロケ地が話題になり、やがて観光地になることはある。しかし、観光地をPRするために映画のロケをしても、その映画がヒットするとは限らない。いや、きっとコケるだろう。基本として映画はPR禁止なのである。
ここで誤解してほしくないのは、低予算の手作り作品は映画じゃないと言っているのではない! むしろそれは関係ないと声を大にして言いたいのである。
お叱りを承知の上で乱暴な言い方をするならば「あなたの観たいものを見せてやる!」が映画であり「わたしの観てほしいものを観てもらいたい!」は映画ではないのだと思うのである。
今回もいろんな人に叱られそうなので、この辺でやめておくが、是非っ! よーく、よーく、その作品の生い立ちを見極めていただきたい!
しかし、最終的にそれが映画かどうか決めるのは皆さんなので、もし間違ってたらごめんなさい。m(__)mペコリ
岡山メルパ館長 福武孝之